沖縄地元市議を取り込む統一教会。台湾での「祝福式」参加議員も<政界宗教汚染〜安倍政権と問題教団の歪な共存関係・第24回>

沖縄地元市議を取り込む統一教会。台湾での「祝福式」参加議員も<政界宗教汚染〜安倍政権と問題教団の歪な共存関係・第24回>

11月10日に行われた統一教会の集会、壇上から挨拶する宮崎政之衆議院議員(参加者提供)

 今月10日、沖縄県宜野湾市の公民館で統一教会(世界平和統一家庭連合)の集会が開かれ、自民党の中堅代議士が挨拶を行った。さらに来賓として出席した市議会議長らが台湾で9月に行われた教団の既成祝福式に参加していたことが判明。そして今年8月、参院選に初当選したばかりの自民党議員がやはり兵庫県内の教団イベントで信者を激励していたことも明らかとなった。続々発覚する政治家の地方での教団イベント参加、その問題点をまとめた。

◆沖縄教区長が仕切る集会で自民党衆議院議員が挨拶

 11月10日夜、宜野湾市の長田区公民館で開かれた集会「希望の家庭講演会」には統一教会信者を中心に約100人が参加。「特別講師」として「稲森一郎先生」なる人物が登壇し『純粋な愛・幸福な家庭・健全な社会』と題した講演を行った。実行委員長は外間鎮模(ほかまじんも)、教団の沖縄教区長だ。

 公民館を予約したのは地元のコミュニティFM局・ぎのわんシティFMのパーソナリティ照喜名昇。

 同局では外間教区長が成鎭模(ハンジンモ)名義でパーソナリティを務める番組「家庭のチカラ」を放送している。ちなみに、同局の番組紹介ではなぜか教祖の名が「文海明」となっている。

 集会の冒頭、自民党の宮崎政久衆議院議員が挨拶。至近距離に事務所がある宮崎は「最終の飛行機で東京に戻る」と話し、挨拶を終えると空港に向かった。

◆市議会議長や県議らが来賓として紹介

 その他の来賓として宜野湾市議会の上地安之議長、桃原郎議員、山城康弘議員、呉屋等議員、元宜野湾訴議会議員の平安座唯雄、そして沖縄県議会議員の又吉清義らも紹介された。

 来賓を代表して挨拶したのは上地議長だ。上地は講師の稲森を褒め称えた後、こう発言した。

「台湾にお邪魔させていただきました。65歳以上の夫婦が、奥さんが赤い口紅をつけてウェディングレスを付けて人生のスタートを切りました。30年40年50年経って改めてスタート。その再スタートは全人類の平和を希求する中で原点が夫婦、家庭で新たなスタートである。皆様方の理念をまざまざと台湾で学ぶことができました。平和の希求を台湾で学んだ」

 これは教団が行っている既成祝福式のことではないのか。

 さらに「性の多様性を条例で認めることは、情けないこと。世界の平和のために学びを深めて我々も努力したい。一緒に学びましょう」と続けた。

 司会者が「上地議長は真の家庭運動にいつも共に歩んでくださる。心から感謝」と応えた。

◆集会で配られた「反LGBT」のチラシ

 参加者には講演資料として小中学生へのLGBT教育に反対するチラシが配布された。

 教団内組織である真の家庭運動推進協議会の活動紹介がスライド上映され、外間教区長が「性の多様性を認める条例が家庭崩壊をもたらす」と発言。メインの講演では90年代に世界平和青年連合会長を務めるなどした稲森が「LGBT、同性愛の問題が家庭を崩壊させる」と結論付けた。

 純潔思想を掲げる教団はこれまでもLGBTに関する条例や学校教育に反対する運動を展開してきた。

◆「統一教会という意識はなかった」

 宮崎議員の事務所に電話取材を行った。

・宮崎議員地元事務所秘書

「講演会に出た経緯は判らない。国会事務所で対応している。東京の方の関係」

――普段から統一教会とやり取りしているのは東京の事務所?

