維新・松井代表、ビザなし交流訪問団への謝罪よりも、選挙を優先か!?

維新・松井代表、ビザなし交流訪問団への謝罪よりも、選挙を優先か!?

松井一郎・日本維新の会代表(大阪市長)

◆松井代表と大塚団長の話は完全に食い違っていた

「日本維新の会代表の松井一郎・大阪市長は、選挙戦勝利などの党利党略のためなら平然と嘘をつくのか!?」

 こんな疑問が沸き起こってきたのは、5月29日。丸山穂高・衆院議員に戦争発言をぶつけられたビザなし交流訪問団の大塚小弥太団長から「謝罪日程決定の連絡は来ていない」と聞いた時のことだ。

「私は『何日と何日の都合はいい』とは言いましたが、(松井代表が)いつ来るのかはわかりません。私のところには連絡が来ていません」(大塚団長)

 しかし松井代表は2日前の5月27日、元島民の大塚団長に謝罪する日程は「決定した」と囲み取材で明言、両者の話は完全に食い違っていたのだ。

◆松井代表「丸山穂高議員は、ケジメをつけて出直してもらいたい」

 丸山氏の戦争発言が飛び出した5月11日から5日後の16日、松井代表は「近く北海道を訪問、交流訪問団の団長に直接謝罪したい」と述べ、『産経新聞』などが報じた。しかし、それから1週間以上たっても日程は発表されなかった。

 そこで、維新と自民が再び激突する「堺市長選(5月26日告示・6月9日投開票)」の告示翌日、維新主催の「政談演説会―新しい堺を創る―」に駆けつけ、終了後の松井一郎代表の囲み取材で直撃してみた。

――丸山穂高議員の発言の影響についてはどう捉えられていますか。

松井代表:それは、いい影響があるはずないでしょう。これは何度も言っているのですが、彼も35歳で社会人ですから、早くケジメをつけて――。ただ「彼の人生はこれで全て終わり」というのも違うと思う。我々は「再チャレンジ」というのを(願っている)、政治の世界ではなくて。僕が彼に伝えたいのは、早くケジメをつけて、まずは治療に専念して出直してもらいたいと思っています。

◆元島民への謝罪は「日程を協議したが、合わなかった」

――ケジメをつけるうえで、松井代表自身が北海道に行く話は、まだ実現していないようですが。

松井代表:これは、日程は決まっています。しかしどういう形でお会いをして、どういうしつらえをするかも元島民の方にお任せしているので、「決まってはいるが、僕は言えない」ということです。

――「近く(北海道に行く)」と(5月16日に)言いながら1週間以上経っているのはなぜなのでしょうか。

松井代表:日程を協議して、合わなかったからです。

――堺市長選(5月26日告示・6月9日投開票)が終わる前に行かれる可能性はあるのでしょうか。

松井代表:「いつ行く」ということも含めて、僕からは言えません。僕は謝罪に行くのだから。

 松井代表の狙いが透けて見えてきた。それは、謝罪日程の先送りあるいは非公開面談によって、「堺市長選に不利にならないよう、投開票前に松井代表が謝罪するニュースが流れることを何としても回避する」というものだ。

◆大塚団長は「私のところには連絡が来ていません」

 この見立ては、直後の北海道取材で“確信”へと変わった。松井代表の北海道行きが記者発表から10日以上も経っていることについて、謝罪を受ける側である大塚団長に聞いてみたのだ。

――松井代表は「日程調整に時間がかかった」と言っていましたが、大塚団長は「すぐには会いたくない」などとは言っていないのでしょうか。

大塚団長:言っていません。私は「何日と何日の都合はいい」とは言いましたが、いつ来るのかはわかりません。私のところには連絡が来ていません。

――松井代表にはどんなお話をされるのでしょうか。何を伝えたいとお考えなのでしょうか。

大塚団長:全然考えていません。

――松井代表が来られたら、メデイアにオープンにした方がいいとお考えでしょうか。

大塚団長:事務局(北方四島交流推進委員会)に任せています。

――大塚団長のご希望としては。

大塚団長:何もありません。希望も何も言っていません。全部事務局に任せてあります。

◆謝罪日程遅れの一因が元島民にあるかのような印象操作!?

 松井代表による早期の謝罪が実現しないのも、メデイアへの公開がすんなりと決まらないのも、維新側の都合(要望)が原因であるとしか考えられない。しかも謝罪日程すらまだ決まっていない可能性も高いのだ。

 謝罪日程が決まったのなら、複数の候補日を伝えている大塚団長に連絡が行かないはずがない。維新は、丸山氏から暴言を浴びせられた大塚団長を“盾”のように利用して、謝罪日程遅れの一因は大塚団長ら元島民にあるかのような印象操作をしているように見える。

 堺市長選を維新が“天下分け目の決戦”と位置づけていることはよくわかる。過去2連敗して“三度目の正直”であるうえに、丸山氏の「戦争発言」の逆風で自民系候補に敗れることになれば、大阪ダブル選と大阪12区補選で連勝した維新の勢いが一気に削がれることになりかねない。

 だから、選挙期間中に松井代表が北海道で大塚団長に謝罪するニュースが流れることは避けたいという気持ちもわからないではない。しかし、元島民を口実にした虚偽発言で謝罪日程を遅らせるのは、あまりに姑息ではないか。

 丸山氏には「早くケジメを」と言いながら、維新代表として「早く謝罪しない」のはダブルスタンダードといえる。「他人に厳しく、自分に甘い」と批判されても仕方がない。今後、松井代表がどう釈明するのかが注目される。

<取材・文・撮影/横田一>

ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数

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