NHKから国民を守る党、立花党首の動画を全て視聴してみた<N国徹底解剖・Part1>

NHKから国民を守る党、立花党首の動画を全て視聴してみた<N国徹底解剖・Part1>

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◆動画を視聴し続けたら眠れなくなった

 ここ最近ニュースを賑わせている「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首。

 YouTubeでの対談動画における「あほみたいに子どもを産む民族はとりあえず虐殺しよう、みたいな」といった発言や、同党に所属していた議員に対する脅迫容疑で書類送検など話題には事欠かない。

 過激な発言や炎上商法と呼ばれる手法に多くの批判が集まる一方、「N国がどのような政党なのか?」や「立花氏がどのような人物なのか?」などを知る人は少ない。そこで、立花氏やN国を分析するために、立花氏のYouTubeチャンネルの動画を、全て視聴することにした。

 氏のYouTubeチャンネルには50.3万人の登録者がおり、1406本の動画がアップロードされている。2019年8月のYouTubeの広告収入は、約1247万円だったと動画内(2019/9/24)で公表している。

 立花氏は毎回、動画の冒頭と末尾で「NHKをぶっ壊す!」という決めセリフを言うのがお決まりだ。筆者は動画視聴が100本目を超えたくらいから、「NHKをぶっ壊す!」というフレーズが頭の中から離れなくなり、眠れなくなった。

「NHKをぶっ壊す!」が頭から離れず眠れない→眠れないため立花氏の動画を見る→「NHKをぶっ壊す!」が頭に残る→「NHKをぶっ壊す!」が頭から離れず眠れない→再び動画を見るというN国スパイラルに陥った。そんな拷問のような日々の中で、見えてきたN国像について分析していく。

◆そもそも「NHKから国民を守る党」とは?

 元NHK職員だった立花氏が2013年に立ち上げた政党。YouTubeなどを駆使し、主にインターネット上で支持を広げ、今年4月の統一地方選では、26人の区議や市議が誕生。さらに7月の参院選で立花氏が当選し、比例代表で2%以上の得票を集め政党要件を満たす政党になった。その後、北方領土について「戦争しないとどうしようもなくないですか」発言で、日本維新の会を除名された丸山穂高衆議院議員が入党し、衆参に1人づつN国党の国会議員が在籍している。

 しかし、今月8日に立花氏が記者会見を開き、参院埼玉選挙区補欠選挙への立候補を表明した。10日に補選の届け出が締め切られ、公選法の規定により立花氏は参議院議員を自動失職した。そして、今年7月の参院選挙で、N国比例名簿で次点だった浜田聡氏が、繰り上げ当選となる見通しだ。もし埼玉での補選に立花氏が勝利すれば、N国党は衆議院で1議席、参議院で2議席を得ることになる。

◆「生活保護費は現金支給から現物支給へ」という公約を掲載していた

 そんなN国の1番の特徴は、公約が「NHKのスクランブル放送化(スクランブル放送とは、受信契約した人だけが料金を支払い視聴するシステムのこと)」だけということだ。そして立花氏は、公約である「NHKのスクランブル放送化」が達成されれば、議員を辞職しN国党も解党すると明言している。

 立花氏は「NHKをぶっ壊す!」という言葉のとおり、(立花氏曰く)玄関先に貼っていればNHKの集金人が来なくなる効果がある「NHK撃退シール」の無料配布や、NHKに関する各種トラブルについて専門のオペレーターが対応する「NHKから国民を守る党コールセンター」を設置し、過激な発言のみならずこうした地道な活動で、NHKに対し不信感や嫌悪感を抱く国民からの支持を集めている。

 一方で、立花氏による「NHKは犯罪組織」(2018/06/06)や「NHKの集金人がどれだけ怖いか。むちゃくちゃする。全員ではないが暴力団関係者を普通に使っている」(産経新聞 2019年8月2日)といった発言は、主語が大きく事実関係が不確定だ。

 また、立花氏をはじめとした多くのN国党議員が、NHK集金人を動画で撮影しモザイクをかけずYoutube上にアップロードしており、一部で「人権侵害ではないか」といった批判を浴びている。

 ワンイシュー政党と思われているN国党だが今年の8月2日ごろまでは、HP上に「生活保護費は現金支給から現物支給へ」というもう一つの公約を掲載していた。生活保護者に現金やバウチャーではなく衣食住などを現物支給し、公共の施設に入居してもらうという内容だ。

「貧乏人は一箇所に集めて管理しろ」と言っているようなこの公約は、生活困窮者に健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的として作られた生活保護制度の趣旨に反するものだ。

 この公約は、現在HPから削除されているが、N国がかつてこのような主張をしていたことを忘れてはならない。

◆直接民主制の導入を目指している

 N国のもう一つの特徴は、インターネット投票による直接民主制の導入を目指していることだ。N国党の直接民主制とは、立花氏の動画(2019/09/04)によると、国会で議題に上がっている法案などについて、ネット上でアンケート(NHKのスクランブル放送化に賛成か反対かなど)を取り、賛成の場合は議員が国会で賛成票を投じ、反対の場合も同様にアンケート結果のとおりに議員は投票するものだ。

 参院選後には、安倍内閣への支持や原子力発電、外国人参政権などのお題で「アンケートにご協力ください」という動画を多数あげている。実際に、2019年8月17日の動画内で「明日東京MXテレビに行くべき?」というアンケートを取り、13万9316人がアンケートに回答し、そのうち72%が賛成票を投じたため、直接民主主義に則り立花氏が東京MXテレビ前に抗議しに行った。

 直接民主制を導入した際のN国党議員の仕事は主に2つ。1つ目は、アンケート結果に基づき国会で投票すること。2つ目は、政策提言を行いその是非を問うことだ。もちろんアンケートで反対という結果が出れば、提言をした議員はそれに従わなければならない。従わなければその議員を除名処分にするそうだ。

「公約がNHKのスクランブル放送化だけ」と「直接民主制」、この2つが、他の国政政党にはないN国党の主な特徴だ。

 次回は、N国党所属議員の過去の発言について取り上げて行く。

<文/日下部智海>

【日下部智海】

明治大学法学部4年。フリージャーナリスト。特技:ヒモ。シリア難民やパレスチナ難民、トルコ人など世界中でヒモとして生活。社会問題から政治までヒモ目線でお届け。

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