500万ツイートが示した国民の声に総理は何と答えたか? 信号無視話法分析してみた

500万ツイートが示した国民の声に総理は何と答えたか? 信号無視話法分析してみた

筆者のYouTubeチャンネルより

◆Twitterデモ「#検察庁法改正案に抗議します」衝撃の500万件

 2020年5月9日〜10日にかけて急速に拡散された「#検察庁法改正案に抗議します」のハッシュタグを用いたTwitterデモ。これまで政治的話題には言及してこなかった著名人もこのハッシュタグを用いてTwitterデモに参加し、ツイートは異例の500万件を記録した。このデモによって、コロナ禍のどさくさに紛れて検察人事に介入しようとする内閣の姿勢に多くの国民が疑問と怒りを感じていることが明らかになった。

 こうした動きを受けて、翌日の5月11日に共産党・宮本徹議員は衆議院予算委員会で安倍晋三総理に早速このTwitterデモについて質問し、約4分間にわたって質疑。本記事では、この質疑を信号機で直感的に視覚化していく。具体的には、信号機のように3色(青はOK、黄は注意、赤はダメ)で直感的に視覚化する。(※なお、色表示は配信先では表示されないため、発言段落の後に( )で表記している。色で確認する場合は本体サイトでご確認ください)

 質問に対する安倍総理の回答を集計した結果、下記の円グラフのようになった。

<色別集計・結果>

●安倍総理:赤信号 38% 黄信号 49% 灰色 13%

*小数点以下を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%にはならない

 赤信号と黄信号が9割弱を占めており、青信号は0%。つまり、質問には一言も答えていない。また、不要な言葉や意味不明な言葉を意味する灰色が13%もあり、何を言っているのか理解しづらい場面が度々見受けられた。いったいどのような質疑だったのか詳しく見ていきたい。

 実際の映像は筆者のYoutubeチャンネルで視聴できる。

◆安倍総理にTwitterデモの受け止めを質問する宮本徹議員

 まず、宮本徹議員は著名人(演出家・宮本亞門氏、俳優・井浦新氏など)のツイートを引用しながら、検察庁法改正に疑問を持っている国民がいかに多いのかを示し、総理の受け止めを確認する。その質疑は以下の通り。

宮本徹議員:「検察庁法の、えー、問題であります。この週末にですね、

#検察庁法改正案に抗議します

 このハッシュタグをつけてですね、Twitter上でデモが行われました。えー、この週末2日間で約500万のツイート。えー、キョンキョンや、きゃりーぱみゅぱみゅ。あるいは西郷輝彦さん、浅野、あー、忠信さん、いきものがかりの水野良樹さんなど著名なですね、えー、方々、芸能人の皆さんも多数がですね、参加されておられました。

 時の総理をも起訴することができるのが検察官の、あー、職務であります。だからこそ、政治的中立性と独立性が不可欠であります。ところが安倍政権はこの間、これまでの法解釈をひっくり返して、黒川氏の、えー、勤務延長を閣議決定致しました。さらに今度は法改正までして、政権の判断で検察幹部の勤務延長ができ、時の政権が恒常的に検察官人事に介入できる仕組みを制度化しようとしています。私、はっきり言って三権分立を揺るがす独裁者の発想だと言わなければならないと思っております。

 演出家の宮本亞門さんはツイートの中で

『このコロナ禍の中、集中すべきは人の命。どう見ても民主主義とはかけ離れた法案を強引に決めることは日本にとって悲劇です。』

こうツイートされています。

 俳優の井浦新さんは、あー、こうツイートされています。

『もうこれ以上、保身のために都合よく法律も政治もねじ曲げないで下さい。この国を壊さないで下さい。』

 こうツイートされています。

 国民みんなでですね、自粛をして、新型コロナと戦って、戦っている最中に自らの権力を守るためにですね、悪法を押し通す火事場泥棒だと国民に映っているわけであります。総理ね、この国民の怒り、どう受け止めていますか?」

