「新型コロナショック」でマーケット激震。世界的に株価は持ち直すのか?<闇株新聞>

「新型コロナショック」でマーケット激震。世界的に株価は持ち直すのか?<闇株新聞>

Photographer: Michael Nagle/Bloomberg via Getty Images

 経済事件の裏側を暴き続けるWebメディア「闇株新聞」。中でも金融・マーケット事情に精通する主筆が、「新型コロナ・ショック」に揺れる相場の実態について分析する。FRB(米連邦準備理事会)が3月17〜18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)を前に緊急利下げを行ったことで、世界的に株価は持ち直すのか?

◆コロナショックで止まらぬ世界的な株の大暴落

 世界的に株価の乱高下が止まらない。3月12日のNYダウは2352ドル安(9.99%安)で1987年のブラックマンデー以来の下げ幅(22.6%安)を記録。翌“13日の金曜日”は1985ドル高で引けたが、連日のように1000〜2000ドルの上げ下げが繰り広げられるだけに予断を許さない状況にある。

 3月12日終値の2万1200ドルは2017年6月以来の安値だが、足元のボラティリティ(変動率)の高さを考えれば、2回目の中国ショックのあった2016年初めの約1万6000ドル、あるいはトランプ当選直後の約1万8000ドルも決して遠くはない。

 これまでの米国の(世界全体の)株式市場は、多少の悪材料が出ても短期間で調整を終了してきた。すぐに何事もなかったように上昇相場に戻り、1か月前の2月12日にもNYダウは2万9551ドル(終値)の史上最高値を更新していた。

 それが2月21日を境に「壊れて」しまった。続く22〜23日の週末にイタリアと韓国で新型コロナウイルスの感染者数が爆発的に増え、米国も含めた世界的な感染拡大と経済活動の低迷、企業業績の悪化などに対する懸念から、週明け24日から世界的な株価の暴落が起こった。NYダウは2月12日の史上最高値から3月12日までに、実に28.2%も下落した。

 その間、3月3日にはFRBが0.5%の緊急利下げを行い、短期金融市場への資金供給を1日当たり1000〜1200億ドルから1500億ドルに拡大。また、ECB(欧州中央銀行)も12日の理事会での利下げは見送ったものの、社債を中心に年末までに1200億ユーロの資産購入(市場への資金供給)を行い、また資金繰りの苦しい域内銀行に対して政策金利(0%)で特別資金供給を再開するなどの追加緩和策を決めている。

 しかし、NYダウはその3日の緊急利下げの日に785ドル安の2万5917ドルとなり、12日に追加緩和を決めた欧州市場は米国による欧州からの入国制限を受けて急落。ドイツのDAX指数は2月19日の1万3789ポイントの史上最高値から、3月12日の9161ポイントまで、33.5%も下落したのである。

 東京市場も悲惨な状態で、3月13日朝方には日経平均が1万6690円まで下落。3時の取引終了時点では1288円安の1万7431円まで持ち直したが、世界的な株価急落前の2月21日の2万3386円から25.4%も下落した。

 今回の世界的な株価暴落の直接的原因は、もちろん中国発新型コロナウイルスの世界的蔓延と、それを受けた世界的な経済低迷、企業業績の悪化懸念である。だが、これまでの世界の株式市場なら同じ状況でも、これほどの暴落とはならなかったはずである。

◆昨秋からあったサイン。それは異常な「金利」

 今から考えてみると、昨秋頃から「気になる兆候」が表れていた。まず、世界的な株価上昇にもかかわらず、世界の(特に米国の)長期国債利回りは下落し続けていた。普通は「世界的な株価上昇=世界的な景気及び景気見通しの改善=世界的な長期国債利回りの上昇(国債価格の低下)」、あるいは「世界的な株価下落=世界的な景気及び景気見通しの悪化=世界的な長期国債利回りの低下(国債価格の上昇)」となるはずで、過去からずっとその通りになってきた。景気がよくなれば、資金需要が高まり金利上昇圧力が加わる。景気が冷え込めば資金需要が衰えて金利は低下するのである。

 ところが、昨秋頃から株価上昇と長期国債利回り低下(国債価格の上昇)が同時に起こるようになっていた。つまり過去からの公式が「ほとんど初めて」使えなくなっていたことになる。その頃は金融緩和による世界的な投資資金の余剰で、株式市場も国債市場も“同時バブル状態”であるからと思われていた。

 さらに同じく昨秋頃から、FRBが利下げを行っているにもかかわらず短期金融市場でドルが大幅に不足するようになり、FRBは連日大量の短期資金をレポ市場に供給し、ようやく短期金利の跳ね上がりを抑えていた。

◆3月13日に見られた新たな「兆候」

 この状態は3月3日の緊急利下げ時にさらに加速し、FRBは1日で1200億ドルの短期金利を供給し、その週後半には1日当たり史上最高額の1500億ドルに供給量を増加させている。通常の利下げは、低金利により追加の資金需要を引き起こして経済活動を活発にするためであるが、米国市場では短期市場で必要なドル資金を調達できない米国内外の銀行や新興国(中央銀行)、一般企業がその短期市場でひしめき合っていたことになる。

 つまり、いくら市場にドルが有り余っていても、そのドルが調達できないほど信用状況が低下してしまった内外の銀行や低開発国の中央銀行、一般企業が存在していたのである。

 また、株価が上昇しても長期国債利回りまで低下していた理由は、米国債には低格付け債券や同ローンから逃避した資金の受け皿としての側面があり、昨秋頃から低格付け債券や同ローンから資金が大量に逃げ出し、米国債に向かっていた。株価暴落中はその動きが加速したと考えられる。

 

 米国10年国債利回りは年初の1.92%、株式暴落が始まる直前の1.47%(すでに利回りが低下していたことに注意)、FRBが緊急利下げした3月3日が1.00%、株価がさらに暴落した3月9日には一時0.36%と、パニック的に下がり続けている。

 これは低格付け債券や同ローンからの資金逃避が同じようにパニック的に加速していたことを意味する。

 3月13日東京時間の米国10年国債利回りは、世界的に株価が暴落したにもかかわらず、夕方には0.90%まで上昇している。

 その後、 米時間の3月15日(日本時間では今日未明)にはFRBが1%の緊急利下げに踏み切り、政策金利は0〜0.25%へと引き下げられたが、これは3月17〜18日のFOMCでの実施が予想されていたものにすぎず、利下げ実施後も米国10年国債利回りは0.7%台で踏みとどまっている(※3月16日10時10分修正)。

 これは低格付け債券や同ローンからの資金逃避が一段落したことを意味し、同時に世界的な株価暴落も徐々に落ち着きを取り戻す「兆候」であると考える。

<文/闇株新聞>

【闇株新聞】

‘10年創刊。大手証券でトレーディングや私募ファイナンスの斡旋、企業再生などに携わった後、独立。証券時代の経験を生かして記事を執筆し、金融関係者・経済記者などから注目を集めることに。2018年7月に休刊するが、今年7月に突如復刊(「闇株新聞」)。有料メルマガ配信のほか、日々、新たな視点で記事を配信し続けている。現在、オリンパス事件や東芝の不正会計事件、日産ゴーン・ショックなどの経済事件の裏側を描いた新著を執筆中

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