「はい、そうですね」

・宮崎議員国会事務所政策秘書

――経緯について

「特には。地元で開かれた会なので冒頭で挨拶して出て行った」

――要請は

「地元での会だったのでご挨拶させていただいた」

――普段から付き合いは

「ないと伺ってます。たまたま顔を出せたということで。行くか行かないかは本人が」

――選挙協力は

「特には、はい」

――どういう形で来たかは

「案内状が来ただけだと」

――議員会館に勝共連合は

「来たことはない」

――統一教会ということを知って行った?

「特にそういう意識はなかったと思う。ぱっと行ってぱっと帰っただけ」

 改めてFAXで質問書を送ったが回答は得られなかった。

◆市議会議長一行が台湾で教団祝福式に出席、県知事候補も

 台湾での既成祝福式に出席した疑惑があるのが宜野湾市議会で保守系会派「絆クラブ」を組む上地議長、桃原議員、山城議員そして今回の講演会には参加していなかった又吉亮議員だ。この4人については同祝福式が開かれた9月末、台湾へ行っていたことが判明、桃原議員と上地議長から話を聞くことができた。

・桃原議員

――絆クラブについて

「政党に属していないが考え方としては自民党と近い」

――保守系?

「自民党と連携して政策」 

――台湾での既成祝福式出席については?

「メディアに答えるに当たっては議長に相談しないと」

――行ったのは事実?講演会が統一教会イベントであることは判っていた?

「そうですね、はい」

――地元での付き合いが?

「そうそうそう」

――選挙協力とかも

「やっぱり支援していただいたりしているものですから」

◆台湾へは自費で、というが、バッジをして登壇

 折り返し上地議長から連絡があった。

・上地議長

――統一教会講演会での来賓挨拶で台湾について触れていた

「9月の終わりごろ絆クラブ4人で行った。メインは台中市役所に行って副市長や各区長、各部署との意見交換や交流」

――視察名目で?

「そうです」

――議員として行った?

「公費ではなく自費で行ってきた」

――市議会のお金で行ったわけはないと

「はい、違います私費です」 

――講演での発言内容を聴くと台湾での既成祝福式に参加したと?

「そこにも参加しましたけどね」

 教団サイドがSNSに掲載した既成祝福式の写真を見ると各市議は議員バッチを付けて参加したようだ。

――統一教会側からアプローチは?

「統一教会という感覚はないんですよ。向こうの理念が家族の絆・夫婦の絆。台中市役所の後に行ったのは高齢者の70歳前後のお爺さんお婆さんが再出発をするような」

――それが教団のイベントの一つである既成祝福だが

「それはちょっと判りませんけど、たまたま」

――普段から地区の教会とは交流がある?

「特別あるわけではない」

――呼ばれたら行くと

「そういうことですね」

――講演会の発言はリップサービスも含んでいた?

「そうそうそう、交流は全くないですよ」

――選挙協力は?

「これもないです。ほとんどないです、たまたま宜野湾でやったものだから」

 しかし上地議長は、浦添市で開かれた稲森の同講演会にも出席したと来賓挨拶の中で話していた。

――統一教会ということは判っていたわけですよね

「いえ、統一教会という感覚はないんですよ」

――どういう団体かは調べないのですか?

「そうですねはい」

――私からの問い合わせで知ったと?

「そういうわけではない」

――背景はご存じだった?

「はい」

――沖縄でも相当な霊感商法被害があった

「そういうことはほとんど判らない」

――そういうところと議員が付き合うのは問題ではないか

「あくまでも夫婦、家族の絆」

――“向こう”の言っている上っ面のことだけで賛同する感じですか(笑)

「いやいや、そんな感じですね(笑)」

――今後も誘いがあったら出ると?

