蓮池透氏と見る四国・伊方発電所。蓮池氏も驚愕したその立地とは?

蓮池透氏と見る四国・伊方発電所。蓮池氏も驚愕したその立地とは?

筆者や講演会主催者とともに伊方発電所を見る蓮池透氏

 韓国講演の様子(「日本の放射能汚染水海洋流出を危惧する韓国の「脱核運動」。コロラド博士、韓国をゆく」)を報じておりましたが、筆者が、れいわ新選組から参院選立候補が決まった蓮池透氏の四国リレー講演会に同行する機会を得まして、急遽「番外編」としてその模様をリポートします。なお、写真など配信先によってはこちらの意図通り見られない場合もございますので、その場合は本体サイトよりご覧ください。

◆それは昨年9月30日から続いていた

 去る昨年9月30日、伊方発電所再稼働反対集会の一環として、蓮池透氏の講演会が予定されていましたが、台風24号の直撃により飛行機が欠航となりあえなく中止となりました。(参照:"伊方発電所3号炉、抗議活動をよそに再稼働。再稼働当日の現場をリポート | ハーバービジネスオンライン" )

 蓮池透氏の公演はぜひ聞きたかったのですが、この企画は生き残り、四国一周リレー講演会として松山、八幡浜、高知、徳島、高松の5箇所で講演会を行うということに発展しました。

 この企画について議論が行われた1〜3月、なぜかその場に立ち会った結果、「平日暇そうだ」というひどい理由で八幡浜市での蓮池透氏の応対を私が引き受けることになりました。いくらなんでも暇そうだはひどい話ですが、「救う会」で一緒だったでしょうという理由に変わりました。

 以前書きましたとおり*、私は、1999年から2003年まで救う会に関与していましたので、家族会事務局長としてのかなり強面で強硬派の蓮池透氏が記憶にありましたので、昨今の変化などにたいへんに強い関心がありました。(参照:"朝鮮半島緊張緩和が進む中、日本の防衛政策はどこに向かうべきか? | ハーバービジネスオンライン" )

 日程について四国四県で調整の上で6月開催となり、追って詳細は連絡されるとなりました。

◆おいおい、本当にやるのかい?

 私の韓国講演(連載中)*が終わり、原稿をこなし、腰を痛めてふと気がつくと、正確な日程も何も知らされていません。これは、5月の集会に体調不良で参加できなかったためもありますが、どうしても情報が見つかりません。しかも6月1日に蓮池透さんが「れいわ新選組」から参院選に立候補する**というすごい報も入ってきました。

<*"日本の放射能汚染水海洋流出を危惧する韓国の「脱核運動」。コロラド博士、韓国をゆく | ハーバービジネスオンライン">

<**【れいわ新選組】は、蓮池透氏(@1955Toru)を、公認候補予定者として発表! 元東京電力社員・元北朝鮮による拉致被害者家族連絡会事務局長"選挙 | れいわ新選組">

 参院選立候補となると蓮池さんは忙しくなりますし、主催者側の不偏不党原則との関係が問われるかもしれず、情報の全く入らない私はほとほと困りました。しかもiPhoneが行方不明。ポケモンGOにはタブレットを使うので、私はiPhoneを本の山に埋めてしまう悪弊があるのです。なにしろ最近、知人から本が寄付されてくるので夜な夜な「ねずみ輸送」の如くコンビニに受け取りに行っています。そのため部屋がどんどん本で埋まって行きます。

 6月2日にようやく連絡があって、8日までわからないとのことで、とにかく10日合流、11日開催まではわかりました。

 この時点でやっとポスターが手に入りました。八幡浜の前日が休養日となっていますが、ものすごいハードスケジュールです。そして聴講費用は、なんとたったのワンコイン500円で資料付きです。

◆蓮池透さん八幡浜に来たる

 6月10日の14時に八幡浜港の道の駅みなっとで合流と連絡があり、蓮池氏、主催者側の女性二名と合流、お茶のあと私の15万キロ「へこみデミオ」で出発です。天気は予報を裏切り快晴でした。あちこちへこんで割れている私の「へこみデミオ」に「これ大丈夫かしら」という声が聞こえます。失礼ね!

 私が知る、2002年ころと違い、蓮池さんはずいぶん物静かで穏やかな方です。かつてのとんがった感じが全くありません。一瞬、ボディスナッチ(Invasion of the Body Snatchers (1956); ボディ・スナッチャー/恐怖の街)されたのかと思いましたが、紛れもない蓮池透さんでしょう……。たぶん。

 八幡浜のホテルでチェックインを済ませ、「へこみデミオ」で出発し伊方町役場を見たあと、伊方発電所に向かいました。伊方町役場の威容は、刈羽村など原子力発電所立地自治体に共通するもので、この先どうやって維持するのだろうかという話になりました。もはや商用原子炉の新規建設は政治的にも経営的に不可能なため、伊方発電所は残り15年、延長して35年の残り時間で、財源としては急速に細ってゆきます。なお現在伊方町への電源交付金は、18億円、八幡浜市へは5000万円です。伊方町の人口は、1万人弱となっています。31年後の2050年には、悲観的予測では5〜6千人程度に減少していると考えられます。社会の維持のために伊方発電所の次は必須なのです。

◆伊方発電所裏側

 まずは伊方3号炉に最接近できるお気に入りの場所に到着しました。伊方発電所前に集まって30年以上の古参の方でも知らない場所です。私は、原子炉好き好き人間なので、伊方通いをはじめてすぐに見つけました。養蜂業者がいつも巣箱を置いており、ミツバチがブンブン飛んでいますが、ガードレールのない県道の旧道が通っており、到達は容易です。

