「私」のために「公権力」を行使する安倍総理<小川淳也氏>

「私」のために「公権力」を行使する安倍総理<小川淳也氏>

(衆院インターネット中継より)

◆前代未聞のデタラメを繰り返す「安倍政権」

 森友・加計の公文書改ざんに端を発し、防衛省の南スーダンPKO派遣部隊の日報隠蔽、統計偽装、桜を見る会での公文書廃棄・隠蔽などなど、歴代政権では考えられないデタラメなことを平然と行っている安倍政権。

 公文書を改ざんし、平然と嘘の答弁をし、その嘘が発覚すると、矛盾を指摘したホテルを恫喝し、議会を愚弄する安倍政権は、最近になって「政権の守護神」と言われる東京高検の黒川弘務検事長の定年を、前例を覆して無理やり延長させるという検察庁法違反と指摘されてさえいる暴挙に出ている。

 こうした公権力・国家の私物化は国を誤ることになることは疑いのない事実だ。

 今日、21日発売の真正保守論壇誌『月刊日本 2020年3月号』では、公権力・国家の私物化を剔抉(てっけつ)し、公権力を国民の手に取り戻さねばならないと、「国家の私物化、隠蔽・改竄・安倍政権 [安倍総理よ、恥を知れ!]」と題した第二特集を打ち出している。

 今回は、同特集の中から、国会で鋭い質疑を繰り返す立憲民主党・無所属フォーラムの小川淳也氏の論考を紹介したい。

◆行政そのものが私物化されている

―― 小川さんは予算委員会で「桜を見る会」の問題を追及しています。問題の本質はどこにあるのですか。

小川淳也議員(以下、小川):いま予算委員会で議論すべき課題は山積しています。カジノ・IR、自衛隊の中東派遣、新型肺炎など、国策に関わる問題がある。「もっと大事な問題があるだろう」という国民の声があることも承知しています。

 しかし政策を議論する以前に、安倍政権によって行政そのものが私物化されている疑惑がある。これを解消しない限り、政策を議論して行政を前に進めることは不可能です。国会の冒頭でこの問題にケジメをつけることが最優先の政治課題であると腹に据えています。

―― 具体的な問題点はどこにあるのですか。

小川:「桜」の法律的問題は、以下の4点です。

 すなわち衆議院議員安倍晋三が内閣総理大臣たる地位を利用して、会の趣旨を歪ませて予算を支出した財政法違反、またそのような形で予算を執行して地元有権者を供応接待した公職選挙法違反、及びそれらの収支を記載しなかった政治資金規正法違反、さらに証拠隠滅のために公文書を廃棄させた公文書管理法違反の疑惑がある。

 まず財政法は、予算は定められた目的の外に使用してはならないと規定しています。桜を見る会の目的・趣旨は「各界で功績、功労のあった方々」を招いて慰労することですが、安倍政権はそれを度外視して友人知人、地元有権者を招待していた。その結果、参加者数は1万2000人(13年)から1万8200人(19年)まで膨れ上がった。予算額は毎年1767万円ですが、実際の執行額は3005万円(14年)から5519万円(19年)まで肥大化した。執行額が予算額を4倍も上回る事業など前代未聞ではないか。

 安倍政権が本来の目的・趣旨から逸脱し、財政法違反の状態を続けてきたことは明らかです。

―― 総理主催の桜を見る会と安倍後援会主催の前夜祭には、地元関係者ら約800人が参加していた。

小川:公職選挙法は、後援団体の行事などで選挙区内の有権者に供応接待してはならないと規定しています。桜を見る会には地元後援会の関係者たちが大勢参加していましたが、主催者が安倍総理である以上、税金で地元有権者を供応接待した公職選挙法違反の疑いがある。

 そもそも安倍事務所は地元で参加希望者を幅広く募り、内閣府に推薦していました。安倍総理は「自分は推薦しただけで、招待したのは内閣府だ」という主張を展開していますが、内閣府の最高責任者は総理です。また、この主張は「内閣総理大臣として自分で事務処理したもの以外は一切責任を取らない」と言うに等しいものです。

 安倍総理は無責任な答弁で言い逃れようとしていますが、桜を見る会の主催者としての責任は免れず、公選法違反の疑いは残ったままです。

◆「レッテル」はすぐに剥せる

―― 安倍後援会がホテルニューオータニで開催した前夜祭でも、地元有権者を供応接待した公職選挙法違反の疑いがあります。ニューオータニの一般的な飲食費は1人当たり1万1000円以上ですが、前夜祭の会費は5000円という異例の低価格でした。

小川:そこから安倍後援会かホテルが差額分を負担して、参加者に会費を超える供応接待が行われたのではないかという疑いが出てきます。安倍後援会が負担していた場合は「買収」に当たり公選法違反になります。一方、ホテルが負担していた場合は「寄付」に当たり収支報告書に記載しなければならないが、それがなされていないので政治資金規正法違反になります。また「寄付」の場合でも間接的な買収に当たる可能性があります。

―― しかし安倍総理は「価格はホテルが設定した」と主張し、あくまでも差額はないという立場です。

小川:それならば、ホテルから明細書をもらって提示すべきです。そうすれば総理の説明が事実かどうか一瞬で確認でき、問題は一気に沈静化する。先日私がこの点について質疑した時も、安倍総理は「レッテル貼りだ」と反発しましたが、「レッテルはすぐに剥せる」と即座に言い返しました。それをやらずに詭弁や珍答弁を繰り返すから、いつまで経っても疑惑が晴れないのです。

