丸山「戦争発言」を非難する橋下徹氏。しかしその実態は“似たもの同士”!?

【丸山穂高議員の戦争発言】厳しく批判する橋下徹氏に、主張が五十歩百歩と異論も

記事まとめ

  • 丸山穂高議員は「戦争で北方領土奪還」発言で多方面から批判を受けている
  • 日本維新の会・松井一郎代表が謝罪し、橋下徹氏は丸山穂高議員を厳しく批判している
  • しかし、橋下氏の主張について、安倍晋三政権の先兵で丸山氏と五十歩百歩との声もある

丸山「戦争発言」を非難する橋下徹氏。しかしその実態は“似たもの同士”!?

丸山「戦争発言」を非難する橋下徹氏。しかしその実態は“似たもの同士”!?

丸山議員を激しく批判している橋下徹氏

戦争北方領土奪還」発言で多方面から批判を受けている丸山穂高衆院議員。この件を厳しく批判しているのが、維新創業者である橋下徹・元大阪市長だ。「私人」と称しながらも根拠不明の“丸山批判・維新擁護論”を発信し、広報宣伝役を買って出ているとも言えるのだ。

 維新代表の松井一郎・大阪市長がビザなし交流訪問団への“お忍び謝罪”をした3日後の6月5日、馬場伸幸・維新幹事長の会見で橋下氏と丸山議員について聞いてみた。

◆丸山議員の問題は「戦争発言」ではなく「立ち振る舞い」だった!?

――丸山議員の発言について、橋下徹さんが同じように「4島返還するとなったら戦争しかない」という発言をして、それに続いて「(戦争は)非現実なので2島返還しかないのではないか」ということを(5月27日配信の)「Abema TIMES」で発信されています。

 丸山議員も同じこと(2島返還論)を言いたくて、前段だけ言って後段を言わなかった「言葉足らず」だったのではないでしょうか。とすれば、丸山議員が除名処分で、橋下氏が全く御咎めなしというのはアンバランスではないでしょうか。

(AbemaTIMESで)橋下さんは「丸山議員が強烈な4島返還論者だった」「俺とは違う」と指摘していますが、議事録を検索すると強烈な4島返還を主張する丸山議員の発言はありませんでした。維新の中で「4島返還には戦争しかない」ということを丸山議員が言っていたりしたのでしょうか。

馬場幹事長:「私人」ですから、橋下徹さんの発言については私がどうこうコメントをする立場にないと思います。丸山議員が4島一括返還論者であったのかどうか。私も彼からそういう話を聞いたことはありません。ですから、彼がどういう思考を持っていたのかというのは今となってはよくわからないのですが、説明不足であった以上に、彼のその時の立ち振る舞い(が問題)ですね。

 国会議員である以上、TPOをわきまえた発言が肝要だと思います。冷静に皆さんが穏やかな気持ちで議論ができるような場で、そういうことを提起したということであれば、また話が変わったのかも知れません。

 しかし、私たちがヒアリングをしたところによると、(大塚)団長さんがご自身の過去の写真を記者の皆さんに説明をしている中で、彼が割り込んで行って団長さんに無礼な質問を何度も投げつけたということです。酒を飲んでいたか飲んでいなかったかということよりも、大人としてそういう形で問題提起をすることは違うのではないかと思います。

◆橋下氏は自らの憶測を、根拠もなく事実かのように語っていた!?

 丸山議員の除名処分に対する維新の考え方はわかったが、「丸山議員から4島一括返還論を聞いたことはない」と馬場幹事長が明言したことで、丸山議員もまた「4島一括返還は現実的ではない。2島返還が現実的」と考えていた可能性が高まった。

 6月5日配信の前記事「維新・松井代表がビザなし交流訪問団に非公開で謝罪。その内容は『国民に知らせる必要はない』」で一部引用した5月27日配信の「AbemaTIMES」で、橋下氏は「4島戦争返還非現実論」と表裏一体の「2島返還現実論」を説明したうえで、丸山議員との違いを次のように説明していた。

「僕は最初、丸山議員もそのこと(2島返還現実論)を言おうとしていたのかなと思った。世論調査の結果も『2島でしょうがないよね』という声が多いんだから、そこに乗っかればよかった。でも、実は彼は強烈な4島返還論者だったし、『なんでロシアに譲歩するんだ』というネットの声を恐れて言えなかった」

