全国屈指の激戦区。宮城選挙区・自民党の世襲候補、愛知治郎氏への三原じゅん子応援演説をファクトチェック<参院選2019>

全国屈指の激戦区。宮城選挙区・自民党の世襲候補、愛知治郎氏への三原じゅん子応援演説をファクトチェック<参院選2019>

YouTube「komekomehouse」チャンネルより

◆激戦の宮城選挙区応援演説の三原じゅん子発言が物議

 参院選投票日まで残すところあと4日と。各地で候補者が懸命な選挙活動を展開中だ。

 そんな中、接戦選挙区には各党首脳や人気議員が応援演説に駆けつけ、接戦中の現地候補を応援する光景が見られている。

 応援演説では、自党候補の優位点や政策の魅力を伝え、時には相手候補を批判するのが相場。しかしその批判に嘘が混じっていてはとんでもないルール違反となる。

 当サイトでもお伝えした立憲民主党の新人候補、石垣のりこ候補が、3代続く政治家一族である愛知次郎候補を相手に当初の予想を裏切り快進撃を続け、各社の情勢予想でも「接戦」とまで報じられるところまで持ち込んでいる宮城選挙区。7月15日に世襲の愛知治郎候補の応援演説に訪れたのは、「恥を知りなさい」演説で一躍話題になった自民党女性局長・三原じゅん子だ。

 三原じゅん子の応援演説が、なんと相手候補が言ってもいないことを捏造した、虚偽混じりの演説だとしてSNSを中心に批判の声が渦巻いているのだ。

 YouTubeには問題の三原演説の全編が公開されている。そこで、三原発言を全文書き起こしの上、それを見ながら三原じゅん子の応援演説についてファクトチェックしていこう。

◆三原発言全文起こし

“改めまして皆さんこんにちわ!

 ご紹介いただきました自民党女性局長参議院議員の三原じゅん子でございます。

 本日は愛知治郎候補が大変厳しい戦いをしているとということで、なんとしても直接皆様方にお訴えをさせていただきたい、その一心で駆けつけさせていただきました。

 愛知治郎候補、もう皆様ご承知の通り、何よりもこの宮城県の復興ということに全身全霊をかけて、復興副大臣としてそしてまた総予算に大変関わってくる財務副大臣としてこの宮城県のためにとにかく必死で、走り続けてまいりました。

 そして参議院自民党の中では政策の最高責任者であります政審会長として私たちの先頭に立って私たちの政策を作ることで引っ張っていってくれた、これが愛知次郎候補の姿であります。

 これだけ、愛知県のために必死で、結果を出してきている。その候補者が大変厳しい戦いをしているということ、私は本当に信じられない思いでいまここに立っております。

 実績を考えればなんでそんなに厳しいのか、相手候補のことを私も調べて参りました。そうしましたら、私も全国いろいろなところで、応援に入らせていただいて、野党統一候補という方たちの考えを見聞きしてまいりましたけれども、まあこの宮城県の野党統一候補は、仰っていることが私は怒りを通り越し、呆れています。

 まず、消費税に関して、ゼロ、撤廃というようなことを仰っている。私達自民党は、とにかく経済を強くして、経済を強くして、さまざまな政策、社会保障であるとか、そうしたことに振り分けていく。その果実(?)を振り分けていくんだということで、経済政策に必死で取り組んできた6年半でありました。

 しかしながら、消費税・恒久財源を減らすということは、そうした社会保障というものを、低負担ならば、低福祉になる、これ当然のことであります。ということは、相手候補は、福祉ということに関して、低くていい、社会保障のサービスは低くていい、とこう仰ってるということでよろしいんでしょうか?

 私はぜひ、そのことを聞いてみたい。医療・年金・介護・福祉・子育て、こうしたことに私達自民党はしっかりと光の当たらない方たちのところに、光を当てよう、手を差し伸べようと今必死に取り組んできているんです。

 そして、この10月から3歳から5歳の子供たち、すべての子どもたち幼児教育保育の無償化ということが決まりました。

 これは全世代型の皆さん、子育て中の若いお父さんお母さんたち、教育費の負担というものを減らして差し上げたいそういう思いから、思え切った大胆なこうした政策を打ち出させていただいたんです。

 こうしたことも必要ないとおっしゃるのでしょうか?