―― 公文書管理法違反の疑いもあります。安倍政権は19年の桜を見る会の招待者名簿を廃棄していました。

小川:内閣府は昨年5月9日、共産党の宮本徹議員から桜を見る会の資料請求をうけた1時間後に招待者名簿をシュレッダーにかけて廃棄しており、その後5月7〜9日の間に電子データも削除したと説明しました。野党は電子データを削除した記録(ログ)を開示するよう求めましたが、安倍総理は「セキュリティ上の問題がある」と拒否し、担当者への確認も行わないとしています。

 資料は廃棄した。電子データも削除したが、削除記録は確認できない。こんな説明で納得できるはずがない。証拠隠蔽のために招待者名簿を廃棄した公文書管理法違反の疑いは強いと言うしかありません。

◆安倍総理の嘘は国民に対する虐待だ

―― 「桜」は森友、加計と同じ政権の体質を表している。

小川:いま安倍長期政権の澱や膿が噴き出しているが、それらは安倍晋三という個人から出てきたものだと言わざるをえない。森友・加計・桜にしろ、法制局・検察人事への介入にしろ、一連の問題に共通するのは権力の際限なき広がりです。安倍晋三という人物の根底には、あらゆる領域に自己の権力を拡大していくという拭い難い傾向がある。しかも厄介なことに、本人はその傾向に無自覚なのです。だからこそ、安倍政権の権力は自制が効かず、半ば無意識的に際限なく拡大している。

 森友・加計・桜で言えば、安倍総理の権力志向に身内びいきが相まって、お友だちに便宜を図るために公権力が行使されている。安倍総理は公私の区別がつかず、権力を見境なく広げているのです。

―― 安倍総理は自己の権力は法律ではなく身分に基づくものだと勘違いしているように見えます。

小川:安倍総理には「朕は国家なり」という権威主義的な感覚があるのだと思います。それは安倍総理の生い立ちに由来するものなのでしょう。安倍総理は自己の権力が内閣総理大臣として主権者国民から授けられた「借り物」ではなく、支配階級として生まれながらに与えられた「特権」であると錯覚しているのではないか。その前提で安倍政権を捉えておかないと、本質を見誤ります。

―― 安倍総理は国会で薄ら笑いを浮かべながら野次を飛ばし、不誠実な答弁を繰り返しています。その姿に国民は深く傷ついていると思います。

小川:安倍総理は責任回避のために詭弁を繰り広げていますが、それを聞いて納得する国民はいないでしょう。しかし安倍総理はいくら矛盾を指摘されても、堂々と開き直って次から次へと詭弁を繰り返す。一国の総理大臣が平気で嘘をつく姿を見せること自体、国民に対する精神的な虐待だと言っても過言ではないと思います。

―― 世論調査では大多数の国民が「総理の説明に納得できない」と回答しています。しかし、政権支持率は落ちない。国民は安倍総理が嘘をついていると知りながら、安倍政権を支持せざるをえない状況です。

小川:それは野党が安倍政権に代わる選択肢になりえていないからですよね。そのため野党がいくら安倍総理の嘘を暴こうが、国民は安倍政権を支持せざるをえない。その意味では、与野党問わず日本の政界が国民を傷つけているのかもしれない。

―― 乱暴な例えですが、父親(自民党)は家庭内暴力を振るう。母親(野党)はそんな父親をヒステリックに罵る。しかし子供(国民)は母親と家出しても生活できるとは思えないから、父親の暴力に耐えながら生活する道を選ぶしかない。そういう状況に見えます。

小川:何となれば、国民は一度野党に政権を任せて失敗しているわけです。そのトラウマがあるからこそ、自民党政権のもとに留まり続けている。その中で野党が自民党を批判すればするほど、自民党以外に選択肢がない国民は惨めになり、諦めを深めるのではないか。現在の政治不信はここから来ているのかもしれません。

 安倍政権の7年間で溜まった澱や膿を一掃するためには政権交代しかない。しかし国民は政権交代を望んでいない。それは野党が国民からの信頼を勝ち得ていないからです。

 確かに野党が国会で事実を明らかにしながら安倍政権の問題点を追及することは必要です。しかし、それだけでは不十分です。

 やはり我々野党は安倍政権に反省を促す前に、自分たちが本当に反省しなければならない。3年3か月の民主党政権時代の反省、それから7年経っても政権政党として復活できない反省、そして今回の合流をめぐる反省……いくら反省しても反省し切れない。そういう忸怩たる思いがなければ、どれだけ政権批判を繰り返しても、野党に未来はない。

 率直に言って、与党も野党もその視野に国民の姿が入っているとは思えない。国民もそのことに気づいているから、与野党がお互いに自分たちの立場や利益のために罵り合うような国会審議にうんざりしているのだと思います。だからこそ、誰が本気でこの国の未来を憂いているのか、国民生活を憂いているのか、子供たちの将来を憂いているのか、それが真摯に伝わる国会審議にしたい。そういう思いで質疑に立たせていただきたいと思います。

(2月5日インタビュー、聞き手・構成 杉原悠人)

【月刊日本】

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