桜を見る会内部資料が流出。山添拓議員vs安倍総理の質疑を信号無視話法分析

桜を見る会内部資料が流出。山添拓議員vs安倍総理の質疑を信号無視話法分析

1月30日の参議院予算委員会で山添拓議員の鋭い質問で答えに窮し、いつにも増してしどろもどろで意味不明な言葉を繰り返す安倍総理 (参院インターネット中継)

◆根底から崩れた「個人情報なので答えられない」という言い分

 連日の国会で厳しい追及が続く、安倍晋三総理による「桜を見る会」の私物化問題。

 招待客の中にマルチ商法企業の元会長や反社会的勢力が含まれていたことも問題にされてきたが、これまで安倍総理や官僚は「個人情報なので答えられない」という趣旨の答弁を繰り返してきた。

 ところが、2020年1月30日の参議院予算委員会で共産党・山添拓議員が示した資料は、これまでの総理答弁を根底から覆した。まず、内閣府の2019年1月付けの文書には「当該名簿(=招待者名簿)については行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)に基づき開示請求の対象とされたことがありますので、この点を念頭に置かれた上で推薦されますようお願いします」と書かれている。

 また、参議院自民党の2019年1月付けの内部資料には「行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づいて名簿全体を公開されることもあります」とも書かれている。つまり、桜を見る会の名簿が情報公開法の請求対象であることを2019年1月時点で政府や自民党は認識していたことの証拠が見つかったのだ。この資料については山添議員自身が約6分間のYoutube動画で解説している。

http://youtu.be/5RqLuyz_S6s

 当日の質疑で山添議員がこの点を中心に約45分に渡って指摘したところ、安倍総理や官僚は要領を得ない答弁を繰り返し、質問を受けてから答弁を始めるまでに数分以上の中断を要する場面も見られ、さらに安倍総理と官僚の間でも認識の齟齬が露わになるなど、答弁者側に大きな混乱が見られた。

 本記事ではその質疑の一部の答弁を信号機で直感的に視覚化していく。具体的には、信号機のように3色(青はOK、黄は注意、赤はダメ)で直感的に視覚化する。

◆質問に答えない上、話している言葉の4分の1は意味不明

 そして、質問に対する安倍総理の回答を集計した結果、下記のようになった。

<色別集計・結果>

●安倍総理:赤信号67%、青信号6%、地の色27%

 回答(青信号)はわずか6%にとどまっており、ほとんど質問に答えてない。さらに、不要な言葉や意味不明な言葉を意味する灰色(本文では、地の色)が27%という驚異的な高さを示している。つまり、質問に答えない上、話している言葉の4分の1は意味不明ということだ。当然、全体を通してそもそも何を言っているのか理解しづらかった。

 いったいどのような質疑だったのか詳しく見ていきたい。

◆食い違う内閣官房大西審議官の答弁と安倍答弁

 山添議員は問題の文書の作成に関わった組織である内閣官房・大西証史内閣審議官に対して、「安倍事務所の推薦分も開示請求の対象となる認識はあったか」と質問。大西審議官の答弁は要領を得ない上に二転三転したものの最終的には「認識はあった」という趣旨の答弁を引き出した。こうして外堀を埋めた後、山添議員は本丸の安倍総理に質問。その質疑は以下の通り。

 

山添議員:「つまり、(桜を見る会の名簿が開示請求の対象になるという)趣旨は(安倍事務所に)伝わっているんですよ。総理、いかがですか?」

安倍総理:「ですが、趣旨に、趣旨については伝わったという話を致しましたが、(青信号)

 こっ、こっ、このですね、この、いわば、参議院の、が、書いている、ですね、このー、『行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づいて名簿全体を公開されることもあります』ということでは来ていないということは申し上げたわけであります。

で、そもそもですね、えー、この、この、おー、最初の、何か、えー、連絡、うー、事務連絡で書いてあることもですね、えー、開示請求の対象とされることもありますとこう書いてあるわけであります。対象とされることもありますということとですね、えー、開示、えー、あー、名簿自体を公開されるってこととは、これ、えー、請求の対象と、対象ですから、対象とされたということでありますから、そこは、まあ、違うということだと思います。(赤信号)

