フィンテックと地方創生で再注目される「地域通貨」。気になる通貨は…

フィンテックと地方創生で「地域通貨」に再注目 旅行客向けや環境保全など用途は様々

記事まとめ

  • 「地域通貨」は消費促進やボランティアなどの相互扶助を目的に、限定された地域で発行
  • 2000年代のブーム後は下火となったが、近年、地方創生やFinTechを追い風に再び注目
  • 沖縄の「スマイルタグ」は観光客にも人気で、外国人の免税処理にも役立てられている

フィンテックと地方創生で再注目される「地域通貨」。気になる通貨は…

フィンテックと地方創生で再注目される「地域通貨」。気になる通貨は…

沖縄のスマイルタグ

◆旅行客向け、環境保全etc.様々な用途で再注目される「地域通貨」

 地域内で消費促進やボランティアなどの相互扶助を目的に、限定された地域でのみ使える「地域通貨」。かつて’00年代にブームとなったが次第に下火となっていた。しかし近年、地方創生やFinTechを追い風に再び注目を集めている!

◆ポイント還元やサービス豊富な「スマイルタグ」

 企業が運営し、観光に特化した地域通貨がある。沖縄県那覇市の沖縄ツーリスト社が運営する「スマイルタグ」は、観光客にさまざまなサービスやポイント還元があるということで人気を呼んでいる。ユニークなのは、スマイルタグが外国人観光客の免税処理にも役立てられていることだ。

「クルーズ船で来る外国人観光客の方々は、パスポートのコピーを持参して買い物をしようとされる方が多く、読み取り機が対応できなかったのです。スマイルタグを利用することで、免税処理をスムーズに行えるようになりました」(沖縄ツーリスト担当者)

 昨年は12万4000人が使用したスマイルタグ。今後は那覇空港などの自動販売機でも入手できるようになり、ますます便利になりそうだ。

【スマイルタグ 沖縄県那覇市】

 沖縄ツーリスト社が運営。同社が企画するツアー参加者が使えるもので、ICカードで簡単に買い物ができ、ゲームにも参加できる。カードには最初から600円分がチャージされていて、100円ごとに1ポイント貯まり、そのポイントを次の買い物ですぐに使える。ドリンクサービス、利用先の店や観光施設でプレゼントをもらえるなど、さまざまな特典がある。こうしたお得情報は、公式サイトに随時アップされる。加盟する免税店では、30秒で免税書類の作成が可能。

◆旅行客向けでもっともお得なのは……?

 旅行客向けの地域通貨で最もお得と言えるのが、東京観光財団が発行する「電子しまぽ」。

 東京都からの助成金があり、7000円で1万円分、宿泊・飲食・買い物・アクティビティなどに利用できる。

【電子しまぽ 東京都伊豆諸島】

 スマホにアプリを入れてクレジットカードで購入し、7000円で1万円分の旅行商品券として使える。宿泊代、現地でのマリンスポーツや飲食費など150以上の加盟施設で使え、地域通貨の中でも最高の還元率を誇る。1万円の額面のうち3000円分については宿泊施設のみ利用でき、残りの7000円は全加盟店で利用できる。

◆いろいろなカードに相乗りして普及「めぐりん」

 電子地域通貨で「最も定着している」と評価が高いのが、’09年に開始された香川県の「めぐりん」だ。利用者は約3万人、加盟店は高松市などで約500店舗、発行額は年間約2000万ポイントに上っているという。成功の秘訣をめぐりん事務局に聞くと、「地元の商店街の皆さんが応援してくれたこと、いろいろなカードに相乗りさせていただいたこと」だと言う。

「当初は独自のポイントカードに貯められていましたが、その後イオングループの『WAONカード』や、香川大学の学生証、高松市の職員証や高松琴平電気鉄道の『IruCaカード』などに貯められるようになりました」

 昨年4月からはマイナンバーカードと連携、クレカのポイントや航空会社のマイレージなどをめぐりんポイントに交換するサービスも始まった。また、ポイントによる寄付もできるようになるなど、社会貢献にも力を入れている。

【めぐりんマイル 香川県高松市】

 地元企業のサイテックアイが「めぐりん事務局」を運営。加盟店での100円の買い物に対して1マイルを得ることができる。利用者は地元でのスポーツ観戦、健康増進活動などのイベント、ボランティアなどの地域貢献でもマイルの入手が可能。貯まったマイルは、1マイルを 1円相当として買い物などに使える。めぐりんマイルは、レジャーから住宅リフォームや冠婚葬祭まで使えるなど、その利用範囲は非常に広い。また、地元のNPO団体に寄付もできる。

◆お金で買えない地域通貨

 紙の地域通貨にこだわっているのが東京・高田馬場周辺で使われる「アトム通貨」。’04年4月7日に手塚プロダクションが商店街の人々とともに発行を開始した。この通貨の大きな特徴は、お金では買えないということだ。

「アトム通貨を入手するには、『地域』『環境』『国際』『教育』という理念に沿う社会貢献活動への参加が必要。例えばレストランでマイ箸を使ったり、アトム通貨に関してツイッターに投稿したり、実行委員会が主催・協力するイベントや加盟店でのプロジェクトに参加したりすることが必要です」(手塚プロダクション担当者)

 使う際には、ごはん大盛り、一品サービス、ドリンクサービスなどの特典があることも。ほかの地域通貨の多くが電子化する中で、あえて電子化をしないことについて担当者はこう語る。

「特に子供たちにとって、アトム通貨のコレクションはさまざまな社会貢献活動に参加した勲章となるんです。学生スタッフたちの中にも『子供の頃、アトム通貨を集めていた』という若者が何人もいます」(同)

 手塚治虫のメッセージは、アトム通貨とともに受け継がれているのだ。

【アトム通貨 東京都高田馬場ほか】

 高田馬場・早稲田を中心に流通。通貨単位は「馬力」で、1馬力=1円と換算。10、100、200、500馬力の、4種類の紙幣が毎年4月に発行され、翌年の2月末までが有効期限となる。NPOや町内会、ボランティアサークルなどの地域の団体をはじめ、実行委員会が主催(協力)するイベントや、加盟店のプロジェクトに参加することで入手できる。お金に換算できない行動に感謝の気持ちを込めて渡すことも。新座、春日井、新宿、女川に支部がある。

◆海岸のゴミが通貨に?!

 環境に貢献する地域通貨もある。「ビーチマネー」は、海岸の清掃活動の中で得られた「ゴミ」であるビーチグラスをそのまま地域通貨として活用するというものだ。ビーチグラスとは、海に捨てられたガラスの破片が、自然の波や砂に揉まれて角の取れた曇りガラスのような風合いになったもの。当初は事務局を担う堀直也さんのポケットマネーで運営していたが、現在はスローヴィレッジ社のエコ洗剤「オールシングス イン ネイチャー」の売り上げの一部が運営資金となっている。

「あくまで、ビーチマネーを使ってもらうことが目的ではなく、海がきれいになることが大事です」(堀さん)

【ビーチマネー 神奈川県湘南地域】

 ’07年4月に誕生した、「海をきれいにすること」ための地域通貨。湘南や伊豆、南房総など日本各地に加え、ハワイ、台湾と国内外155店舗あるビーチマネー加盟店では、直径3p以上の大きさがあり角が削れている「ビーチグラス」を「ビーチマネー」と認定(3p以上でも角が尖っているものは「ガラスの欠片」として、ゴミ袋に入れる)。1個30〜200円相当で、店での買い物やサービスの支払いに使える。民宿や居酒屋、エステサロンなど、さまざまな店で使用可能。

― 意外とイケる地域内通貨 ―

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