やっぱり「黒川検事長の人事と検察庁法改正案」は関係あった! 森法相がうっかり認めてしまった答弁を信号無視話法分析で検証

黒川検事長人事と検察庁法改正案の関係が明確に 森雅子法務大臣、うっかり認める?

記事まとめ

  • 検察庁法改正の国会の法案審議に出席しなかった森雅子法務大臣は15日、ついに出席した
  • 森氏は質問に答えず同じ原稿を読み委員長は注意せず質疑が成り立たない場面が目立った
  • 重要な論点の1つ"黒川検事長と検察庁法改正の関係"が明確になった場面があったという

やっぱり「黒川検事長の人事と検察庁法改正案」は関係あった! 森法相がうっかり認めてしまった答弁を信号無視話法分析で検証

やっぱり「黒川検事長の人事と検察庁法改正案」は関係あった! 森法相がうっかり認めてしまった答弁を信号無視話法分析で検証

筆者のYouTubeチャンネルより

◆「#検察庁法の強行採決に反対します」デモ の最中に行われた5月15日の質疑

 日増しに注目度が高まる一方で、肝心の森雅子法務大臣は国会の法案審議に出席しない異常事態が続いていた検察庁法改正。そうして迎えた2020年5月15日、強行採決の可能性があるとういことで国会の外に集まったデモ隊の抗議の声が委員会室にも聞こえる中、ついに森大臣が法案審議に出席。衆議院 内閣委員会で約1時間にわたって質疑が行われた。

 この質疑全体を通して、森大臣は質問に答えずに同じ原稿を読み続け、委員長(自民党・松本文明議員)はそれを全く注意しないため、質疑が成り立たない場面が目立った。その一方、ある2つの質問に答えたことによって、重要な論点の一つである「黒川検事長と検察庁法改正の関係」が明確になった場面があった。

 そこで本記事では、この5月15日の衆議院内閣委員会における国民民主党・後藤祐一議員と森雅子法務大臣の約3分間の質疑をノーカットで信号機で直感的に視覚化していく。具体的には、信号機のように3色(青はOK、黄は注意、赤はダメ)で直感的に視覚化する。(※なお、色表示は配信先では表示されないため、発言段落の後に( )で表記している。色で確認する場合は本体サイトでご確認ください)

※約1時間の質疑全体を確認したい場合は、筆者のnote「【全文 文字起こし】検察庁法改正 衆議院内閣委員会2020年5月15日」を参照してください。

 2つの質問に対する森法務大臣の回答を集計した結果、下記の円グラフのようになった。

<色別集計・結果>

●森法務大臣:青信号 97% 灰色 3%

*小数点以下を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%にはならない

 ほぼ全てにあたる97%が青信号であり、質問にしっかりと回答したことが分かる。また、文字数はわずか76字であり、2問に対して簡潔に回答したことが読み取れる。どのような質疑だったのか、文字起こしで確認していきたい。

 実際の映像は筆者のYoutubeチャンネルで視聴できる。

◆2日前の武田大臣の答弁の確認によって浮かび上がる、黒川検事長と法案の関係性

 後藤議員は、この質疑の2日前(5月13日)の武田良太・国家公務員制度担当大臣の答弁(参照:朝日新聞)を議事録で示しながら、森法務大臣も同じ認識かどうかを確かめていく。

 その質疑は以下の通り。

後藤祐一議員:「一昨日の武田大臣の質疑、振り返ってみたいと思いますが、えー、配布資料の3ページ、大臣もご覧ください。えー、水曜日の議事録。えー、昨年のその10月、うーの、おー、段階までの話ですね。えー、昨年10月の段階の話として、その、

『検事長が63歳以降も居座れる規定をつくらなくても公務の上に著しい支障が生じるような事例は見当たらなかった』

と武田大臣は答弁しています。『事例が見当たらなかったということでございます』と明確に答弁しています。

 森大臣、同じことを確認までに伺います。昨年10月までは検事長が63歳以降も居座れる規定を作らなくても公務の上に著しい支障が生じるような事例は見当たらなかったということでよろしいですか? 確認です。武田大臣の答弁と同じでいいですかという確認です。」