 いずれにいたしましてもですね、いずれにいたしましても、いわば、あー、そういう方をですね、選んでくださいということについては、それは当然来ているということは先ほども申し上げた、その趣旨については申し上げている通りであります。(赤信号)」

 見ての通り、安倍総理の答弁は全体的に意味不明で、いったい何を言いたかったのか理解すること自体が困難だ。答弁に出てくる言葉を紐解いて、なんとか分析を試みたい。

◆徹頭徹尾意味不明な安倍答弁

 1段落目は、桜を見る会の名簿が開示請求の対象になるという趣旨が安倍事務所に伝わっていることを認めているようにも読みとれるため、青信号とした。だが、2段落目以降では、一転して否定しているようにも見えるため、この全4段落の安倍総理の答弁の中ですら整合がとれてないように思える。

 直後の2段落目では、安倍総理は参議院の内部資料の文言を読み上げて、この文言と一字一句同じ連絡は来ていないという意味合いのことを言っているのではないか。「ご飯論法」に通じる誤魔化し方で以下のように論点をすり替えており、赤信号とした。

【質問】趣旨が伝わったか

↓ すり替え

【回答】趣旨が文書と全く同じ文言で伝わったか

 3段落目は、内閣府の文書に書かれた「開示請求対象になること」と参議院自民党の内部資料に書かれた「名簿が公開されること」は違うということを熱弁されていると思われるが、質問と全く無関係であり、赤信号とした。そもそも、なぜこのような話をしたのか筆者には最後まで理解できなかった。

 4段落目は、そういう方(=桜を見る会に呼ぶに相応しい方)を選んでくださいという連絡は来ているという意味合いのことをおそらく述べており、以下のように論点をすり替えていると判断し、赤信号とした。

【質問】開示請求対象となる趣旨が伝わったか

↓ すり替え

【回答】相応しい人を選ぶ趣旨が伝わったか

 この答弁の後、山添議員が「ちょっとはっきり趣旨が分かりませんけども」と述べている通り、安倍総理の答弁は徹頭徹尾、意味不明であった。

◆「切り貼り」でまとも答弁したかのように報じるメディア

 今回の質疑で明らかになったことを強いて挙げるとすれば、「政府および自民党は名簿公開の可能性を事前に認識していたことが明らかになり、個人情報は公開できないという従来の総理答弁の根拠が崩れた」という山添議員の指摘に対して、安倍総理は質問に全く回答しなかったという事実だ。

 だが、残念ながらこの事実を多くの国民が知ることはないだろう。これまで同様にNHKを始めとする国内メディアのニュース番組では神業的な映像の切り貼り編集によって、あたかも安倍総理が理路整然と質問に回答したかのような映像を流すことが予想されるからだ。

 だが、この質疑をノーカットで視聴すれば、事実はおのずと見えてくるだろう。この場面に限らす?、当日の質疑では答弁者側には大きな混乱か?見られ、質問に回答することが困難なほどに追い詰められていた。全編はYoutube て?字幕付きて?視聴て?きるため、こ?確認頂きたい。(本記事て?取り上け?た場面は動画の14:20~)

http://youtu.be/BRSVLP0pE3M

<文・図版作成/犬飼淳>

【犬飼淳】

TwitterID/@jun21101016

いぬかいじゅん●サラリーマンとして勤務する傍ら、自身のnoteで政治に関するさまざまな論考を発表。党首討論での安倍首相の答弁を色付きでわかりやすく分析した「信号無視話法」などがSNSで話題に。最近は「赤黄青で国会ウォッチ」と題して、Youtube動画で国会答弁の視覚化に取り組む。

 犬飼淳氏の(note)では数多くの答弁を「信号無視話法」などを駆使して視覚化している。また、同様にYouTubeチャンネル(日本語版/英語版)でも国会答弁の視覚化を行い、全世界に向けて発信している

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