 私たちはこれからも、とにかく経済を強くしていく。それが復興のためになるんだということをずーっと訴えをさせて頂いてきました。

 今この宮城にとって、やはり、復興ということは、みなさん一番に考えなければならないことではないでしょうか。

 そしてその、この現状において今、愛知治郎候補以外、選択肢があるでしょうか?私はそのことを、宮城県の皆さんに心から問いかけたい。そう思っています。

 選挙になると耳障りのいいことばっかり言って、国民の皆様を欺くようなお約束をする候補者が現れてくるんですよ。でももう皆さん一度、経験してるじゃないですか?それが実現しましたか?そうその、政権のために、その政権のせいで私たち安倍政権はこの経済を取り戻すためにどれだけ6年半経済政策を打ち出してきたか、もう一度皆さんに思い出していただきたいんです。

 そんな余裕は、夢物語に付き合う余裕は、今の宮城県には私はないと思っています。

 何をするにも私たちが何を政策を打ち出していくにも財源が必要なんです。そのことを語らずに夢物語に付き合っている暇はない。このことを私は皆様方に申し上げたいと思います。

 そしてこの大変厳しい厳しい参議院選挙でありますよ。皆さんに一つだけ覚えておいていただきたいことがあります。

 今、他の野党の人たちは安倍政権を倒せ、かけ声をして戦っています。でも皆さん参議院議員選挙というのは政権を選ぶ選挙ではないんです。

 どんなに頑張っても安倍政権倒すことができません。参議院議員選挙というのを皆さんと地元の宮城県の代表の政治家は誰が一番ふさわしいのかを決める選挙なんです。

 そしてこの宮城県からはたった一人しかそれを選ぶことができないんです。皆さんこの大事な大事な宮城県から、与党の政治家が1人もいないなんてことが絶対ないように皆さんに正しい判断をしていただきたいと思います。

 そして、愛知次郎候補は、その参議院議員の中でも、本当に私たちの先頭に立ってくれる素晴らしい政治家たることは皆さんが一番よくご存じのはずだ。なのに、こんなに厳しい戦いをしているということを皆さんもう一度なぜだろう、なぜなんだろうと考えてみてください。

 夢物語に付き合ってる暇はないんだ。現実を見ましょう、皆さん。そして、令和という時代が、新しい時代がこれから本当に皆さんのために、どの政治家が導いてくれるのか、真っ正面から言いたくないことも言って、皆さんとともに、痛みを分かち合いながらでも国のために宮城のために、陽の当たらない方たちのために、一緒に前に進む、その政治ができることは誰かということをもう一度一緒に考えようがありません皆さん。

 これは愛知次郎しかいないということを、心から皆様方にお伝えをし、なんとしても勝たせていただきたい、自民党のためでもない、まして、愛知治郎本人のためでもない、宮城県のためです。日本のためには、この選択肢しかないんだということをもう一度改めてお願いし、私三原じゅん子からのお願いとさせていただきます。”

 また、別の場所での応援演説ではこのようなものもあった。

“私も相手候補のこと、調べて参りました。どういう話をしているのか、どういう立場で、どういう思想を持っているのか、調べて参りました。そこで私は、びっくりするやら、呆れるやら、そんなことが次々と出てきました。まず、「日本は先進国の中で一度も日本は先進国の中でこの30年間、一度も賃金が上がったことがない」と仰っている。何にもご存知ないんですね。少しは新聞読んだらいいのに”

 さて、ここから発言のファクトチェックをしていこう。

◆初っ端「宮城県」を「愛知県」と言い間違え、以降は嘘だらけ

 まずは愛知次郎候補の応援演説で宮城県を愛知県と言い間違えるという痛恨のミスからスタートした三原じゅん子。

 このあとは言い間違いではなく、「相手候補のことを調べた」と言いつつ、言ってもないことをさも石垣のりこ候補が言ったかのような、「デマ」とも言える発言を連発し始める。