安倍総理:「えー、検察官もですね、一般職の国家公務員であり、えー、国家公務員法の勤務延長に関する規定が、えー、適用されるとの今回の、えー、解釈変更は、え、検察庁法を所管する法務省において、えー、適切に行ったものと承知をしています。(黄信号)

 ま、その上で、えー、今般の、おー、国家公務、公務員法等の、えー、改正法案の趣旨目的は、え、高齢期の職員の豊富な知識、えー、経験等を最大限に活用する点が、などに、えー、あるところ、おー、検察庁法の改正部分の趣旨目的もこれと同じであります。(黄信号)

 また、今回の法改正においては、検察官の定年延長に当たって、その要件となる、えー、事由を事前に明確化、あー、することしており、えー、内閣の恣意的な人事が今後行われるといった、ご懸念は全く当たらないと、はっきりと申し上げておきたいと思います。(赤信号)」

宮本徹議員:「いや、国家公務員並みにしちゃダメなんですよね。国家公務員と区別をして、政治が、時の政権が人事に介入できないように今まで検察官の仕組みはやってきたわけですよ。定年延長の制度。そこになぜですね、手をつけて検察官の人事にまで時の政権が介入できるようにしようと言うんですか。」

 1段落目と2段落目は周知の事実であり、黄信号と判定した。

1段落目:検察官の勤務延長を解釈変更した経緯

2段落目:検察庁法改正の表向きの目的

 また、3段落目は論点をすり替えており、赤信号とした。

3段落目

【質問】Twitterデモによる国民の怒りの受け止め

↓ すり替え

【回答】内閣の人事介入の可能性

 見ての通り、安倍総理は質問に一言も答えていない。

◆国民の怒りを総理はどう受け止めているのか?

 質疑時間の制限が近づく中、全く質問に答えない安倍総理に対して、宮本徹議員は改めて総理にTwitterデモが示した国民の声に対する受け止めを問いかける。その質疑は以下の通り。

宮本徹議員:「私は先ほど総理にお伺いしたのは、これだけたくさんの方がTwitterで、著名人の方が、まで含めて市民・国民が意思表示したかつてない事態ですよ。これをどう受け止めているのかということを伺ってるんです。その点をお伺い、答えてください。」

安倍総理:

「あのー、 先ほど答弁した通りであります。(赤信号)」

宮本徹議員:「全く国民の怒りをですね、全く国民の怒りにですね、答えてない。国民の声に耳を傾けるつもりもない。そういう姿勢にですね、国民はますます今度の検察庁法を通そうということに危惧を持つと思いますよ。検察庁法の改正案は撤回すべきだということを強く申し上げて質問を終わります。 」

 総理は「先ほど答弁した通り」と平然と述べているが、先ほど確認した通り、総理は先ほども質問には全く回答していない。露骨に答弁を拒否しており、赤信号とした。

 結局、宮本徹議員が検察庁法改正に抗議するTwitterデモ500万件の受け止めを4分間にわたって2回質問した結果、安倍総理は回答にあたる言葉を一言も述べなかった。

 最後に、冷静に考えてみてほしい。

 やましいことがない人間がこんな振る舞いをするだろうか?

 この質問に全く答えないという総理の行為自体が検察庁法改正は内閣による検察への人事介入を目論んでいることを如実に示しているのではないか。

<文・図版作成/犬飼淳>

【犬飼淳】

TwitterID/@jun21101016

いぬかいじゅん●サラリーマンとして勤務する傍ら、自身のnoteで政治に関するさまざまな論考を発表。党首討論での安倍首相の答弁を色付きでわかりやすく分析した「信号無視話法」などがSNSで話題に。noteのサークルでは読者からのフィードバックや分析のリクエストを受け付け、読者との交流を図っている。また、日英仏3ヶ国語のYouTubeチャンネル(日本語版/ 英語版/ 仏語版)で国会答弁の視覚化を全世界に発信している。

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