「消費減税」の旗のもと、集まりつつある野党陣営。注目は立憲民主党の動向

「消費減税」の旗のもと、集まりつつある野党陣営。注目は立憲民主党の動向

10月30日、馬淵澄夫元国交大臣(右)とともに立ち上げた「減税研究会」の初回会合に出席した山本太郎代表(左)

◆共産党、国民民主党と基本合意、野党結集まであともう一歩!?

 山本太郎・れいわ新選組代表が、9月の北海道ツアーに続く第2弾の九州ツアー(10月15日〜28日)を行った。

 山本代表が「消費税5%減税」を旗印にした野党結集・政権交代を訴えると、聴衆から大きな拍手が沸き起こった。その直後の10月30日には、同じ考えを持つ馬淵澄夫・元国交大臣と超党派勉強会の「減税研究会」を設立。初回会合に現職議員22名が参加した。

 そして翌10月31日には国民民主党の玉木雄一郎代表とネット番組「たまきチャンネル」で対談。消費税5%減税を含む経済政策全般で意気投合したのだ。

 すでに、共産党の志位和夫委員長とは9月12日の党首会談で消費税廃止を目標にすることで一致していた。旗印の「5%減税」についても「選択肢の一つ」(志位委員長)と賛同を得ていたが、 玉木代表との“ネット党首会談”でも両者の意見は同じだった。

 共産党に続いて、国民民主党とも実質的な基本合意に至ったに等しい。野党第1党の立憲民主党の対応が注目されるが、「5%減税」旗印の野党結集までもう一段階というところまでステップアップしたといえる。

◆玉木代表「家計を豊かにするしか持続的成長の方法はない」

 野党結集・政権交代の気運を確実に高めたこの対談(配信は11月2日)は、両者が同意する場面の連続だった。

 番組の冒頭で玉木代表は、米国ファッション雑誌『GQ』の日本語版『GQ JAPAN』に続いて、「特集:山本太郎現象」と銘打った『ニューズウィーク日本版』11月5日号(10月29日発売)でも山本代表が表紙を飾ったことに触れ、「社会現象になっている」と切り出した。

 そして「街宣(街頭記者会見)をネット上で見ている」と言いつつ、そこで繰り返している山本代表の主張に次々と賛同していったのだ。

 消費税5%減税を旗印に野党合意をすることについて、山本代表は「国民民主党より立憲民主党のほうが、ハードルが高いなと思っています」と語った。この発言を受けて、玉木代表は「消費税減税はありうると思っている」と自らの立場を明らかにしたうえで、次のように語った。

「『GDPの6割を占める消費をいかに回すのか』ということにあらゆる経済資源を投入しないと、経済成長はありえないと思う。とにかく景気を良くするには、お金がぐるぐる回った方がいい。好循環を作らないといけない。

 今までの経済政策は、好循環のスタート地点を大企業に置いていたのです。大企業が良くなれば、賃金が上がって労働者も取引先も、中小企業も地方も良くなる。これが今までの経済政策だった。民主党政権もそうですよ。

 これがもう回らなくなっていることはアベノミクスが証明してくれました。これからは好循環を作るスタートを消費・家計にするのです。家計をとにかく豊かにして、可処分所得をちょっとでも増やして、消費を軸とした好循環を作る。これでしか経済は持続的に成長しないと確信している」

◆「消費税減税を大胆に打ち出すべき」との意見で一致

 これに山本代表が「間違いないです」と相槌を打つと、玉木代表はこう続けた。

「消費を助けることはとにかく徹底的にやる。消費にマイナスになることは徹底的に止める。これが大きな経済の柱になると思う。

 消費税の減税を大胆に打ち出すべき。現に2008・2009年のリーマンショックの時は、イギリスは17.5%あった消費税率を2.5%下げ、15.0%にしたのです。消費を縮ませてはいけないし、(消費増税は)低所得者・中所得者に影響を与える。

