オカルト・疑似科学団体と密接な下村博文自民党政調会長。ワールドメイト系から500万献金の大臣も

オカルト・疑似科学団体と密接な下村博文自民党政調会長。ワールドメイト系から500万献金の大臣も

下村博文自民党政調会長

 前々回、前回につづき、菅内閣の安倍内閣とほぼ変わらない「カルト内閣」ぶりをリポートする。今回は、幸福の科学、ワールドメイト、世界救世教と関わりを持つ閣僚と、文部科学大臣時代に「文部疑似科学大臣」とも呼ばれた「オカルトのデパート」こと下村博文・自民党政調会長について詳細を見てみたい。

 もちろん、政治家である以上、信仰に関係なく宗教団体などの会合に顔を出すこともあるだろうし、信仰がある場合についてはプライベートに関わる問題でありそれを非難する意図はない。ただ、国会議員等の身分や役職を引っさげてイベントに出席したり祝電や祝花を送れば団体側の権威付けに協力することになり、それはプライベートな信仰活動にとどまらなくなる。社会的に批判されている団体等との関わりであれば、なおさらだ。議員連盟での活動等、各分野に関する推進活動や、政治資金収支報告書に記載される金銭の授受も、プライベートではなく政治家の政治活動だ。政策等も含めて、国民の利害に影響を与えるものであり、政治家個人のプライバシーではない。

◆ワールドメイト関連団体から500万円献金の閣僚

 今回、際立って目立つのはワールドメイトだ。ワールドメイトと関わりを持つ閣僚は平沢勝栄・復興相1人だが、政務官にも4人、自民党4役にも1人いる。全て含めると、第2次安倍再改造内閣の2人から6人へと増えた。しかも平沢復興相は群を抜いてワールドメイトとの関係が深い。各人のワールドメイトとの関わりの内容は、以下の通り。

復興相・平沢勝栄:2015年「若い議員と語り合うグローバル・オピニオン・サミット」出席。2017年、自民東京都第十七選挙区支部に菱法律経済政治研究所、日本視聴覚社、ジャパンペガサスツアー、たちばな出版から各100万円(計500万円)の献金。2017〜2019年「深見東州・バースデー書画展」に祝花、2015・2018・2019年は会場でスピーチ。

総務大臣政務官・谷川とむ:2014年に自民大阪府第19選挙区支部にワールドメイトから100万円献金。2019年「深見東州・バースデー書画展」に祝花。

経済産業大臣政務官・宗清皇一:2015年、深見氏のコンサートチケット2万3000円購入。2014年に自民大阪府第19選挙区支部にワールドメイトから100万円献金。2018・2019年に「深見東州・バースデー書画展」に祝花。

国土交通大臣政務官・鳩山二郎:2017年「深見東州・バースデー書画展」に出席し「これからも先生(深見東州)のために私も懸命に努力していかなければいけない」と挨拶、2018・2019年に祝花。

防衛大臣政務官・大西宏幸:2014年、自民大阪府第1選挙区支部にワールドメイトから100万円献金。2018・2019年に「深見東州・バースデー書画展」に祝花。

党政調会長・下村博文:2015年「深見東州・バースデー書画展」に祝電、2017年に祝花。2013年スポーツ平和サミットに出席し挨拶。

 特徴的なのは、政治家の方がイベントに出席したり祝電等を送ったりするだけではなく、ワールドメイト関連団体や場合によってはワールドメイトそのものが堂々と政治家に献金もしている点だ。

◆与野党問わず金をばらまくワールドメイト

 ワールドメイトは過去、高額な布施を支払った信者から訴訟を起こされたり、批判的な報道を行ったジャーナリストや出版社を片っ端から訴えるなどしてきた。近年も、教祖・深見東州が天災を予言し、それを防ぐためと称して信者から「お布施」を集めるなどしている。深見は本名を「半田晴久」といい、予備校「みすず学苑」や時計店「ハンダウォッチワールド」も経営している。

 もともと、小沢一郎や亀井静香との親密さが際立っていたものの、与野党問わず手広く政治家たちとの人脈を築いてきた。現在も、現役国会議員のうち衆院で16人、参院で2人の計16人について、ワールドメイトとの関係が確認されている。この18人は、自民党議員は10人、立憲民主6人、維新1人、無所属1人という内訳になっている。

 たとえば統一教会との関わりが確認されている国会議員は衆参あわせて92人いるが大半が自民党議員で、立憲は5人。割合で比べると、ワールドメイトの手広さは一目瞭然だ。

 そもそもがこうした状況なので、これは菅政権だけの問題でも与党だけの問題でもない。

◆世界救世教と橋本聖子

 世界救世教との関わりがあるのは、五輪担当相・橋本聖子。世界救世教系政治団体「明るい社会をつくる会」の支援を受けてきた。

 世界救世教も、いわゆる「カルト問題」に取り組む人々の間でことさらに名指しされている場面は見ない。しかし前回、EM菌の関連で触れた世界救世教分派「救世神教」の部分で書いたとおり、世界救世教の教祖・岡田茂吉は医療を否定し手かざしで病気を治せるとする教義を掲げており、世界救世教はこれを信仰する団体だ。

