かつて原子力推進を「申し訳ない」と謝った小泉進次郎、安倍政権の原発再稼働に“お墨付き”を与える存在に!?

かつて原子力推進を「申し訳ない」と謝った小泉進次郎、安倍政権の原発再稼働に“お墨付き”を与える存在に!?

知事面談後に記者会見に臨んだ小泉進次郎大臣

◆小泉進次郎環境大臣、原発推進については何も触れず

 第4次安倍再改造内閣の“目玉”の小泉進次郎環境大臣(38歳)がさっそく、脱原発を願う福島県民の期待を裏切った。初入閣翌日の9月12日、いわき市の福島県漁連で前環境大臣の汚染水海洋放出発言について謝罪した後、福島県庁を訪れて内堀雅雄知事と面談。中間貯蔵施設や復興などについて意見交換をしたが、安倍政権の原発推進政策へについてはなにも触れなかったのだ。

 指名形式の記者会見が終わった直後、指名されなかった筆者は「原発ゼロを訴える考えはあるのでしょうか」と声をかけたが、進次郎氏はすぐに視線を背けて無言のまま立ち去った。前日の会見でも、原発再稼働の是非について考えを述べなかった。

 父親の小泉純一郎元首相は福島原発事故後、経産官僚ら原発推進派に「原発は安全・クリーン・安い」と騙されて推進した首相時代の過ちに気がつき、「過ちては改むるに憚ることなかれ」の気持ちから「原発ゼロ」を訴える全国講演行脚をスタート。「福島原発事故後、原発稼動ゼロでも電力不足にならなかった。即時原発ゼロは可能」と強調しながら、再生可能エネルギーへの転換を提唱している(小泉純一郎談・吉原毅編『黙って寝てはいられない』参照)。

 この訴えは福島県民の思いと重なり合うものだ。小泉進次郎大臣を県庁前で待ち構えて挨拶をしたWさん(福島市の女性)は「福島にまず来ていただいたことに感謝しています」と言いながら、進次郎氏の原発ゼロの旗振り役としての期待感を口にしていた。

「進次郎さんには、日本中に原発がないようにしてほしい。福島の悲劇を二度と繰り返さないために、第二の福島を作らないようにしてほしい。また原発事故が起こる可能性はないとは言えませんから。それが福島県民の願いです」

◆かつて原子力推進について「申し訳ない」と謝っていた進次郎氏

 16時からの面談では、内堀雅雄知事が進次郎氏に初めて会った日(2011年5月18日)のことを次のように振り返った。進次郎氏は、原子力推進について「申し訳ない」と謝っていたというのだ。

「原発事故から2か月ぐらい経った頃でした。当時、衆議院の予算委員会のメンバーとして(進次郎氏が)福島県庁に視察に来られました。私が驚いたのは、立ち上がって話した言葉です。『これまで原子力政策を進めてきた。その結果、福島県民の皆さまにこのような大変な迷惑をかけた。苦労をかけてしまっていることを本当に申し訳なく思う』と言って、深く頭を下げられました。それが今でも心に残っています」

 進次郎氏は、事前の県環境部長面談で「福島原発事故で除染などの事後処理業務に忙殺されて、それ以前の公園整備などの前向きの仕事に取り組みにくくなった」と聞いたことを明かし、「(県庁の)皆さんが前向きな仕事に専念できる環境を早く実現するため、環境省は全力でやる」との決意表明をした。

 しかし、こうした苦境の元凶となっている原発推進政策を、未だに安倍政権が続けていることについては、進次郎氏はまったく踏み込まなかったのだ。

◆“お友達内閣”安倍政権への批判をかわす進次郎氏の入閣

“進次郎氏の初入閣効果”は他にもある。安倍首相の“お友達内閣”との印象を薄めるのにも確実に貢献したのだ。

 例えば、国会で加計疑惑について追及された萩生田光一文科大臣は、官房副長官時代の2016年、加計学園獣医学部について「官邸は絶対やると言っている」などと発言したと記した文科省の文書が明らかになった。安倍首相と加計孝太郎理事長とのスリーショット写真も出回っている。本人は関与を否定し続けているが、洪水のような小泉進次郎大臣関連のニュースがこれをかき消してくれた。

 辺野古新基地建設についても小泉進次郎大臣は、安倍政権の実態(不都合な真実)を目立たなくする世論工作の片棒を担ごうとしている。9月15日付『読売新聞』の記事で小泉進次郎大臣は「世界自然遺産への登録を目指す『奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島』は、来月に現地調査を予定しており、世界遺産としての価値や保全の取組みを説明する。来年夏には確実に登録されるよう、関係機関と連携したい」と語っていた。

 しかし安倍政権は辺野古新基地建設のために、世界的に貴重なサンゴ群落が生息する大浦湾周辺で埋め立て工事を続けている。そうしたサンゴに大打撃を与える大規模な地盤改良工事にも踏み切る構えを見せている。環境破壊事業をゴリ押しする一方、世界遺産登録を目指すという支離滅裂な政策を沖縄で進めている。自公政権が、沖縄の自然環境を破壊している現実を隠蔽する目くらまし役を小泉大臣はしようとしているといえるのだ。

◆原発再稼働への「お墨付き」を与える役割も!?

 安倍政権が推し進める原発再稼働に「お墨付き」を与える役割も果たしそうだ。先の『読売新聞』の記事では「原子力防災担当として原発が立地する自治体の避難計画を、地域の気持ちに寄り添って作ることが大事だ」とも語っていたが、現在の日本の避難計画が“画に描いた餅”であることは、元新潟県知事の泉田裕彦衆院議員(新潟5区)が指摘している。

 歴代原子力防災担当大臣と同様に小泉進次郎大臣もまた、実効性の乏しいずさんな避難計画のまま原発再稼働が罷り通っている実態に目をつぶり、お墨付きを与えていくだけとなる可能性は十分にあるのだ。

 官邸言いなりの“客寄せパンダ大臣”に徹するのか、それとも安倍首相に「原発ゼロ」を進言した父・純一郎元首相のように日本の政治を変える旗振り役となるのか。小泉進次郎大臣の言動から目が離せない。

<取材・文・撮影/横田一>

【横田一】

ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数

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