日本母親連盟関係者が「ワールドメイトが山本太郎氏に2000万円寄附」とデマ。本当にワールドメイトと懇意な政治家は誰?

日本母親連盟関係者が「ワールドメイトが山本太郎氏に2000万円寄附」とデマ。本当にワールドメイトと懇意な政治家は誰?

今年2月26日、日本母親連盟主催の講演会で日本母親連盟の保守運動やニセ科学との関連性を指摘した山本太郎氏

◆宗教団体から山本氏へ2000万円の寄附というデマ

「ワールドメイトは、山本太郎に20,000,000円の寄付してるね」

 Twitterで、こんな投稿をしている人物がいる。山本太郎氏が宗教団体「ワールドメイト」(教祖=深見東州氏)からの献金を受けているというのだ。投稿の主は、政治団体「日本母親連盟」(代表=阪田浩子氏)の「三重県支部」を名乗る、後藤新太郎氏。以下がその全文だ。

”事実だけお伝えしますね。

安倍晋三首相とワールドメイト代表、深見東州(本名:半田晴久)

ワールドメイトは、山本太郎に20,000,000円の寄付してるね。

総務省HPより”(後藤新太郎氏のTwitterより)

 ワールドメイトと言えば、かつて高額な玉串料の返還を求める訴訟を元信者から起こされたり、批判的な記事を掲載したメディアやジャーナリストに対して訴訟を起こしたりしたことで知られている宗教団体である。この宗教団体をめぐっては、いまでも「ワールドメイト被害救済ネット」という被害者団体が活動している。

 一方、山本氏がワールドメイトから献金を受けていたと指摘している後藤氏が所属する「日本母親連盟」は、今年2月に山本氏を招いて講演会を開催。保守運動やニセ科学的な思想との関わりを指摘され、その場で山本氏から「(日本母親連盟と)選挙を一緒にやるというのは難しい」と袖にされた。後藤氏自身、当時Twitterで「#講演会テロ」などのハッシュタグをつけて山本氏を非難していた。山本氏とはいわば「因縁」の間柄だ。(参照:”山本太郎氏、日本母親連盟を支持者の面前でぶった斬り!”--HBOL)

 山本氏は「団体からの支援は受けない」と公言しており、日本母親連盟主催の講演会においても同様だった。それが、社会的に問題を指摘されている宗教団体から寄附を受けていたとなれば、政治家としての信頼性を大きく損ないかねない。

◆山本氏への寄付はなし。事務所も否定

 しかし、後藤氏の投稿はデマである。後藤氏が「総務省HPより」として掲載した画像は、ワールドメイトから2000万円の寄附があったことを示す政治資金収支報告書だ。しかしこれは「生活の党と山本太郎となかまたち」という政党への寄附であって、山本氏への寄附ではない。

 山本氏の事務所に確認したところ、以下のようなコメントだった。

「山本は企業・団体からの支援は受けておりません。個人からいただいている寄附については、個人情報にあたりますのでこちらからお答えできません。政治資金規正法に基づいて収支報告書を提出していますので、どなたでもそこでご確認いただけるかと思います」

 では、ワールドメイトから「生活の党と山本太郎となかまたち」への寄附は一体何なのか。政治新収支報告書等から検証したい。

◆ワールドメイトと懇意なのは小沢一郎氏!?

 「生活の党と山本太郎となかまたち」は、山本氏と小沢一郎氏が共同代表を務めていた政党だ。後に「自由党」となり、さらに後に国民民主党と合流。山本氏は合流に加わらず新党「れいわ新選組」を立ち上げた。

 後藤氏が指摘したワールドメイトからの2000万円の寄附は、平成26年(2014年)分の「生活の党と山本太郎となかまたち」の収支報告書に記載されていたものだ。同党は「自由党」となった後の平成29年(2017年)にも、ワールドメイトから2000万円の寄附を受けている。

 いずれの時期も山本氏は小沢氏とともに共同代表を務めていたが、届け出上の代表者は小沢氏。そして、それぞれの議員に関連するほかの政治資金収支報告書とつきあわせて見ると、ワールドメイトとのつながりが見て取れるのは明らかに、山本氏ではなく小沢氏の方だ。

 ワールドメイトが「生活の党と山本太郎となかまたち」に2000万円を寄附した平成26年分から、公表されている最新分の平成29年分までの収支報告書をまとめると、こうなる。

 まず山本氏が関連する政治団体は、新党「れいわ新選組」を含めて4つ。れいわ新選組は今年結成されたもので政治資金収支報告書はまだ公表されていない。残り3つは、「新党ひとりひとり」「山本太郎となかまたち」「Taro's NETWORK」だが、いずれも平成26〜29年分の政治資金収支報告書に「ワールドメイト」の文字はない(新党ひとりひとりについては平成26年分が入手できず未確認)。教祖・深見東州氏の本名である「半田晴久」名義での寄附もない。