 古参の方にこの場所のことを言うと、「射殺されるよ」などと真顔で言われますが、敷地境界ははっきりしており、また旧道の敷地境界杭などを調べた限り公有地と思われます。

 私が知る限り、運転中の大型商用原子炉に500m以内まで接近できるのは、日本ではここだけでしょう。

 蓮池さんによると、まず海を除く外部から原子炉ほか重要施設が見えることが他になく、しかも500m程度まで近づけることが考えられないとのことでした。

 また、敷地境界のフェンスがたいへんに簡素で低く、有刺鉄線も巻き数が少ないとたいへんに驚かれていました。はい、この程度のフェンスなら毛布一枚で無力化できます。

 敷地内にタンクが多いのはPWR(加圧水型原子炉)の特徴で、PWR系では多くが真水を自家製造しており、真水などを貯めるためのタンクが大量にあります。伊方発電所の場合は、保内分水反対運動*などにより野村ダムの水を含め外部からの水の調達はできていないようです。PWR系では、関西電力宮津エネルギー研究所での実証実験などもあり、原子炉の電力、熱によって真水を製造しています。PWRだけに原子力潜水艦と同じと考えれば良いです。

<*参照:"ミカンと原子力の街、愛媛県八幡浜市で行われた「使用済み核燃料貯蔵施設」のPA講演会|HBOL"

 蓮池さんによると、東電のBWR発電所(沸騰水型原子炉)では自前の堰堤(小型ダム)によって河川から発電所へ水を運んでいるそうです。

 ここで蓮池さんがぽつりと言いました。これ、特重(特重施設、特定重大事故等対処施設)どこに作るんだろう? はい、私にも分かりません。狭いんですよね。

 この頃になると、蓮池さんはとても快活に話されています。よかった、昔の蓮池透さんです。ボディスナッチされていませんでした。

◆土石流対策で谷を埋めた四国電力

 さて、更に旧道を徒歩で少し進むと、人工的な丘が現れます。旧道は、車止め柵で通せんぼされていますので、入れるのはここまでです。勿論、侵入はしません。ここは原子力発電所です。なかには警備員が90人もいて、監視カメラもたくさんあります。そもそも原子力安全は私が最も尊重するものです。

 奥の人工的な丘は、標高(EL)100mくらいありそうです。これはなんでしょうか。私は最初、柿が谷(かきがたに)になぜロックフィルダムを造るのか不思議で仕方ありませんでした。

 はい、これは谷を埋めちゃったのです。NRA(原子力規制委員会)は、この奥の柿が谷にある二本の沢が土石流を起こし、発電所内施設に甚大な影響が生じうるとして対策を命じました。

 四国電力の出した答えは、この谷を残土捨て場として全部埋めるというものでした。まるでSimCity2000です。原子力発電所には縁起が悪い例えですが。

 柿が谷の埋め立ては、たいへんに大規模なものですので、工事開始前の写真と共に経過を遡りましょう。

◆大変なコストをかけている埋め立て

 柿が谷は、二股の谷で県道は柿が谷橋によって谷をまたぎ、トンネルに入ります。橋は、伊方発電所第二動線として改良なった県道255号線に残る最大の弱点で、冬期は凍結し、大地震の際には通行止めや、通行規制となる可能性があります。

 凍結はともかく、耐震性の向上策として、橋脚を谷と一緒に埋めてしまい、土石流対策と残土対策の一石三鳥を目指したものとも言えます。

 但し、もはや地形は完全に破壊されますので、復元は不可能ですしたいへんなお金がかかります。また埋め立て地はロードローラなどで押しつぶしてはいますが、安定するまでには10年単位の時間がかかりますので、使い道がありません。

 これは最近忘れられていますが、60年代、70年代の原子力発電所は、誘致の際に原子炉運用が終われば完全解体後、原状回復するという説明がなされていたことが多いのですが、伊方発電所ではもはや原状回復は不可能です。

 原子力発電所は、寿命になったら完全解体して、新しい原子炉に建て替えるという考えは、昭和50~55年頃に現れたもので、古い発電所では解体して原状回復するという説明がなされている場合があるのです。ただし、この件は今更どうしようもないですし、伊方発電所1号炉建設の際に寿命後どうするか説明がなされていたかも今は分かりません。

 そして、発電所裏側だけでもこのような大規模工事を行って獲得できるものがたったの900MWe級発電機一基のみで残余寿命が15年、延長しても35年という問題があります。費用対効果は大きく劣化することになります。

 たったの900MWeで寿命が半分以下の原子炉のためにこれだけの自然改造工事を行うことが妥当なのか。蓮池さんとこの点を論じましたが、今では天然ガス火力があり、妥当性はきわめて怪しいと言えます。

 一方、四国電力は伊方3号炉を守るためにたいへんな努力と投資をしていることがよく現れていると言えます。

 今回は、伊方発電所の裏側から蓮池さん一行を案内したところまでをご紹介しました。我々は、ここから県道に戻り、大部分埋まってしまった柿が谷橋を渡って伊方発電所の表側に向かいました。

 表側正門で、蓮池さんは更に驚くことになります。我々には見慣れた景色が、蓮池さんにとっては余りにも新鮮だったのです。

 次回はそこから始まります。

『コロラド博士の「私はこの分野は専門外なのですが」』番外編:蓮池透氏四国リレー講演会1

<取材・文・撮影/牧田寛 Twitter ID:@BB45_Colorado >

まきた ひろし●著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。勤務先大学との関係が著しく悪化し心身を痛めた後解雇。1年半の沈黙の後著述家として再起。本来の専門は、分子反応論、錯体化学、鉱物化学、ワイドギャップ半導体だが、原子力及び核、軍事については、独自に調査・取材を進めてきた。原発問題についてのメルマガ「コロラド博士メルマガ(定期便)」好評配信中

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