菅原一秀元経産相の元公設秘書、柴田さちこ・練馬区議の集会でなぜか取材妨害の大暴れ

菅原一秀元経産相の元公設秘書、柴田さちこ・練馬区議の集会でなぜか取材妨害の大暴れ

10月に辞任した菅原一秀・前経産相

◆菅原元経産相の元公設秘書である柴田さちこ練馬区議の区政報告会

 11月5日、練馬区立勤労福祉会館で練馬区議・柴田さちこ氏の区政報告会が行われ、数十人の支援者が集まった。練馬区は、週刊文春でメロンやカニなどの食品や香典を有権者に送った問題や「秘書給与ピンハネ」「パワハラ」等々の疑惑を報じられ先月辞任した菅原一秀前経産相の地元選挙区にあたり、柴田氏は菅原氏の元公設秘書。区議選の際には菅原氏本人が街頭で柴田氏を応援した間柄だ。

 柴田氏の報告会に菅原氏が登場する可能性があったため、私とジャーナリストの鈴木エイト氏は現地に赴いた。菅原氏は姿を現さなかったが、現場は菅原事務所の秘書らが警備。私たちを見つけると、柴田陣営関係者と一緒になってカメラを遮り取材を妨害し、また警察に通報して7人ほどの警察官が駆けつける大騒ぎとなった。報告会終了後も、会場を後にする支援者たちに話を聞こうとする私たちに柴田・菅原陣営の関係者らがつきまとい、勤労福祉会館前の公道で「取材拒否!」などと大声を上げたり鈴木氏を突き飛ばしたり、最後まで混乱が続いた。

 柴田氏の区政報告会の情報は、読者から寄せられた。また鈴木氏によると、通常、柴田氏の集会には菅原氏が出席することもあるという。これまで本誌でリポートしてきた通り、統一教会との関係や虚偽告訴問題について明確な説明をしなかったり取材を無視したりしてきた菅原氏。私と鈴木氏は経済産業省広報室から大臣会見取材を「永劫に」禁じられ菅原氏への唯一の取材機会を奪われたが、有権者への買収問題で大臣を辞任したいま、横暴な経産官僚に取材を邪魔されることもない。地元で菅原氏を見つけさえすれば直接取材できるのではないかと、柴田氏の報告会会場に向かった。

◆「バトんなきゃいけないわ」と菅原氏の私設秘書

 勤労福祉会館の玄関を入る際、出迎えたスタッフたちの中に菅原氏の私設秘書・佐竹京子氏の姿があった。菅原氏が代表を務める自民党東京都第9選挙区支部が2017年に統一教会系団体「世界平和女性連合」に会費1万5000円を支払った際の会計責任者だ。今年7月の参院選の際、武見敬三候補(東京選挙区、自民)の演説会に来た私や鈴木氏の入場を妨害した人物でもあり、お互いに顔を見知っている。

 私は柴田氏の報告会会場である集会室には向かわず喫煙室に身を隠したが、すでにバレてしまったようだ。このときロビーにいた私の知人が、佐竹氏がスタッフとこんな会話をしているのを聞いた。

「あなた、タバコ吸う? 武見敬三のときみたいにバトんなきゃいけないわ」

「藤倉よ。藤倉がいるってことは鈴木もいるわよ!」

 1匹見つけたなら、もっといると思え。ゴキブリか。

 関係者らが、喫煙室の前を見張ったり中に様子を見に来たりした。その間に、鈴木氏が会場入口に到達したが、地元・練馬区民であるはずの鈴木氏も入場を拒まれた。スタッフらの対応を取材すべくカメラを回し始めた鈴木氏に、関係者らが突っかかる。

「撮影はやめて下さい!」

 集会室の外の廊下で揉み合いが始まった。

 私も喫煙室を出て鈴木氏の方に向かったが、カメラを取り出す前から関係者に「今日はどのような御用で」などとつきまとわれた。ここは勤労福祉会館。公共の施設だ。にもかかわらず、報告会場の外である公共施設の廊下すら、満足に歩かせない気だ。

◆「実力行使」で取材を排除

 関係者に取り囲まれる鈴木氏にカメラを向ける。後に何度尋ねても絶対に身分を明かそうとしなかったスーツ姿の男が、鈴木氏の手やカメラを掴む。ほとんど暴行に近い行動だ。

 佐竹氏が言い放つ。

「一般人にカメラを向けないでください!」

 佐竹氏は国会議員の秘書だ。それが、暴行まがいの取材妨害に加わっているのだから、カメラを向けられて当然だろう。ピンク色の柴田さちこ陣営のスタッフジャンパーを来た男性までもが「私もプライベートですよ。撮らないでください」などとまくし立てて鈴木氏に詰め寄っている。私も鈴木氏も、つい吹き出してしまった。

◆カニやメロンは出なかった

 会場に、中華料理が運び込まれていった。

「今日はメロンやカニは出ないんですか」(鈴木氏)

「出ません。ですが差し入れていただくのはOKです」(佐竹氏)

「こちらがあげるのはいいんですか」(藤倉)

「そうです。差し入れはOKですよ。持ってきてください。今すぐ」(佐竹氏)

