安倍首相肝いりの候補、北村経夫参議院議員の演説会に統一教会信者が大量動員

安倍首相肝いりの候補、北村経夫参議院議員の演説会に統一教会信者が大量動員

北村候補の演説会で盛り上がる信者たち

 参院選の折り返しとなった12日、埼玉県で開かれた北村経夫候補(全国比例・自民党)の演説会に統一教会(家庭連合)の信者が集結、演説会自体も同教団の政治団体関係者によって取り仕切られていたことが判った。

◆官邸と教団との関係を示すキーマン

 参院選運動期間中の7月12日、埼玉県さいたま市大宮区のさいたま市民会館おおみや市民ホールで自民党の全国比例候補、北村経夫参議院議員の個人演説会が開かれ、下村博文や杉田水脈など多くの国会議員が応援弁士として登壇した。

 

 北村と言えば、初出馬となった前回2013年の参院選で統一教会の組織票約8万票の上乗せによって当選を果たした議員だ。その際には、安倍晋三首相からの「じきじきの後援依頼」が記された教団内部文書の存在が明らかとなった他、選挙運動期間中に菅義偉官房長官の「仕切り」によって北村が極秘裏に福岡県下の複数の同教団地区教会で講演を行っていたことも発覚した(参照:"自民党安倍政権と統一教会。2013年参院選時に蠢いた策動<政界宗教汚染〜安倍政権と問題教団の歪な共存関係・第1回>"|HBOL)。つまり北村は教団と首相官邸との関係を示すキーマンというわけだ。

 当選後、北村は同教団との関係を絶った。その恩知らずぶりに同教団の政治組織・国際勝共連合の幹部は「誰のおかげで国会議員になれたと思ってるんだ」と憤りを露にしていたという。しかし、任期が残り2年余りとなった2017年5月以降、一転して北村は教団イベントへ積極的に来賓出席し教団詣でに勤しんできた(参照:"韓国の新興宗教に忠誠を誓う自民党・国防部会長<政界宗教汚染〜安倍政権と問題教団の歪な共存関係・第7回>"|HBOL)

 そんな北村に統一教会が再び選挙支援を行うのか? 確かめるため大宮へ向かった。

◆受付ロビーに勝共連合関係者が

 ホール内に入り客席を確認する。前方の席の一つに貼り付けられていたのは「FWP埼玉役員」と印字されたA4紙。FWPとはやはり教団の政治組織・世界平和連合の略称であり、主に関係する政治家の後援会活動を行っている。

 ステージから見て右側の席の一角を年配女性を中心としたグループが占めていた。お揃いの赤いハチマキを首にかけ北村の顔写真と「勝利」の文字が印刷されたうちわを手にしている。

◆取材・撮影NGを告げる主催者

 ホール内で写真撮影を行っていると演説会の主催者らしき男性から外へ出るよう告げられた。施設外まで追い立てようとしてきたためそれ以上の同行を拒否し、ロビーで応じた。

 男性に統一教会や勝共連合の関係者か訊くと「北村候補を応援しているだけ」「いろんな人がいますから」と言葉を濁し、明言を避けた。

4〜5人の男性スタッフに囲まれ詰問される。

「何しに来た」「取材は許可していない」「撮影した写真を消去しなさい」

 ジャーナリストとして取材に来た旨を告げたところ「左翼ジャーナリストの取材は許可しない」と筆者を「左翼」と決めつける始末。

 受付や会場内のどこにも取材や撮影を禁じる旨は示されておらず、司会の市議会議員からは「場内での飲食は禁止」とアナウンスがあったのみ。主催者側の対応は明らかに筆者を排除しようとするものだ。

 一市民として聴講する旨を告げ、ホール内に戻った。取材や撮影を行わないとは言っていない。来賓席エリアを再度確認すると「FWP埼玉役員」の紙は剥がされていたが、しばらくして大柄な男性が座った。