◆関連団体の顧問までしている小沢氏

 一方、小沢氏については、小沢一郎政経研究会が平成26年に300万円、27年に400万円、28年と29年にそれぞれ300万円、計1300万円を政治資金パーティー代としてワールドメイトから受け取っている。同研究会の年間収入は約2200〜3300万円。おおまかに1割程度、年によってはそれ以上が「ワールドメイトの金」で成り立っている政治団体だ。

 これだけではない。小沢氏は、半田氏が「所長」を務めるコンサルタント会社「菱(びし)法律経済政治研究所」で顧問を務めている(同じく顧問に亀井静香氏もいる)。2012年には毎日新聞が、小沢氏が同社から受け取っている顧問料は毎月200万円と報じている。

 小沢氏は例年、半田氏の誕生祝いのイベントである「深見東州・バースデー書画展」に祝花を贈っているほか、たとえば半田氏が実行委員長を務めた2013年の「スポーツ平和サミット東京大会」にも花を贈っていることが確認されている。

 こうした関係は小沢氏に限ったことではない。ワールドメイトや半田氏は与野党問わず多くの政治家、政治団体と関わりを持ち、政治資金収支報告書で確認できるだけでもかなり広範囲に金をばらまいている。

 前出の「スポーツ平和サミット東京大会」にも複数の政治家の名前が登場する。当時の猪瀬直樹都知事や下村博文文科相が会場で挨拶に立った。鳩山邦夫・衆議院議員は挨拶で「(実行委員長の)半田先生は、国会議員の1万倍の実行力をお持ちの天才!です」と半田氏を持ち上げたことを、当時「ワールドメイトみんないらっしゃい支部エンゼル会」(東京・杉並区)がブログで報告していた。このとき安倍晋三首相は花と祝電を贈っている。

 山本氏がワールドメイトから献金を受けているかのように語る日本母親連盟関係者のTwitter投稿は明らかなデマだ。仮に、ワールドメイトから献金を受けた党で山本氏が共同代表だったことについて道義的責任を問うなら、まだ理屈は通る。しかしそれでもなお、ワールドメイトと直接の関わりが確認できない山本氏をあえてことさらに取り上げる意味はないし、フェアでもない。もっと親しい関係にある政治家たちが他に山ほどいるのだ。

◆ワールドメイトと親しい政治家は与野党に

 ここはひとつ公平に、ワールドメイトや半田氏と接点がある政治家を一通り列挙しよう。「公益財団法人政治資金センター」のウェブサイトで、「ワールドメイト」や「半田晴久」と検索すると大量に出てくる。以下、カッコ内は代表者名(敬称略)。

自民党静岡県第7選挙区支部(城内実)

自民党東京都第17選挙区支部(平沢勝栄)

自由民主党大阪府第14選挙区支部(長尾敬)

自由民主党大阪府第19選挙区支部(谷川とむ)

自由民主党大阪府第1選挙区支部(大西宏幸)

自由民主党東京都参議院比例区第22支部(山田宏)

自由民主党福岡県第六区選挙区支部(鳩山邦夫)

民主党愛知県第8区総支部(伴野豊)

民主党静岡県第3区総支部(小山展弘)

民主党東京都第1区総支部(海江田万里)

民主党福岡県第10区総支部(城井崇)

民進党千葉県第8区総支部(太田和美)

民進党東京都第19総支部(末松義規)

自由党(生活の党)岩手県第4区総支部(小沢一郎)

生活の党広島県参議院選挙区第1総支部(佐藤公治)

生活の党千葉県第3区総支部(岡島一正)

維新の党愛知県第4区総支部(牧義夫)

維新の党衆議院北海道第2選挙区支部(松木兼公)

維新の党千葉県第8選挙区支部(太田和美)

浅尾慶一郎を支える会(浅尾慶一郎)

小沢一郎政経研究会(小沢一郎)

新声会(鳩山邦夫)

けんこう冬日会(松木兼公)

ねんりんの会(山田美樹)

下地ミキオ後援会(下地幹郎)

海江田万里を支える会(海江田万里)

亀井静香後援会(亀井静香)

原口一博後援会(原口一博)

 また、前出の「深見東州・バースデー書画展」では例年、多くの政治家が挨拶に立ったり花を贈ったりしている。その全ては把握しきれていないが、出席者からの情報で名前が挙がった政治家たちは過去3年間でこれだけいる(敬称略)。

◆安倍首相も3年連続花を贈っていた

2017年

【スピーチ】亀井静香、松木謙公、山田宏、鳩山二郎、西村眞悟

【祝電】高村正彦

【祝花】安倍晋三、高村正彦、亀井静香、下村博文、小沢一郎、城内実、平沢勝栄、松木謙公、浅尾慶一郎、堂故茂、原口一博、樋高剛、小山展弘、松崎哲久、長尾たかし、末松義規、城井崇、米長晴信