 そこで大胆に減税をやるべきではないかということを私は申し上げています。それは、山本太郎さんもいろいろ街頭で訴えられていることと重なるところが結構多いと思います」

 街頭記者会見で消費税廃止や減税を訴えている山本代表は、即座に賛同した。

「そこはすごく重要です。『1回決めたから、これは変えられない』ということになってしまったら、これは昔の日本政府と同じ。『間違った方向に行っていたとしても行くしかない』となってしまったら、傷つくのはその国にいる人々です。

 だから途中で状況が変化したり、間違いがあったことを分かったりしたならば、それを認めて、変化させていくことが非常に重要だと思います」

◆消費税を増税しても、法人税・所得税を減税してきた

 玉木代表は、山本代表のもう一つの“定番ネタ”も紹介した。

「平成の時代に消費税が何回か上げましたけれども、結局は消費税で上げた分、法人税と所得税を減税した。内訳が変わっているだけで全体としての税収は変わっていないのではないか、ということを(山本代表は)よく街頭演説でおっしゃっている」

 これに山本代表が「結局『消費税を上げて、税収を減らしてどうするのか』ということです。(消費増税の)一方で法人税・所得税を減税してしまっているから、結局ほとんど増えていない状況なわけです」と補足説明すると、玉木代表も「そこをガラリと変えていかないといけないと思っている」と呼応した。

 一方、玉木代表提案の「子供国債」については山本代表が「感動しました」「むちゃくちゃ賛成です」「いちばん経済に寄与するじゃないですか」と高く評価した。こうした経済政策に関する意見交換で一致したことを受けて、玉木代表がこう締めくくった。

「(子供国債発行など)こういう好循環を、家計を軸にしっかり作っていく政策に変えていく。その中の一つの政策として、消費税負担を下げることは、大きな経済政策の中に非常に合理的にはめ込めると思うのです」

 玉木代表の“減税賛同宣言”に、山本代表はこう答えた。

「いやー、他の野党も反応してくれたらいいのだけれども。皆さん、国民民主党の党首はここまで言っていますよ。素晴らしいですよ、本当に」

◆野党第1党・立憲民主党の動向に注目が集まる

 両党首は今後の連携でも意気投合。玉木代表が「何か協力してやれるところがあったら、いくらでも一緒にやったらいい。多分重なって言っていることが多いので、どこかで一緒にやってもいいかもしれません」と合同街宣を打診。すると、山本代表も「どんどん国会議員も街に出て、こういうモニターを使いながら、目で見て分かる、分かりやすい形で説明していくのが非常に重要だと思います」と賛同した。

 さらには、山本代表が購入断念をした5000万円の「移動式大画面(モニター)付きトラック」の購入を勧められた玉木代表は、「(金庫番の)幹事長の決裁がおりれば」と前向きに購入検討を進めるとも宣言したのだ。

 全国ツアーを続ける山本代表の街頭記者会見に、大画面付きトラックに乗った玉木代表が合流、モニターの前で一緒にマイクを握る……という光景が出現する可能性が出てきた。そして、そこに志位委員長が駆けつけてもまったく不思議ではない状況に行き着いたのだ。

 野党第1党の立憲民主党にも、山本代表の主張に賛同する議員はいる。減税研究会の初回会合には、「消費税廃止」を訴えて当選した石垣のりこ参院議員を含む現職議員3名が参加した。

 この会合には不参加だったものの、中谷一馬衆院議員や高井崇志衆院議員は、山本代表と一緒にマレーシアの消費税廃止についての視察を行っている。「消費税5%減税」を旗印に野党結集して次期総選挙で政権交代を実現しようという山本代表の提案は、永田町でも確実に賛同者を増やしつつあるのだ。

 そんな中で注目されるのが、「野党第1党の立憲民主党の枝野幸男代表がいつ、どういう形で山本代表の “ボール”を投げ返すのか」ということだ。ダブル大臣辞任で年内解散もささやかれ始めた今、山本代表が野党結集の“台風の目”となっている永田町から目が離せない。

<文・写真/横田 一>

【横田一】

ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数

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