米軍駐留経費の7割以上を負担する日本に、米国がさらなる増額を迫る“愚”

米軍駐留経費の7割以上を負担する日本に、米国がさらなる増額を迫る“愚”

小西洋之参院議員

◆トランプ大統領もボルトン補佐官も、米軍駐留費を日本がどれだけ負担しているかを知らない!?

 先月来日した米国のボルトン大統領補佐官が「在日米軍駐留経費の日本側負担について大幅な増額を要求した」と、『朝日新聞』(2019年7月31日付)が報じた。

 同記事によれば、米国が日本に示した増額の規模は、最大で現状の「5倍」だという。これに関しては菅官房長官が会見で「そのような事実はない」と否定している。同記事の真偽は現状ではわからないが、米国が一貫して「米軍駐留費の負担増」を日本に迫ってきているのは事実だ。

「同盟のコストを米国ばかりが負担するのは不公平だ」――。トランプ大統領は先の大統領選の頃からそうした主張を繰り返してきた。しかし実は、トランプ大統領もボルトン大統領補佐官も、日本側がどれほど在日米軍を厚遇しているのかを知らないのではなないだろうか?

 すでに日本は在日米軍駐留費の7割以上を負担している。また、米国が日本に軍隊を置く理由は、単に日本の防衛に貢献するためだけではない。むしろ米国側のメリットを考えれば、日本の方が米国から基地の「使用料」を取っても良いくらいなのだ。

 確認できる数字としては、2004年に米国防総省が発表した米軍駐留各国の経費負担割合で、日本は74.5%を負担。これは英国の27.1%、韓国の40%など、他の米軍駐留国に比較しても最も高い比率だ。

 在日米軍基地従業員の人件費・光熱費・水道料金などの、いわゆる「思いやり予算」や、米軍再編関係費などを含めた在日米軍関係経費の総額は、直近の2018年度計上予算で約8022億円と、莫大なものだ。つまり、ボルトン氏に言われるまでもなく、日本側はすでに十分すぎるほど多額のコストを負担しているのである。

◆米国の軍事的プレゼンスを支えている、在日米軍基地と日米同盟

 また、問題は日本側が負担しているコストだけにとどまらない。米国が世界最強の軍事大国として覇権を保っていられるのは、在日米軍基地によるところが大きい。立憲民主党会派の小西洋之参院議員は「第七艦隊がなければ、米国は、1秒たりとも海軍の軍事的なプレゼンスを保持できません」と指摘する。

 第七艦隊とは、横須賀基地(神奈川県)を拠点とする米海軍の大艦隊で、その規模・戦力ともに「世界最強の艦隊」の名をほしいままにしている。日本近海を含む西太平洋全域からインド洋、さらに中東までもその活動範囲におさめる。ロシアや中国ににらみをきかせているのもこの第七艦隊だ。

 この艦隊はイラク戦争やアフガン戦争にも出撃した。イラク戦争開戦の最初の攻撃「衝撃と畏怖」作戦では、第七艦隊所属のミサイル巡洋艦カウペンスが、多数のトマホークミサイルをイラクへと撃ち込んだ。

「沖縄県民の皆様の歴史的な犠牲、周辺住民皆様のご負担があってのことですが、東アジア最大級の米空軍基地である嘉手納基地こそが、アジアでの米空軍の戦闘力を維持しています。圧倒的なアメリカの軍事的プレゼンスを与えている唯一の基盤が、日米同盟なのです」(小西議員)

 在日米軍基地や日米同盟は、米国側にとって負担というよりも、むしろ多大なメリットや重要性があるものなのだ。

◆在日米軍を撤退させたとしたら、困るのは米国のほう

 しかしトランプ大統領は、先の大統領選の最中から「日本が同盟のコストを払わないなら、在日米軍を撤退させる」とも主張していた。今年6月のG20サミットでも「日米同盟は片務的で不公平」「米国が攻撃を受けていても、日本はソニー製のテレビでそれを観ていられる」等の発言をしていた。

 そこまで言うなら、日米同盟を破棄して在日米軍を撤退させれば良い。だがその場合に困るのは、むしろ米国のほうだ。

 トランプ政権がどこまで傲慢にふるまうのは、日本の政府与党やマスコミがどこまでも弱腰だからであろう。在日米軍基地や日米同盟については、単なる「日本を守ってくれるもの」という認識しかなく、米国側の理不尽や要求に対して正当な反論もできない。

 いわゆる「徴用工問題」に端を発する韓国への強硬姿勢の10分の1でも、日本政府は米国に対して言うべきだ。日本としては本来、在日米軍に対して基地の使用料を取り立てるくらいがちょうど良いくらいなのである。

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