2018年

【スピーチ】亀井静香、小沢一郎、原口一博、松木謙公、海江田万里、平沢勝栄

【来場予定ながら欠席】城内実、山田宏

【祝電】安倍晋三、高村正彦

【祝花】安倍晋三、高村正彦、小沢一郎、下村博文、平沢勝栄、原口一博、城内実、松木謙公、長尾敬、岡島一正、佐藤公治、城井崇、末松義規、北神圭朗、太田和美、鳩山二郎、舛添要一、西村眞悟、木内孝胤、米長はるのぶ、石川知裕、川島智太郎、野沢哲夫、樋高剛、日吉雄太、大西宏幸、宗清皇一、堂故茂、浅尾慶一郎、谷岡郁子

2019年

【スピーチ】亀井静香、高村正彦、下村博文、平沢勝栄、原口一博、前原誠司、鈴木宗男、海江田万里

【祝電】安倍晋三

【来場】山田宏、松木謙公

【祝花】安倍晋三、高村正彦、下村博文、西村康稔、原口一博、前原誠司、小沢一郎、城内実、舛添要一、松木謙公、浅尾慶一郎、日吉雄太、谷川とむ、大西宏幸、松崎哲久、鳩山二郎、宗清皇一、のざわ哲夫、牧義夫、常故茂、長尾たかし、米長晴信、樋高剛、石川知裕、川島智太郎、岡島一正、城井崇、末松義規、佐藤公治

 安倍首相もこの3年間、出席こそしていないが祝電や祝花で「皆勤賞」である。

◆出席議員たちの驚愕スピーチ

 また、出席者によると、2017年の「深見東州・バースデー書画展」では政治家たちがこのようなスピーチをしたという。

亀井静香氏「(半田)先生は『私は現代のダ・ヴィンチだ』と言うんですが、それは褒めすぎじゃないかという人がいますが、私はそうだと思う。先生は我々日本国民にとってかけがえのない方」

松木謙公氏「今日、トゥールビヨンの時計(半田氏が経営する時計店が発売した88万円の時計)買って帰りますから(会場から感嘆と拍手)。娘は先生のみすず学苑にお世話になったんですよ。私が言ったわけじゃないですからね。娘が勝手に見つけてきたんですよ」

 トゥールビヨンの時計とは、半田氏が経営する時計店「HANDA WATCH WORLD」が数量限定で発売した、半田氏が書いた絵をあしらった腕時計「太平洋のご来光トゥールビヨン」(税別88万円)。この誕生会でも紹介されていた。みすず学苑は、時計店と同じ株式会社ミスズが運営する予備校だ。かつて、生徒が予備校スタッフに勧誘されワールドメイトに入信してしまったというケースもある。

山田宏氏「私、みすず学苑、深見先生の本拠があります杉並区の区長を11年間務めております。先生にご支援、またご指導いただいているという関係です。去年流行った言葉で、『神ってる』と。これ、東州先生のことですよ。神のようだということですね」

 山田氏はワールドメイト発祥の地・西荻窪がある杉並区の元区長で、2017年当時はすでに参議院議員。特定の宗教の教祖を「神のよう」と持ち上げたのが仮に事実だとしたら、寄附を受け取るよりはるかに問題がありそうだ。

◆政治家が特定宗教の教祖を「神のよう」という異常

鳩山二郎氏「父(鳩山邦夫)が生前、深見東州先生にお世話になっていて、政治家の先生の中で一番お世話になっていたのは、間違いなく私の父でございます。私は昨年の補欠選挙、あんまり失言はしないようにしているんですけども、いろいろ地元でありまして。大変いじめられた選挙だったわけですが、その中でも深見先生には真っ先に応援をしていただいて、先生のお力でいまバッジをつけているわけですから、これからも先生のために私も懸命に努力していかなければいけない」

 政治家たちが教祖を「ダ・ヴィンチ」「神のよう」と呼び、教祖の商品を買い、娘をみすず学苑に通わせ、「先生のために懸命に努力」するとまで宣言している。耳を疑いたくなる光景だ。

 なお2019年の「バースデー書画展」では、政治家と呼ぶべきか不明だが、今年4月の東京・中央区長選に立候補して落選した上杉隆氏からの花も飾られていた。

 上記を見て分かる通り、ワールドメイト教祖の誕生会においても山本太郎氏の名は登場しない。

<取材・文・写真/藤倉善郎(やや日刊カルト新聞総裁)・Twitter ID:@daily_cult3>

ふじくらよしろう●1974年、東京生まれ。北海道大学文学部中退。在学中から「北海道大学新聞会」で自己啓発セミナーを取材し、中退後、東京でフリーライターとしてカルト問題のほか、チベット問題やチェルノブイリ・福島第一両原発事故の現場を取材。ライター活動と並行して2009年からニュースサイト「やや日刊カルト新聞」(記者9名)を開設し、主筆として活動。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社新書)

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