 菅原氏の秘書からメロンやカニを催促されてしまった。

◆取材を「嫌がらせ」と通報する菅原氏の秘書

 佐竹氏が携帯電話でどこかに電話をかけ始めた。警察に通報しているようだ。

「嫌がらせを受けているんです!」

 取材に来た人間が公人の陣営関係者らの異常な対応を記録するのは嫌がらせなのか。

 すぐに警察官たちが駆けつけた。最終的に、8人ほどいただろうか。こちらが事情を話し、「いくらでも説明はするが、これから報告会が終わって支援者が出てくる。その人達に話を聞きたいので、その邪魔はしないでほしい」と告げると、警察官たちは引き下がった。しかし佐竹氏が勤労福祉会館の職員に「建物内での取材をやめさせろ」と要求。館長から同じ旨を告げられた私たちは敷地の外に出て、帰っていく支援者たちを待った。

 支援者たちが建物から出てくると、佐竹氏や菅原氏の公設秘書・石黒輝彦氏らが中心となって、私たちと支援者の間に割り込んだり鈴木氏を手で抑えたり、体に触れる形で取材を妨害した。支援者に対して「取材を受けないで下さいね」などと命令までしている。こちらの声を遮る声を上げておきながら、直後に佐竹氏が私たちに「近所迷惑なので、大声を出さないでくださいね〜」と言い放つ。

 カルト宗教の取材現場でよく目にするのと全く同じ、コントのような光景だ。

◆「ただまっすぐ歩いてるだけですけど〜」と笑いながら言い放つ陣営関係者

 前出の素性不明の男が体をぶつけながら支援者と鈴木氏の間に割って入る。もはや肉弾戦だ。

「体にさわるな!」

 そう叱りつけると、素性不明の男はこう答えた。

「ただまっすぐ歩いてるだけですけど〜」

 顔に笑みは浮かべているが、やっていることはまるで因縁をふっかけてくるチンピラだ。

 支援者が取材に答えようとしているにも関わらず、石黒氏が私たちの間に割って入る場面もあった。もはや取材妨害の域を超えている。支援者に対する言論統制ではないか。

 鈴木氏が支援者に話を聞こうとしているところを別の男性スタッフに突き飛ばされたというので、私はそのスタッフの腕を掴んで、近くで待機していた警察官に引き渡した。男性が「突き飛ばしてきたのは向こう(鈴木氏)だ!」などとわめくので、「はいはい。言い分があるならお巡りさんに言って」と告げ、警察官に任せた。その男性スタッフは二度と邪魔しに出てこなくなった。

 佐竹氏が警察を呼んでくれていて助かった。

◆支持者は取材に応じてくれる人も

 菅原事務所の秘書や柴田陣営関係者らの妨害にも関わらず、支援者たちは多少の受け答えはしてくれた。

──今日は菅原さんの話は出なかった?

「ぜんぜんなかった。あんな騒ぎの後じゃ言えないよね。気を遣ったんじゃないか」

──(柴田支援者の)みなさんは菅原さんのことも支持しているのでしょうか。

「まあそうだね。(菅原氏の一件は)そんなに悪くないよ」

──まさか、メロンとかもらったんですか?

「ないない。私はそういうの関係ない」

 全ての来場者が退出し、関係者たちは片付けのため施設内に戻っていった。私たちも「お疲れさまでした〜」と声をかけて現場を後にした。

 ところが、少し離れた場所でお互いが現場で見聞きした内容等を交換していた私たちに、なおも佐竹氏と石黒氏がつきまとった。携帯電話を向け撮影しようとしてくる。もう取材を終えているのに、それこそ嫌がらせ以外の何物でもない。

 結局、菅原氏は姿を表さず、菅原氏の秘書たちの異常な行動だけが目についた現場だった。

◆説明責任を果たさない菅原元大臣への取材がなぜ問題なのか?

 佐竹氏は「自分たちは柴田さんの元同僚だから」と、この場にいた理由を口走っていた。しかしそれだけなら、この異常な反応は何なのだろう。実は菅原氏は現地に来ていたか来る予定だったのではないかと勘ぐりたくなる。

 菅原氏と統一教会の関わりについては、これまで報じてきたもの以外の新たなケースを鈴木氏が取材中だ。また、菅原事務所が私と鈴木氏を虚偽告訴していた件は、10月10日に練馬署から東京地検に書類送検された。取材の電話に対して居留守を使って無視した菅原事務所に対して、私と鈴木氏が直接事務所に出向いて取材を申し入れたところ、秘書が「お待ち下さい」と奥のソファに通しておきながら警察に110番通報。後日、菅原氏本人ではない事務所の管理責任者と称する人物の名義で「建造物侵入罪」として私たちを刑事告訴しているものだ。

 いずれも、大臣を辞任したら終わりという問題はないし、有権者買収問題などについても菅原氏は国民に対してまだ明確な説明をしていない。

 今後も菅原氏本人への事実確認や認識を尋ねる取材を試みたい。菅原氏や柴田氏の集会の情報をお持ちの方は、ハーバー・ビジネス・オンライン編集部または「やや日刊カルト新聞社」の代表メール(プロフィール欄参照)までお寄せください。

<取材・文・撮影/藤倉善郎>

【藤倉善郎】

ふじくらよしろう●やや日刊カルト新聞総裁兼刑事被告人 Twitter ID:@daily_cult4。1974年、東京生まれ。北海道大学文学部中退。在学中から「北海道大学新聞会」で自己啓発セミナーを取材し、中退後、東京でフリーライターとしてカルト問題のほか、チベット問題やチェルノブイリ・福島第一両原発事故の現場を取材。ライター活動と並行して2009年からニュースサイト「やや日刊カルト新聞」(記者9名)を開設し、主筆として活動。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社新書)

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