◆北村応援団が盛り上げ

 演説会が始まった。立ち見も出るほどの盛況だ。2015年の教団名変更に多大な貢献をしたとされる元文部科学大臣の下村博文(*)が演説を始めると、北村応援団は一斉にうちわを手に立ち上がり大歓迎。(*:"自民党安倍政権と統一教会。教団名変更認証に安倍側近閣僚が関与か?<政界宗教汚染〜安倍政権と問題教団の歪な共存関係・第3回>"|HBOL)

 筆者の前の席の年配男性が何度も撮影をしていたため、主催者に撮影禁止なのではと手振りで伝えたところ「あの人は後援会の会長で、記録用に撮っている」と説明があった

 地元選出の国会議員の応援演説が続いたあと、杉田水脈が演題の前に。筆者の前に座る北村の後援会会長も拍手で盛り上げる。

 杉田は今年4月、勝共連合熊本県本部の代表者が事務局長を務める団体が主催するシンポジウムで主賓として講演している。(参照:"原田環境大臣、就任前に杉田水脈議員との講演会で韓国大統領を「文鮮明」と失言<政界宗教汚染〜安倍政権と問題教団の歪な共存関係・第12回>"|HBOL)

 そしていよいよオオトリは北村経夫だ。北村がマイクの前に立つと後援会会長が周りの女性たちに指示、一斉にうちわが振られ横断幕が掲げられる。客席の半分以上がこの手の統制下にあった。

 そして演説会の締めは聴衆と一体となって行う「頑張ろう!」のシュプレヒコール。全員が立ち、拳を突き上げ叫ぶ。筆者の目の前では拳と共にうちわが突き上げられた。

◆教団幹部を確認、北村応援団も全員信者

「頑張ろう!」コールが終わり、閉会が告げられた。「FWP埼玉役員」席に座っていた人物がいち早く退場する。教団の松濤本部で長年に渡り復興局副局長や対外協力局長などを歴任してきた安榮燮(アン・ヨンソプ)東埼玉教区長だ。(参照:世界平和統一家庭連合浦和家庭協会協会長挨拶)

 後を追う北村。

 取材データを確認すると、開演前、客席のいたる所で来場者と親しく言葉を交わす安榮燮教区長の姿を確認できた。

 北村の後援会会長に声をかけたが、手を払う仕草で拒否。

 うちわを振っていた年配女性たちに訊いた。

――皆さん、家庭連合の方?

女性たち:「そうです」

 やはり北村応援団は統一教会信者で構成されていた。

◆北村を直撃、6年前の再現か

 ロビーで帰途につく来場者一人一人と握手する北村に尋ねた。

――今回、統一教会の信者がいっぱい来てるんですけど支援は受けているんですか

 北村は首を傾げ、一瞬の間を置いてこう答えた。

「中にはおられるかもしれないですね」

 教団政治団体関係者によって取り仕切られ、多くの信者が参加した北村の個人演説会。6年前と何ら状況は変わっていない。

*追記: 14日、都内で北村の個人演説会が開かれた。

 現地で取材に応じた北村事務所の政策秘書は「大宮の現場では裏の方に回っていたので一部始終は判らないが」と前置きした上で、大宮の演説会場で北村事務所が把握するスタッフ以外の人物たちが来場者を仕切っていたことについてこう答えた。

「依頼もしていないし仕切ってくれとも言ってない」

 6年前、北村事務所に取材した時と同様に「勝手に応援している」ということなのであろうか。

(文中敬称略)

<政界宗教汚染〜安倍政権と問題教団の歪な共存関係・番外編>

<取材・文・撮影/鈴木エイト>

【鈴木エイト】

すずきえいと●やや日刊カルト新聞主筆・Twitter ID:@cult_and_fraud。滋賀県生まれ。日本大学卒業 2009年創刊のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」で副代表〜主筆を歴任。2011年よりジャーナリスト活動を始め「週刊朝日」「AERA」「東洋経済」「ダイヤモンド」に寄稿。宗教と政治というテーマのほかに宗教2世問題や反ワクチン問題を取材しトークイベントの主催も行う。共著に『徹底検証 日本の右傾化』(筑摩選書)

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