森法務大臣:「えー、検察官に勤務延長の適用がないことにより公務の上に著しい支障が生じた特段の事例は見当たりませんでした。(青信号)」

後藤祐一議員:「もう一つ伺います。同じ水曜日の質疑で、えー、今度は6ページ中段でございますが、

『昨年10月以降、おー、63歳へ・・、失礼しました、63歳以降も検事長は居座らなきゃいけないような立法事実がまさに体現化された具体的な人事ケースとしては、黒川・・、私の承知しているところについて言えば黒川さんの件以外にありません』

と武田大臣答弁されておられます。森大臣に確認までに同じことを伺いますが、昨年10月以降、63歳以降も検事長が居座らないと業務の継続的遂行に重大な障害が発生する、あ、失礼しました。同じ言い方した方が良いですね。ちょっと、あの、訂正しますね。

『63歳以降も検事長が居座るなきゃいけないような立法事実がまさに体現化された具体的な人事のケースは黒川さんの人事の件以外にない』

ということでよろしいですか? 森大臣。」

森法務大臣: 「はい。具体ではございませんでした。(青信号)」

後藤祐一議員:「黒川さんの件はそうだけど、黒川さん以外には無いということでよろしいですか?」

森法務大臣:「その通りでございます。(青信号)」

後藤祐一議員:「ということは、この検察庁法改正案の立法事実は黒川さんのケースしか無いということをまさに森大臣は認めたということじゃないですか。森大臣は5月12日火曜日の記者会見で『黒川検事長の人事と今回の法案については関係のないものだ』と述べておられますけども、

 まさに関係があるじゃないですか! 唯一の立法事実と認めてるじゃないですか! そのものじゃないですか!」

 質疑の文字起こしは以上である。

 もはや解説の必要が無いほどに森大臣の発言の矛盾が明らかにされている。

◆「青信号」だが明らかになる過去発言との矛盾

 まず、森大臣の答弁は全て質問に回答しており、青信号とした。

 そして、後藤議員が指摘した内容を改めて整理すると、以下のようになる。

【1問目】

検事長が63歳以降も居座れる規定をつくらなくても公務に支障が生じる事例は無い

→森大臣の回答は「Yes」

【2問目】

検事長が63歳以降も居座らなければならない立法事実の具体例は黒川さんの件のみ

→森大臣の回答は「Yes」

【1問目と2問目を踏まえた結論】

黒川検事長の人事は検察庁法改正案の唯一の立法事実である(=関係がある)

 つまり、この質疑のほんの3日前(5月12日)に森法務大臣が記者会見(参照:朝日新聞)で述べた「黒川検事長の人事と検察庁法改正案は関係ない」という発言は虚偽であると森法務大臣自らが答弁で認めてしまっている。

 この後藤議員の質疑は約44分間に及び、上記のやり取りは序盤のほんの一部分である。こうした後藤議員の鋭い追及に耐えられなくなったのか、終盤に森法務大臣は質問内容と全く関係ない原稿内容をただ繰り返し読み続け、同じ自民党の松本文明委員長はそれを全く注意しないため、委員会は紛糾した。その終盤の質疑については後編の記事で紹介したい。

<文・図版作成/犬飼淳>

【犬飼淳】

TwitterID/@jun21101016

いぬかいじゅん●サラリーマンとして勤務する傍ら、自身のnoteで政治に関するさまざまな論考を発表。党首討論での安倍首相の答弁を色付きでわかりやすく分析した「信号無視話法」などがSNSで話題に。noteのサークルでは読者からのフィードバックや分析のリクエストを受け付け、読者との交流を図っている。また、日英仏3ヶ国語のYouTubeチャンネル(日本語版/ 英語版/ 仏語版)で国会答弁の視覚化を全世界に発信している。

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