1:相手候補は消費税を撤廃すると言っており、これはつまり、福祉ということに関して、低くていい、社会保障のサービスは低くていい、と言っている。

判定:虚偽。

 石垣候補の政策は本サイトでも既報だが、まず消費税減税もしくは撤廃に伴う代替財源としては、過去の税収推移において消費税税収増の一方で法人税や所得税がそのままとなっており、消費税増税分が法人税や所得税の「肩代わり」になっていると指摘している。所属が低いほど税負担が高くなる「逆累進性」を有する消費税などは、撤廃をした場合でも企業と高所得者から徴収しるというまっとうな累進性を持った税制にすれば良いとしており、財源を減らすとか、福祉や社会保障は下げるとは一切言及していない。

 また、社会福祉政策についても、愛知候補がその政策パンフレットの中で、”子育て支援や教育改革に取り組み、子供たちが未来に夢を描ける、子供たちに胸を張れる政治”やなどと触れている以外は、介護や年金の問題にも触れられておらず、具体的な政策に欠けていることはすでにお伝えした通り。

 反面、石垣候補は少子高齢化対策として、「子供を育てる環境作り」を掲げ、そのためにまずは大人が「余裕」を持てる社会づくりとして、賃上げを筆頭に、教育や保育従事者の就労環境改善という具体的な施策を掲げている。

2:10月から3歳から5歳の子供たち、すべての子どもたち幼児教育保育の無償化が始まる。

判定:一部事実だが、入園できた児童が対象なわけで「すべて」ではない。

 幼児教育・保育を無償化の改正子供・子育て支援法が施行されるのは事実。無償化に必要な財源は7764億円で消費税引上げ分で充当するとされている。しかし、無償化の前に待機児童の問題などは依然として残っており、このまで行けば待機児童を抱えて保育園などに入れられない世帯はその恩恵に預かることなく、不公平感が増すだけだと言われている。

 実際に、育児世代からは「無償化より保育士不足解消や保育施設を増やしてほしい」という待機児童対策を望む声も少なくなく、過去にはインターネット署名サイトでは3万人超の賛同者を集めている。

3:こうしたことも必要ないとおっしゃるのでしょうか?

判定:虚偽。石垣候補は言っていない。

 問いかけのような体裁を装っているが、言っていないことをあたかも言ったかのように印象操作するのは卑劣としか言いようがない。

4:石垣候補は「日本は先進国の中で一度も日本は先進国の中でこの30年間、一度も賃金が上がったことがない」と言っている

判定:虚偽。言ってない。

 石垣候補の政策パンフレットでは、「G7各国と日本の賃金上昇率を比較すると、日本の賃金だけが30年間ほとんど上昇していません」と書いてある。これを「一度も賃金が上がったことがない」というのは、政治家としての能力以前に、基本的な読解力に難があるとしか言いようがない。

◆三原のデマ応援演説こそ「今の自民党」のあらわれ

 宮城県の石垣候補の予想外の善戦。それは、彼女が夢物語を語っているからではない。3代政治家の世襲に甘んじているのか、何ら具体的な政策を打ち出さずに選挙戦に挑んだ愛知候補に比べ、具体的かつエッジの利いた政策を打ち出す石垣候補の訴えに耳を傾ける人が多いからではないか? そして、三原は「選挙になるとうまいことを」というが、消費税増税やイージス・アショア配備の問題、さらには北方領土政策にアベノミクスの失敗など、ありとあらゆる不都合な真実を語らない自民党はどうなのか?

 ただただ候補者に関する「デマ」を吹聴する三原の応援演説に、まさしく「やってる感」と「隣国への敵対感情を煽ること」だけで支持を維持しようとする安倍政権ひいては自民党の卑劣な姿が重なってならない。三原じゅん子こそ、「恥を知る」べきだろう。

<文/HBO編集部>

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