れいわ新選組・山本太郎代表、参院選後初の街頭演説で「韓国への紳士的対応」を訴える

れいわ新選組・山本太郎代表、参院選後初の街頭演説で「韓国への紳士的対応」を訴える

山本太郎代表

◆山本太郎代表が街頭演説で安倍政権を一刀両断

 日本政府は8月2日、韓国に対して輸出管理上の優遇措置を受けられる「ホワイト国」除外を閣議決定すると、韓国側も「我々も日本をホワイト国から除外し、WTOへの提訴準備を進める」と表明。さらなる日韓関係悪化で日本製品不買運動や訪日韓国人観光客減少などに拍車がかかることが確実な情勢だ。

 閣議決定前日の1日、参院選で2議席獲得をした「れいわ新撰組」の山本太郎代表が新宿駅西口で街頭演説を行った。気温は30℃近く、非常に蒸し暑い夜だったが、駅前を埋め尽くした聴衆たちは熱心に耳を傾けた。

 山本代表は次の衆院選での政権交代を呼びかけた後、聴衆との質疑応答(記者会見)に臨み、日韓関係悪化を招いている安倍政権(首相)の強行姿勢について「小学校高学年くらいの考え方はやめましょう」と批判。「日本にとって韓国は、年間6兆円も儲ける貿易黒字国」と指摘しながら「冷静に行こう」「もっとうまいことやろう」と、成熟した国としての紳士的対応を求めた。

 野党第一党・第二党の、枝野幸男・立憲民主党代表と玉木雄一郎・国民民主党代表が、日韓関係悪化問題ではストレートな安倍政権批判を控える中、山本代表は踏み込んだ発言で安倍政権(首相)を一刀両断した。

◆韓国への感情よりも、輸出額6兆円のほうが大事

 山本代表は、ナショナリズムを煽る政治手法が日本の国益を損ねていることを、データを示しながら次のように訴えかけた。

――(参加者)いま僕が太郎さんに伺いたいのは韓国との問題です。徴用工の問題があったり、日本が輸出の規制をしたりしていいます。日本がアジアのリーダーになるのだったら、やり方が間違っているのではないかと思っています。太郎さんはどう思いますか。

山本代表: 日韓関係、「これが悪化して喜ぶのは誰だ」ということですよ。申し訳ないのですが、アジア諸国に対してあまりいい感情を持っていない人たちがいるというのは知っています。いろいろな思いがあるのがあるのは分かります。

 けれども「国の場所は動かせない」ということです。同じ町内に自分の苦手とする人がいて、「我慢がならない」と引っ越しをすることは可能だけれども、国の位置は動かせないのでしょう。だとしたら、うまくやっていくしかないのです。

 それでね、「舐められてたまるか!」「ぶっ潰してやれ!」というような小学校高学年くらいの考え方は止めましょうということなのです。誰も得をしない。

 いろいろなことを鑑みて、「これはうまくつき合った方が絶対に得なのだ」ということが言えるものをこれからご覧に入れます。(モニターの画面にデータを提示)

 日本から韓国への輸出総額は6兆円(2.8兆円の黒字)ですよ。この6兆円がなくなってもいいと思うなら、好きなことを言ってください。でも私は、そのような感情よりも6兆円という利益を大事にしたい。皆さん、どうですか。

 ナショナリズムを煽りながら「あの国がどうだ、こうだ」とどんどん煽りながら、自分たちがやっている政治のマズさにベールをかける。内政の行き詰まりを、ナショナリズムを使って隠そうとする政治。まさに、今じゃないですか。うまくやるしかないじゃないですか。その利益(輸出額)が6兆円もあるんですよ。

◆不当な扱いだというなら、国際社会を通じて訴え続けるしかない

山本代表:中国はいくらぐらいあるのでしょうか。中国も14兆円、日本から輸出をしている。総額14兆8879億円。もちろん中国からも入れて(輸入して)いますよ。これだけ大きな取り引きがお互いにされているということは、切っても切れないんですよ。

「(日韓関係や日中関係を)うまいことやれや」ということなのです。うまいことやるつもりがないのなら、政治などやる必要がない。

 外交の失敗が(貿易戦争も含む)戦争です。戦争をしないために政治がある。相手国に対して、言いたいことがあるのはお互い様でしょう。そこを乗り越えるのが大人なのではないの。そこを乗り越えるのが政治なのではないの。

「弱い犬ほどよく吠える」ということはやめましょうということなのです。「もっと、どっしりと構えなくてどうする」ということなのです。逆に言えば、「向うの国から不当な扱いをされた」と言うならば、国際社会を通じて訴え続ける以外にない。それが大人の手段なのです。

 そうでないならば、(日韓関係をさらに悪化させることを)やってしまうしかない。でも、やってしまうということによって、これだけ大きな損失がある。これ(年間6兆円の輸出額)ほど大きな損失が出ることなら止めましょうよということなのです。本当に単純なのです。

◆国益のためには冷静になって、2国間に亀裂が入ることはしてはいけない

山本代表:内政の失敗、数々あるじゃないですか。あなたが息苦しいとか、消えたくなるとか。(聴衆の若者から「韓国は死んでしまえ!」というヤジが飛んだのを受けて)「韓国は死んでしまえ!」と言われている方がいらっしゃいましたが、韓国は死にません。日本も死なないように。

 恐らく(ヤジを飛ばした若者は韓国と)交流がないのでしょうね。私なんかは芸能界にいたのですね。山本太郎、16歳の時から芸能界にいて、いろいろな作品に出ている中に韓国で撮影したものもあるんです。日本の映画で、韓国で撮影したものもあるし、日韓合作のものにも出たことがある。

 3か月とか半年とか撮影の期間、韓国にいたことがあります。当然、韓国のスタッフだとか、いろいろな交流があるわけですね。韓国映画界の人たちって、むちゃくちゃ日本映画に影響されているんですよ。

「何の映画を見て育って来たのか」「自分が尊敬する映画人は誰か」という話になった時に、いろいろな日本の映画人の名前が出てくるわけですね。一緒に仕事をしているものとして、尊敬しあって仕事をしていく。

 そういう交流、私は映画という世界だったけれども、恐らく他にもいろいろありますよね。(韓国と)交流があれば、(ヤジを飛ばした若者の)そういう気持ちも変わってくるかも知れないですね。文化的交流も必要になってくるだろうし。

「韓国死ね!」と言っている人が、この1か月に焼肉を食べているかも知れないし(笑)、キムチを食べているかも知れません。「ちょっと冷静に行こうぜ」ということなのです。

 いちばんは何かというと、国益のためなのです。そのためには不用意な発言で2国間の間に、亀裂が入ることはしてはいけない。たとえ相手方が(不用意な発言を)したとしても、日本側はあくまでも紳士的に対処するというのが国際社会のルールです。日本は成熟した国なのでしょう。成熟した国ならば、そのような対応が必要だと思います。

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 ナショナリズムを煽る政治手法の安倍政権(首相)に対して、山本氏は成熟した国としての紳士的対応を求めた。どちらが日本国益に即した発言をしているといえるだろうか。参院選の熱気と勢いをそのままに、日韓関係でも脱・安倍政治のメリットを力強く、かつ分かりやすく語る山本氏。いまや政権交代の“斬り込み隊長役”に急浮上し、野党陣営のリーダー的な存在感を示し始めたように見えるのだ。

<文・写真/横田一>

【横田一】

ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数

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