高税率なノルウェー人女性も憤慨。消費税日欧比較に見る日本の歪さ

【消費税10%に値上げ】ノルウェーの女性が日本は金持ちに甘すぎると指摘

記事まとめ

  • 軽減税率について、『イートイン脱税』や『正義マン』という言葉がSNSを騒がせている
  • 消費税率が25%と高額なノルウェーの女性は、日本の消費税に疑問を唱えている
  • 自国では富裕層にかなりの税金がかけられているといい、日本は金持ちに甘すぎると指摘

高税率なノルウェー人女性も憤慨。消費税日欧比較に見る日本の歪さ

高税率なノルウェー人女性も憤慨。消費税日欧比較に見る日本の歪さ

USSIE / PIXTA(ピクスタ)

 ついに10%になってしまった消費税。増税から1週間が経つが、複雑な軽減税率を巡ったトラブルや、小売業者や飲食店からの悲鳴は加速するばかりだ。

◆悲鳴が続出の消費税増税

 軽減税率については「イートイン脱税」や「正義マン」といった言葉がワイドショーやSNSを騒がせているのはご存知の通り。複雑かつ穴だらけの仕組みなだけに混乱が起きることが予想されていたが、案の定といったところだ。

 そして、増税そのものに関しても事業者からは苦しい声があがっている。都内のとあるバー経営者はその胸中をこう打ち明ける。

「うちも不本意ですが、メニューの値上げをしました。たかが100円ですが、もともと価格を抑えていたので、印象としてはかなりの値上げになってしまうう。そういう感覚も増税を決める側にはないんでしょうけど。メニューのレイアウトも変えるのにもお金と時間がかかりましたし、正直今後が不安です。インバウンドのお客さんは相変わらず来ますけど、前回の増税でも常連客の来るペースがだいぶ鈍りましたから」

 こうした小規模なお店でも客足が遠のかないよう、経済産業省は5%還元されるキャッシュレス決済の導入を推し進めているが、こちらも現場の声を聞くと政府の思惑とは大きな開きがあった。老舗大衆居酒屋の店主は呆れ顔で話す。

「ようやくキャッシュレスを導入しましたが、狭い店なのにバカでかいポスターやチラシ、シールが何枚も送られてくる。おまけにそれが一度じゃなくて、先日もまた送られてきた。完全に税金の無駄遣いですよ。キャッシュレスで還元されるお店が表示されるアプリもめちゃくちゃ。お店が2箇所になっていたり、微妙に地図上での位置がズレていたり、やっていることが雑すぎますよ」

 また、増税前の駆け込み需要も期待されたほどの効果はあがらなかったが、そんな状況に安倍首相は自らの発言が「消費者の不安を取り除いた」からだと主張している。当然、こうした安倍首相の妄言にはネット上でも「そもそも消費できる余力がもはや庶民にないからだ」と冷めた意見が飛び交っている。

◆「海外は消費税はもっと高い」のホントのところ

 さて、ブーイングが噴出している消費税増税だが、一部には擁護する声も出ている。その根拠になっているのが、「海外では消費税はもっと高い」というものだ。

 たしかに、欧州各国の消費税(付加価値税率)を見てみると、20%以上のところも珍しくない。(参照:財務省公式HP)

 ハンガリー 27%

 デンマーク 25%

 スウェーデン 25%

 ノルウェー 25%

 アイスランド 24%

 フィンランド 24%

 ポーランド 23%

 アイルランド 23%

 ベルギー 21%

 イギリス 20%

 フランス 20%

 オーストリア 20%

 EU圏内では一番低いルクセンブルグでも17%と、日本よりは圧倒的に消費税が高いことがわかる。ちなみに同じアジアでは台湾やベトナムが5%と日本よりは低いものの、中国は13%、お隣韓国は10%と、日本の消費税が特別高いわけではないことがわかる。

◆食料品や公共サービスは日本よりも安い

 こう聞いて「世界的に見れば、日本の消費税は高くない。だから我慢しよう……」と思った読者の方はよく飼い慣らされた「愛国者」かもしれない。しかし、そう考える前に、その消費税率の中身をよく見てほしい。

 日本では軽減税率は8%。しかも適用されるのは酒類・外食を除いた飲食料品、定期購読の新聞だけだ。

 ところが標準税率20%のイギリスを例に見てみると、食料品や水道水、医薬品はゼロ税率。さらに家庭用燃料や電力も5%となっている。同じく標準税率20%のフランスでも旅客輸送や宿泊施設の利用、外食サービスなどは10%、食料品や水道水、スポーツ観戦や映画は5.5%、医薬品は2.1%となっている。

 標準税率25%と高い部類に入るスウェーデンでも医薬品などにはゼロ税率が適用されており、食料品や外食サービスは12%と格段に下がる。また、旅客輸送や、雑誌、書籍、スポーツ観戦などは6%になっている。

 食料品や医薬品といって生活必需品だけでなく、日本では「贅沢だ」と叩かれそうな映画やスポーツ観戦でも税率は低く設定されている。つまり、ざっくり言ってしまえば、税率が高くとも、「健康で文化的な生活」を営むことに困らないだけの仕組みになっているわけだ。

 こうした消費税とその中身の違いについて、税率23%のポーランドに暮らす邦人男性はこう語る。

「外食すると日本と値段は大して変わりませんが、スーパーなどで買い物をすると圧倒的に安い。家賃も都市部は高いですけど、ちょっと郊外に行けばグッと安くなります。消費税は高いですけど、それで普段の生活で不自由を感じることはありません。何か贅沢をすれば当然お金はかかりますが、そうでなければ23%もあるんだと気づかないレベルだと思います。僕もあとからそんなにあったんだと知って驚いたぐらいです」

◆日本は金持ちに甘すぎる

 また、その使用用途についても、日本とは同じ消費税でも意味合いが異なってくる。25%と世界的に見ても税率が高額なノルウェーの女性は、「日本の消費税はおかしい」と声を荒げる。

「消費税はお金のない子どもや貧困層と、大金持ちが同じ金額を払うわけだから、そこを上げるべきじゃないと思います。北欧ではどこも税金が高いですけど、その代わり福祉がしっかりしていて、困ったときにはちゃんと助けが受けられる。日本では餓死する人まで出ていますけど、税金を払ってるから安心だと思えますか? ノルウェーでは富裕層にはかなりの税金がかけられますが、それでも彼らはリッチな暮らしができるほど儲かっている。なんで、日本はそんなに金持ちに甘いのか謎ですね」

 日本の消費税はなんとも不可解なものとして映っているようだ。

 兎にも角にも上がってしまった消費税。これで2%分の安心を本当に得られるのか? 我々が日々の暮らしで払っている税金が自然に消えてしまうことはない。いったい、どこに向かっているのか、その流れを注視する必要がある。

<取材・文/林 泰人>

【林泰人】

ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン

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