「日程さえ合えば別にいいんじゃないかと」

――地元の市議会の議長が来たら内部統制の手段として使われる

「統一教会そのものという気持ちで行ったわけはない」

――台湾では台中市役所に行ったついでに出てくれという話があったと

「そうですね」

――既成祝福式に出るために行ったわけではないと

「そうですね。飽くまでも交流、2泊で9月28日から前乗りして、市役所に行って、そのあと式に出て、一泊して帰国」

◆2015年にも教団講演会に参加。継続して交流

 同教団の地区教会との交流について「特別あるわけではない」と答えた上地議長だが、2015年12月にも教団の講演会に山城議員、桃原議員と参加しており、継続して交流を持っている形跡がある。

 台湾へは私費で行ったと答えた上地議長。台中市役所での副市長などとの意見交換のために渡航したのであれば政務調査費・政務活動費として後日請求できる。宜野湾市議会の伝票担当者に確認したところ、宜野湾市議会では年度末に各会派から報告・提出があり、その中から精査していくという。請求された政務調査費・政務活動費は半年ごと、4月と10月に支払うという流れだ。絆クラブが議会に請求するかチェックする必要がある。

◆酷似するチラシのデザイン

 沖縄での統一教会による策動には米軍基地移設問題をめぐる事象との関連も浮かび上がる。

 今年9月、普天間基地の辺野古移設促進を求める意見書が宜野湾市議会など4つの地方議会で可決、今月6日には宮崎正久議員が宜野湾市議会の与党会派の市議団と共だって外務省を訪れ意見書を提出している。意見書のもとになったのが10日の統一教会集会に来賓参加した平安座唯雄・元宜野湾市議による移設促進の陳情だ。平安座が作成した辺野古埋め立て賛成のチラシと今年2月に沖縄県内で出回った県民投票をめぐるチラシについて、それぞれ八重山日報と琉球新報が報じているが、これらを今回の教団集会で配布されたチラシと比べてみるとデザインや色遣いが酷似していることに気付く。

◆兵庫でも自民党参議院議員が来賓挨拶

 地方での教団イベントに参加する自民党議員の事例は他の県でも見つかった。

 今年8月3日、兵庫県神戸市垂水区の舞子公園で統一教会のプロジェクトである「PEACE ROAD 2019 in Japan」のセレモニーが行われ、先の参院選で初当選を果たしたばかりの兵庫選出の加田裕之参議院議員(自民党)が来賓として信者を“激励”していたのだ。

 加田議員の事務所に教団イベント参加の経緯や支援の有無などを問い合わせた。電話口の秘書は「日々いろんなイベントにお伺いさせてもらっているので何か月も前のことを聞かれても」と返答。質問書を送信したが期限までに回答はなかった。

◆前環境大臣からの回答電話音声を公開

 今回取材した政治家サイドの反応からは、「地元でのイベントだから」「案内があったから」などと安易に参加した傾向がみられる。

 そこで改めて比較したいのが本連載で報じた原田義昭前環境大臣の弁明だ。今年10月、教団関連イベントで来賓挨拶を行った件について筆者が送信した質問書FAXに対し、前環境相は電話で回答。統一教会やその関連団体を「普通の良識ある組織や団体」と評し、教団イベントに来賓出席することの正当性を主張した。

〈参照:前環境大臣・原田義昭氏激白。「統一教会イベントに自民党から10名が出席」|HBOL〉

 今回、その際の原田議員からの電話回答の音声データを以下に公開する。(※なお、配信先によっては音声データが表示されない場合もございますので、その場合はHBOL本体サイトにて御覧ください。)

(文中一部敬称略)

<取材・文/鈴木エイト>

【鈴木エイト】

すずきえいと●やや日刊カルト新聞主筆・Twitter ID:@cult_and_fraud。滋賀県生まれ。日本大学卒業 2009年創刊のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」で副代表〜主筆を歴任。2011年よりジャーナリスト活動を始め「週刊朝日」「AERA」「東洋経済」「ダイヤモンド」に寄稿。宗教と政治というテーマのほかに宗教2世問題や反ワクチン問題を取材しトークイベントの主催も行う。共著に『徹底検証 日本の右傾化』(筑摩選書)

関連記事(外部サイト)