被害者自身が激白。[投資詐欺]の最新手口

被害者自身が激白。[投資詐欺]の最新手口

東南アジアへの不動産投資詐欺のセミナーで流れた実際の映像。JACK氏曰く「裏金でテレビ局を動かして撮影した可能性が大」

 金融リテラシーの重要性が強く叫ばれる昨今。その風潮をあざ笑うかのように、投資詐欺の被害は年々増加の一途をたどっている。あの手この手で私たちを欺く詐欺集団の次なる一手とは? 最新投資詐欺商法の手口を4つ取り上げる。詐欺師に貴重な財産を奪われないための参考にしてほしい。

◆手口1 新興国に招待してVIP待遇を施す罠

 自身のサイトで投資詐欺啓蒙を行う投資家のJACK氏が注意を喚起するのは、東南アジアへの不動産投資詐欺だ。

「勧誘の口上は至ってシンプル。カンボジアやバングラデシュといった東南アジアの新興国に日系企業の工場や外国人向けコンドミニアムを建設する。一口50万〜100万円で今から不動産を青田買いしておけば3年で3倍以上になる、というものです」

 何を隠そう、JACK氏自身も詐欺被害に遭った被害者の一人だ。

「インドネシアでの事業投資の勧誘を受けて実際に現地へ赴いたところ、至れり尽くせりのVIP待遇を受けました。移動には白バイが先導するマイクロバスが用意され、現地の有力者が集う一流ホテルでパーティ。真実は定かではありませんが、大統領補佐官を名乗る人までいました。セミナーでは事業内容に関する本物のニュース映像が流れるなど、空気感に圧倒された私は完全にその案件を信じきってしまったのです。結果、何年たっても利益が出ることはなく、それどころか事業主が破産・逃亡して1000万円以上もの損害を被りました」

 仕組みは単純な原野商法だが、投資家を知り合いのいない、勝手もわからない国へと連れ出し、これでもかというほどの好待遇を施すことで、まんまと信じ込ませるのだという。

「後から知ったのですが、インドネシアは賄賂社会なのでお金さえ積めばいくらでもそういうことができるそうです……」(JACK氏)

 リスクのない投資案件など存在しない。リスクがないことがリスクと心得よう。

◆手口2 小さな成功体験が大きな被害の引き金に

 世間の関心が高まる分野は詐欺グループにとって格好の狩り場だ。サラリーマン向けの週刊誌などでも盛んに特集を行っている“副業”。今、インターネットで「副業」と検索した人を狙う詐欺が横行しているという。

「稼げる副業を教えるという、よくある情報商材詐欺ですが、9800円という絶妙な値段設定で、敢えて本当の副業を紹介します」

 そう話すのは、フォーゲル綜合法律事務所の嵩原安三郎氏だ。教える副業はセドリなどが主流。肝となるのは「わざと少し儲けさせること」だという。

「実際に儲けることができた人に『あれは簡易版だから本当のノウハウはコレ』などと高額な商材を売り込みます。小さな成功体験をした被害者は、『簡易版で儲かったから……』とまんまと商品を購入してしまうのです」(嵩原氏)

 同じく副業系で増加中なのが、おもてなしビジネス詐欺。インバウンドの増加に目をつけた新ビジネスを装った詐欺のことだ。

「最近よく聞くのが、外国人向けのストックフォトビジネス詐欺です。登録料1万円で、画像を1枚提供すれば5000〜1万円がペイされるというもの。なかには10万円で買い取るという詐欺グループも存在するそうです。外国人は観光用の写真には見飽きているから逆に素人の写真にニーズがあるなどとそそのかします。最初は敢えて写真を買い取って安心させてから、より高額なプランを契約させてトンズラするんです」(同)

 嵩原氏は最近の詐欺について、獲物を敢えて泳がせて安心させることから「農耕型」と呼ぶ。

 詐欺師にカモとして育てられないよう気を張りたい。

◆手口3 堅実そうな積立投資にも詐欺の魔の手が

 一発逆転を狙う投機案件ではなく、より堅実そうな積み立て投資でも詐欺被害が続出している。前出のJACK氏が教えてくれた。

「毎月500ドルで25年間積み立てすると満期時には1億円の資産形成ができているという触れ込みで、セミナーが頻繁に行われています。代表的なものが、ロイヤルロンドン(RL360)。実在する商品ですが、日本国内で販売されていない金融商品で正しい情報が出回っていないのをいいことに、利回り10%で絶対に儲かるなどと嘘をついて契約させています。実際には上がるか下がるかなんてわからない普通の投資商品なのですが、実は年間手数料が他の金融商品よりも著しく高い7・5%で、他のオフショア商品と比較検討する説明は一切ありません」

 実際はマイナス運用で元本割れという人がほとんどだという海外積み立て投資詐欺。さらに恐ろしいのは、FPなどお金の専門家として信頼のある筋からも紹介されることがあるということだ。

「実は、紹介した人に高額なマージンが入る仕組みになっている、ねずみ講なんです。コンプライアンス意識が低下してきているのか、通常の相談業務だけでは食えなくなったのかはわかりませんが、最近では明らかにリスクが高い金融商品や詐欺が疑われる投資案件の勧誘を行うFPが増えてきています。これからは、自分のお金は自分で守らなければならない時代になりつつあるのです」

◆手口4 仮想通貨では高配当を謳う財布型が流行

 仮想通貨をウォレットに預けておくだけで毎日高配当がつくと標榜し、詐欺案件を量産したHYIP(ハイプ)。今年7月に運用開始したVRBウォレットもHYIP案件の一つだった。

「仮想通貨グループでVRBを勧められ、付き合いで仕方なく入金しました……」

 そう肩を落とすのは投資家の兼本氏(仮名)。仕組みは、保有している仮想通貨をサービスに預けておくだけで配当がつくという典型的なものだった。

「利回りは月利9〜25%。そして、マルチ商法のように孫、ひ孫とつくることができ、追加で配当がつくという触れ込みでした。サービス開始直後は独自トークンのVRTも毎日3%ペースで価格が上がっており、実際に一日2000ドル以上儲けているホストや学生までいたそうです」

 しかし、サービス開始からたったの3か月で、VRBウォレットはあっけなく出金停止に陥った。

「紹介した人も『俺は運営と繋がってるから辞め時も完璧』なんて豪語していましたが、結局逃げられたのは一部。自分らはグループ全員で大損をこきました。確かにHYPEのようなポンジスキーム系の投資詐欺は、いち早く始めてイナゴが湧く直前に撤退することができれば儲けることができるかもしれません。でも、人間欲が出るし絶対に飛び時を見誤るもの。手を出さないに越したことはありません。でも、小さなコミュニティで誘われたから断り切れなくて……やれば損失、やらなかったら裏切り者ですからね」

 詐欺師は日本人特有の集団心理を巧みに突いてくる。断る勇気も必要だ。

 数多ある詐欺商法に騙されぬよう、用心されたい。

【JACK氏】

不動産会社を経営する傍ら、投資家として活躍。過去に数々の投資詐欺に遭った経験を生かし詐欺啓蒙活動を行う。

【嵩原安三郎氏】

京都大学卒。’07年にフォーゲル綜合法律事務所を開所し、現在は読売テレビ『情報ライブミヤネ屋』『あさパラ!』など各種メディアでも活躍

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