 しかし馬場幹事長は会見で「丸山議員から4島返還論を聞いたことはない」と明言していた。「丸山穂高」「北方領土」などのキーワードで検索した国会の議事録にも、強烈な4島返還論に該当する発言は見当たらなかった。例えば、2018年4月4日の外務委員会で丸山議員は、明確に戦争という手段を否定したうえで河野太郎外務大臣に「外交で領土問題を解決してほしい」との発言をしている。

「なかなか、領土が戦争や武力以外で返ってきたというのは本当にまれなケースだと思います。そのまれなケースに挑戦しなければなりません。ぜひ外相の手腕に、総理の手腕にも期待して、一国民として早く返還されますことをお願い申し上げまして、私も努力することを申し上げまして、時間になりましたので私の質疑を終わります」

 何を根拠に橋下氏は、丸山議員を「強烈な4島返還論者」と断定したのだろうか。維新内での政策論議の記録やメールでのやりとりなどの具体的根拠を示さない限り、自らの憶測を事実であるかのように語る“フェイク論者”と言われても仕方がない。

 戦争発言をぶつけた大塚団長とのやりとりで丸山議員は「戦争しないとどうしようもなくないですか。僕らはいいならいいし」と発言、4島返還にこだわらない姿勢も見せていた。同じように橋下氏も「戦争」という言葉を使って非現実的な4島戦争返還論を示したうえで、現実的な2島返還論に導く二段階論法を展開していた。

“維新橋下学校”で行儀見習い(再教育)を受けた丸山議員は、師匠の橋本氏を真似た主張をしていたのではないか。橋下氏は「丸山議員は強烈な4島返還論者」と具体的根拠なしに断定しているが、筆者の目には両者を分け隔てる一線を見出すことはできない。ということで、馬場幹事長会見での質問を続けた。

◆馬場幹事長「維新は4島一括返還の旗を降ろしてはいない」

――橋下さんが「4島返還には戦争しかない」に続けて「現実的な2島返還」を主張していますが、この二段階論は維新内部でも論議や意見交換で出ていたのではないでしょうか。橋下さんの影響をかなり受けている維新の国会議員の間で、こういう考え方は共有されていたのではないでしょうか。

馬場幹事長:横田さんが思っているよりも、我が党の国会議員は自立しています。橋下徹さんに深く影響されているということはありません。そのうえで、我が党としてはやはり政府が4島一括返還の旗を降ろしていない以上、元島民の皆様をはじめ返還運動に関わっている皆様方ももちろん4島一括返還の方針で運動をしているわけです。我が党としてもそれをサポートしていく意味では、4島一括返還の旗を降ろしているというわけではありません。

――ただ安倍政権には、2島先行返還に世論を誘導しようという節があります。それを先取りする形で、維新内部では「2島先行返還で行くべきだ」という声は出ていなかったのでしょうか。そもそも「4島返還は戦争でもしない限り非常に困難な膠着状態にある」という認識はなかったのでしょうか。

馬場幹事長:それを正式に何らかの場で議論をしたことはありません。ですから安倍総理が2島先行返還論をおっしゃっても、それが正式な政府見解にならない限り、日本維新の会は自民党の先兵ではないので、我々は我々の考え方でこの北方領土問題については対応していきます。

◆橋下氏と丸山議員の主張は五十歩百歩

 馬場幹事長の回答を聞けば聞くほど、橋下氏と丸山議員の共通点が目に付いてくる。馬場幹事長は「日本維新の会は自民党の先兵ではない」と強調するが、実際には、安倍政権を支える一方で地元・大阪への利益誘導に成功してきたことは橋下氏自身が『政権奪取論』の中で紹介している。

 そして橋下氏は北方領土問題でも、非現実的な「4島戦争返還論」と示したうえで、安倍政権の落しどころと見られる「2島(先行)返還論」に導く“先兵役”をしていた。同じように“維新橋下学校”で教育されたであろう丸山議員もまた、安倍政権が世論誘導しようとした「2島返還論」へと方針変更にプラスになると考えて非現実的な「4島戦争返還論」を大塚団長に投げかけたのではないか。橋下氏と丸山議員の間には、ある種の師弟関係が成り立っているようにも見えるのだ。

 似通った五十歩百歩の主張をしたのに、橋下氏には社会的制裁が一切なく、丸山議員だけが世間の袋叩きに遭うのはあまりにアンバランスだ。「橋下氏と丸山議員は“似た論者”同士」という視点で、この問題を再検証する必要があるのではないだろうか。

<取材・文・撮影/横田一>

ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数

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