 宗教や民間療法による病気治しが全て有害とは限らない(有効かどうかはともかく)し、通常の医療を否定する思想も実践の場面での程度問題だ。世界救世教をまるごと「カルト」として扱いはしないが、末端組織の指導者や個々の信者の熱心さ次第で人の健康や生死に関わりかねないリスクはある。

◆党政調会長はオカルトのデパート

 今回、菅政権の閣僚や役職者と各団体のか変わりを整理する中で、それぞれの人物について1つの団体との関わり確認されるごとに1つ「★」マークを付けてみた。たとえば1人の閣僚が2つの団体に関わっていれば、「★★」となる要領だ。

 ★3つ以上の(つまり日本会議と神政連という「基本セット」以外の関係団体も持つ)閣僚と役職者を列挙する。

【閣僚】

★★★ 副首相・麻生太郎:日本会議、神政連、統一教会

★★★ 総務相・武田良太:日本会議、統一教会、不二阿祖山太神宮

★★★★ 文科相・萩生田光一:日本会議、神政連、統一教会、幸福の科学*

★★★★ 厚労相・田村憲久:日本会議、神政連、霊友会、不二阿祖山太神宮

★★★ 経産相・梶山弘志:日本会議、神政連、EM菌

★★★ 防衛相・岸信夫:日本会議、神政連、統一教会

★★★★ 内閣官房長官・加藤勝信:日本会議、神政連、統一教会、霊友会

★★★★ 復興相・平沢勝栄:日本会議、神政連、統一教会、ワールドメイト

★★★ 一億総活躍担当相・坂本哲志:日本会議、神政連、不二阿祖山太神宮

★★★★★ 経済再生担当相・西村康稔:日本会議、神政連、霊友会、親学、不二阿祖山太神宮

★★★ デジタル改革担当相・平井卓也:神政連、統一教会、EM菌

★★★ 五輪担当相・橋本聖子:日本会議、統合医療、世界救世教

★★★★★ 国際博覧会担当相・井上信治:日本会議、神政連、親学、統合医療、不二阿祖山太神宮

【副大臣】

★★★ 内閣府副大臣・三ッ林裕巳:日本会議、統一教会、不二阿祖山太神宮

★★★ 文部科学副大臣・田野瀬太道:神政連、霊友会、統合医療

★★★ 農林水産副大臣・宮内秀樹:日本会議、神政連、不二阿祖山太神宮

★★★ 国土交通副大臣・大西英男:日本会議、神政連、統合医療

★★★ 防衛副大臣・中山泰秀:日本会議、神政連、統一教会

【政務官】

★★★★★ 総務大臣政務官・谷川とむ:日本会議、神政連、統一教会、ワールドメイト、不二阿祖山太神宮

★★★★ 防衛大臣政務官・大西宏幸:日本会議、神政連、ワールドメイト、霊友会

【補佐官】

★★★ 内閣総理大臣補佐官・木原稔:日本会議、神政連、不二阿祖山太神宮

【党4役】

★★★★★★★★★★★ 政調会長・下村博文:日本会議、神政連、統一教会、ワールドメイト、幸福の科学、親学、スピリチュアル議連、EM菌、国際生命情報科学会特別顧問、予言者ジュセリーノ信奉者、ナノ銀除染推奨

★★★ 選対委員長・山口泰明:神政連、不二阿祖山太神宮、EM菌

 下村政調会長はあまりに★が多いので、それぞれの団体や分野の解説は省く。この★11個は、全国会議員の中でもダントツだ。もともとこうしたスピリチュアルやニセ科学方面との関係が目立っていた下村は、文科相時代に「文部疑似科学大臣」とも揶揄された。

 ちなみに、衆参国会議員の中で★の数が下村政調会長に次いで多いのは安倍晋三衆院議員で、★6つ(日本会議、神政連、統一教会、ワールドメイト、霊友会、親学)である。

〈*文科相・萩生田光一については、2014年の幸福の科学大学不認可時、当時は閣僚ではなかった萩生田が、認可を得るために幸福の科学側にアドバイスをしたり文科省側との仲介を行ったりした(参照1,2。とは言え、萩生田が文科相となった後の2019年に再申請した幸福の科学大学は今年、認可を断念し申請を取り下げている。萩生田が認可のために何らかの動きを見せたという話はいまのところ聞こえてこない〉

※敬称略

<取材・文・図版/藤倉善郎 取材協力・鈴木エイト>

【藤倉善郎】

ふじくらよしろう●やや日刊カルト新聞総裁兼刑事被告人 Twitter ID:@daily_cult4。1974年、東京生まれ。北海道大学文学部中退。在学中から「北海道大学新聞会」で自己啓発セミナーを取材し、中退後、東京でフリーライターとしてカルト問題のほか、チベット問題やチェルノブイリ・福島第一両原発事故の現場を取材。ライター活動と並行して2009年からニュースサイト「やや日刊カルト新聞」(記者9名)を開設し、主筆として活動。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社新書)

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