秋田で応援演説の小泉進次郎氏を直撃。「イージス・アショアになぜ触れないのですか?」

秋田で応援演説の小泉進次郎氏を直撃。「イージス・アショアになぜ触れないのですか?」

参院選告示日の7月4日、激戦区である秋田選挙区内の3か所で街頭演説、自民党公認で公明推薦の現職・中泉松司候補への支持を訴えた小泉進次郎・厚生労働部会長

◆配備予定地の秋田でも、イージス・アショアには一言も触れなかった

 自民党の小泉進次郎・厚生労働部会長が「参院選(7月21日投開票)」で全国を飛び回っている。告示日の7月4日には、まず滋賀県選挙区で「卒原発」で有名な嘉田由紀子・前滋賀県知事に苦戦している二之湯武史候補への応援演説を行った。

 その後、午後からは陸上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」配備の逆風に苦しむ中泉松司候補の秋田に駆けつけた。そして、秋田市を皮切りに大仙市と横手市でマイクを握ったが、争点となっているイージス・アショアについては一言も触れなかったのだ。

 自公推薦候補の応援演説で3回現地入りした去年9月の沖縄県知事選でも進次郎氏は、辺野古の「へ」の字も語らなかったのと同様、参院選秋田選挙区でもイージス・アショアの「イ」の字も口にしなかったのだ。

◆「中国と違って日本は自由」と、自民党への支持を訴える

 約12分間の演説で大半の時間を割いたのが、争点に急浮上した「年金2000万円問題」だ。ここでも進次郎氏は、麻生太郎・財務大臣が金融庁審議会の報告書を受け取らなかった“隠蔽工作”への釈明も謝罪もせず、「制度に対する理解不足が年金不安の原因」と強調した。そして、「人生100年時代に合わせた年金制度改革」に一緒に取り組んでいる中泉氏への支持を訴えた。

 続いて進次郎氏は、「(年金問題以外に)もう一つ、我々の世代が問われている大きなテーマは、アメリカと中国という二つの大きな国に挟まれている日本が何を強みに生きていくのかということです」と国際問題について語り始めた。

 アメリカについては「アメリカ変わって来ましたね。ずいぶんアメリカ人、変わって来ました」とだけで済ませた。そして大半を中国批判に費やし、”「自由民主党」は、中国と違って自由な選択が可能な国作りをしている”として、支持を訴え、演説を終えたのだ。

◆進次郎氏を直撃、「触れていないことは、他にもいっぱいある」

 筆者は、秋田新幹線で2か所目の街宣場所に移動しようとする進次郎氏を直撃、「(秋田で)イージス・アショアについて触れなかった理由は何ですか。大きな争点じゃないですか」と聞いてみた。

 進次郎氏は、筆者の方をちらりと見て「触れていないことは、他にもいっぱいありますから」と反論。すぐにスタッフが間に入って引き離された。

 スタッフに引き離されながら「秋田の重要な問題じゃないですか。イージス・アショアについて一言」と声を張り上げたが、進次郎氏は無言のまま改札口に入っていった。

 そこで、最後(3か所目)の街宣を終えて車に乗り込んだところを再直撃。「イージス・アショアに触れなかった理由は何ですか」と同じ質問をぶつけた。

 ここでも「触れていないことは、他にもいっぱいありますよ」という回答。「秋田が攻撃対象になるじゃないですか。アメリカのシンクタンクの『CSIS(戦略国際問題研究所)』の論文を読みましたか? イージス・アショアが『太平洋の盾』になると。ハワイを守る前線基地になるんじゃないですか」と窓越しに声をかけたが、無回答だった。

◆進次郎氏はかつて所属していたCSISの論文を読んでいないのか

 進次郎氏はかつて、CSISで研究員をしていた。イージス・アショア関連記事で何度も紹介してきた論文「太平洋の盾:巨大なイージス駆逐艦としての日本列島」を出したCSISに在籍していたのなら当然、進次郎氏は論文に目を通し、秋田と山口がハワイとグアムの米軍基地を守る米国防衛の前線基地として機能し、有事の際に専制攻撃対象となってしまうことは知っているはずだ。

 それなのに進次郎氏は、生命や安全や財産が脅かされる可能性のある秋田県民を前にして、説明責任を果たそうとしなかったのだ。

 告示6日後の7月10日、2回目の滋賀選挙区入りをした進次郎氏を再直撃。走り去る車の窓越しに「CSISの論文は読んでいないのですか」と同じ質問をぶつけたが、この時も無言のままだった。

 トランプ大統領に「NO」と言えない対米従属の安倍首相がイージス・アショア購入を決定、日本国民の税金を米国軍需産業に貢いでいる。そればかりか、日本領土の一部を米国本土の防衛基地として献上するに等しい“下僕外交”を目の前にしてもなお、進次郎氏が口をつぐんでいるのは、将来の総理候補としては情けないのではないか。

 父親の小泉純一郎・元首相は、安倍首相に対して「原発ゼロ社会を目指すべきだ」と真っ向から批判し、原発推進政策からの転換を訴えている。息子の進次郎氏が「米国益第一・日本国民二の次」の安倍政権(首相)に対して、異論を唱える日は来ないだろうか。

<取材・文・撮影/横田一>

【横田一】

ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数

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