丸山穂高議員の「戦争発言」、維新の“行儀見習い”が原因!?

【丸山穂高議員が北方領土を巡る暴言】維新の『行儀見習い』原因説も浮上

記事まとめ

  • 丸山穂高氏が北方領土を巡る暴言をしたが、維新の『行儀見習い』原因説も浮上している
  • 丸山氏は以前は『戦争に歯止めをかける』立場で、維新の『再教育』で変わった可能性
  • 戦争発言を口にした丸山氏について、維新に対して責任を問う声もある

丸山穂高議員の「戦争発言」、維新の“行儀見習い”が原因!?

丸山穂高議員の「戦争発言」、維新の“行儀見習い”が原因!?

2015年6月、安保関連法案審議当時の、大阪での維新勉強会後の会見。当時は丸山氏は安保法制に歯止めをかける対案づくりに尽力していた

◆暴言を吐くに至った理由は丸山氏の“個人的資質”だけなのか

 2015年夏に安保関連法案阻止のために維新独自案作成に尽力していた丸山穂高衆院議員が、橋下徹・元大阪市長ら維新幹部による“行儀見習い”(再教育)が始まってから約3年半後の今年5月、「戦争北方領土奪還」発言を口にした。

「『戦争』発言・丸山議員の意外な過去。『日本の戦争参加』に歯止めをきかせようと尽力していた!? 」(5月21日配信)で紹介した通り、憲法学者の小林節・慶應大学名誉教授が「合憲」と認定した維新独自案作成に関わった丸山氏に対して、橋下氏は「『(大阪)維新の会で行儀見習いをさせます』と“再教育”を宣言」(2015年7月11日付『産経新聞』)していた。

 丸山氏はどんな再教育を受けて、暴言を吐くまでに変貌していったのか。教育係としての橋下氏の発言に注目していたが、「丸山穂高氏の失敗・4つの理由」(5月22日配信のプレジデントオンライン)には、以下のように丸山氏の“個人的資質”に関する理由ばかりが書かれていた。

1、丸山氏が維新の会の看板の力を過小評価し、自分の力を過大評価した

2、永田町での生活で、どんどん自分の力を過信するようになった

3、維新の会の中に、支えてくれる仲間がいなかった

4、有権者全体からみればごく一部なのに、声は非常に大きいネットの中の応援団に依存しすぎた

 再教育前の丸山氏は「戦争に歯止めをかける」という立場だった。しかし、当時の発言を問題視した橋下氏は“再教育”を宣言。そして同年10月、党内路線対立を抱えていた維新は野党共闘路線の「非大阪組」と政権補完路線の「大阪組」に分裂。大阪7区が選挙区の丸山氏は共に維新独自案作成に関わった「非大阪組」と決別して、「大阪組」の一員として“行儀見習い”を受けることになったのだ。この環境の激変が丸山氏を変えていった可能性がある。その変貌ぶりを見ていくことにしよう。

◆共謀罪成立の“先兵役”を担った丸山氏

 2015年9月の安保関連法案成立の翌々年の2017年春、安倍政権は共謀罪法案を提出した。これに野党は徹底抗戦。与野党激突法案となる中、自民と公明と維新の3党は5月19日、質疑を打ち切って強行採決に踏み切った。その“先兵役”を担ったのが丸山氏だった。渦中の衆院法務委員会で「審議時間はもう十分。私の質疑のあと、ただちに採決してほしい」と発言、強行採決の環境作りをする発言をしたのだ。

 野党筆頭理事の民進党・逢坂誠二議員(当時)は激怒し、「これが法治国家なのか。ひどい話だ。しかも委員会の審議に出ていない委員外の者に『審議時間は十分だ』などと言わせて、責任放棄も甚だしい」と抗議した。丸山氏が登場する動画は、当時の民進党のサイト「【衆院法務委】自公維3党が『審議は十分』と共謀罪法案を強行採決」で今でも視聴可能だ。

 小林節教授に「合憲」と認定された維新独自案(対案)丸飲みを安倍政権に迫った頃からは、とても想像できない姿へと変貌していた。これは“行儀見習い”による教育効果の産物だったのではないだろうか。

◆原発再稼働反対を口にすることがなくなった橋下氏

 2012年4月、維新創設者である橋下・大阪市長(当時)は「僕は頭に来た。民主党政権はノーです。俄然やる気が出てきた。維新政治塾のメンバーにはとにかく国政に行ってもらいたい!」と発言。大飯原発再稼働をしようとしていた野田政権打倒宣言をした。

 そして、元経産官僚の古賀茂明氏や環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長、河合弘之弁護士らがメンバーの「大阪府市エネルギー戦略会議」を立ち上げ、再稼働なしでの節電計画作成を指示、原発推進の経産省と渡り合った。当時の橋下氏は、大阪から日本のエネルギー政策を脱原発に変えようとしていたのだ。

 しかし橋下氏は次第に原発再稼働問題をほとんど口にしなくなり、2012年12月に誕生した第2次安倍政権が原発再稼働に邁進してもこれに反対することはなかった。

 しかも2014年7月の滋賀県知事選では、元経産官僚で自公推薦の小鑓隆史候補(現・自民党参院議員)の応援演説を行い、大飯原発再稼働反対で連携した嘉田由紀子・前滋賀県知事から「小鑓候補は原発推進」と忠告された。しかし、橋下氏は「大阪都構想でお世話になっている菅官房長官に頼まれた」と言って聞く耳を持たなかった。

◆維新での“再教育”と、丸山氏の変貌に因果関係はあるのか

 このような「ゆ党」と揶揄される政権補完路線は、維新に大きな恩恵をもたらした。橋下氏は2018年9月出版の『政権奪取論 強い野党の作り方』の中で、安倍政権と維新との関係を次のように記している。

「大阪の政治行政は、安倍政権の協力で、これまで進めることができなかった政治課題をどんどん進めることができた。うめきた2期開発、阪神高速道路淀川左岸線の延伸、大阪万博への挑戦、カジノを含む統合型リゾート推進法(IR推進法)の制定、リニア中央新幹線の大阪開通の8年の前倒し――その他、これまで法律や制度の壁にぶつかっていたことを安倍政権の協力で乗り越えたことは多数ある。ゆえに、日本維新の会が安倍政権に協力することは当然だ」(同書p.231より)

 維新代表の松井一郎市長と橋下氏は、定期的に安倍首相や菅官房長官と会食する親密な関係だ。安倍政権肝いり法案の審議でも維新は、野党が反対した共謀罪やカジノ法案などに賛成、安倍首相の悲願である憲法改正論議にも協力している。一方で安倍政権側も、維新の目玉政策である大阪万博誘致やリニア開通前倒しなどのインフラ整備促進に協力している。

 安倍政権の補完勢力となることで地元への利益誘導に成功してきたように見える維新での“再教育”と、戦争発言を口にした丸山氏の変貌との間に因果関係はないのだろうか。維新にはまったく責任のないことなのだろうか。国会などでの丸山氏の発言が注目される。

<取材・文・撮影/横田一>

ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数

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