若者市場を狙って続々参入。「スマホ証券」を辛口ジャッジしてみた

若者市場を狙って続々参入。「スマホ証券」を辛口ジャッジしてみた

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 スマホひとつで手軽に投資できるスマホ証券が人気だ。「手数料ゼロ」を売り文句に顧客の囲い込みを狙うが、注意すべき点も多い。今回、専門家に厳しい目で査定してもらう。

◆相次いで登場したモバイル特化型の新興証券を徹底リサーチ!

 LINEと野村HDが手を組んだLINE証券やSBI証券とTポイントのCCCマーケティングが連携したネオモバなど、このところスマホ片手に簡単投資できる証券会社が相次いで誕生している。その背景をファイナンシャルプランナーの深野康彦氏はこう解説する。

「スマホ証券各社に共通する『銘柄選びはAIにお任せ』といった手軽さと、『100円からOK』といった安さは、その実、投資に縁遠い層を囲い込むための売り文句です。これまで証券業界は、手数料の値下げ競争で限られたパイを奪い合ってきました。ところが、旧来の手数料競争は限界に達し、新規顧客の開拓を迫られている。とはいえ、新たな客がどこにいるかわからない……。そこで、すでに顧客を囲い込んでいる企業と提携したのです。野村HDがLINEと提携したLINE証券はその典型で、ネオモバがポイントで投資できるのも、Tポイントカード会員を囲い込むためです」

◆セゾンカードも参戦した「ポイント投資」

 スマホ証券が続々登場したことで、ポイント投資も拡大の兆しを見せている。すでに、楽天ポイントやドコモのdポイントは投資可能で、つい先日にはセゾンカードの「永久不滅ポイント」も参入した。ストックウェザー「兜町カタリスト」の櫻井英明編集長は、その意義をこう読み解く。

「スマホ証券のサービスはどこも似たり寄ったり。むしろ注目すべきはポイント投資で、今後拡大していくでしょう。なぜなら、ポイント投資で損しても、それほど苦にならないから。もちろんポイントには元手はかかっていますが、現金とは心理的受け止め方がまったく違うので、ポイントなら気軽に投資できる。また、ポイントで実際に投資することで、トレーニングにもなります。お金を投じないシミュレーションでは、訓練になりませんからね。ポイント投資をしている人は想像以上に多いです。実は、スマホ証券の狙いの一つは、ポイント投資の拡大で、将来の顧客を育てることにあるのです」

 今後、スマホ証券のサービス競争が激化しそうな気配だが、ここで、櫻井・深野両氏に主なスマホ証券を辛口査定してもらった。

◆ポイントで購入可能。NISA非対応多し

 まず、先駆者のワンタップバイについて、櫻井氏はこう評する。

「この分野に先鞭をつけたのは評価できる。ただ、手数料ゼロを謳ってたものの、売買価格に上乗せされるスプレッドは実質、手数料で、しかも割高。入出金に手数料がかかるのも解せませんね」

 現在、「激安キャンペーン」を展開中のLINE証券はどうか。

「銘柄が日本株のみというのはデメリット。ただ、LINE PayやLINEポイントで買えるのは手軽でいい。先行するスマホ証券同様、手数料ゼロを謳いながら、割高なスプレッドがあり、初心者にはわかりにくい」(深野氏)

 SBI証券とTポイントがタッグを組んだネオモバはどうか。

「国内上場株のほぼすべてを買えるし、Tポイントが使えるのも大きなメリット。また、手数料が、月50万円までの取引なら何回でも定額の220円と、コストが安い。さらに、支払った手数料に応じてTポイントがもらえます。NISAに対応していないのは難点ですが、それはほかのスマホ証券も同じですしね」

 深野氏は概ね高評価だが、「定額ゆえに、1回も取引しなくても手数料がかかるのはいかがなものか」(櫻井氏)という見方も。

「AI」「VR」などテーマを選ぶだけでテーマ投資ができるFOLIO(フォリオ)については、「初心者には個別株よりテーマがわかりやすいが、テーマが反映された銘柄かどうかは疑問。テーマ投資はサイクルが短く、買ったときにはテーマが終わっていることも多い。旬のテーマなら儲かるという話ではないのです」(櫻井氏)という。

 ウェルスナビとテオは、いずれもロボアド(ロボットアドバイザー)任せの国際分散投資だ。

「数問のアンケートに答えるだけで、銘柄選びやポートフォリオ構築をしてくれるロボアドお任せ投資は手間がかからない。ただ、なかにはリスク許容度を測るのに、年齢さえ聞かないものもある。また、海外ETFなのでドルで買い付けねばならず為替リスクを抱える。世界の株に投資すると言いながら、米国ETFへの投資は、実は米国一極集中なのです」(深野氏)

 今後、新興勢力のスマホ証券はどうなっていくのか。

「ゼロ金利時代とはいえ、投資に縁遠く、スマホに親しむ若年層というブルーオーシャンが国内金融業界には残っていた。そこを狙って、スマホ証券各社が聞こえがいい言葉を弄して、顧客を囲い込もうと躍起になっているが、それでいいのか……」(同)

 スマホ証券会社選びが、より重要になりそうだ。

◆<スマホ証券選びの注意点>

1.「手数料ゼロ」でも、スプレッドという名の手数料がある

2.今が旬のテーマ別投資はサイクルが短いので注意

3.ロボットアドバイザーには、信用できないものも!?

【ファイナンシャルリサーチ代表・深野康彦氏】

ファイナンシャルプランナーとしての評価が高い。近著『10万円ではじめる! 人生100年時代の資産運用』(宝島社)ほか著書多数

【「兜町カタリスト」編集長・櫻井英明氏】

日興証券、『株式新聞Weekly』編集長などを経て現職。独特な視点の市場予測に定評。ラジオNIKKEIなど多くのメディアで活躍する

<取材・文/斎藤武宏>

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