実は15年前からある「オンライン葬儀」 コロナ禍で需要急増の背景にお手頃な料金

実は15年前からある「オンライン葬儀」 コロナ禍で需要急増の背景にお手頃な料金

実は15年前からある「オンライン葬儀」(※写真はイメージ)

 コロナ禍の影響で学校や予備校でオンライン授業が行われ、オンライン飲み会なるものも流行りだした。そんな折、俄かに需要が出てきたのが“オンライン葬儀”である。

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 オンライン葬儀とは、遠方で暮らす家族や友人、知人がコロナの影響で通夜や葬儀に参列できない場合、オンラインで参加するというものだ。多くの業者は、葬儀の模様を限定公開のYouTube Liveで配信している。希望者は、喪家にその旨を伝えてURLを送ってもらい、葬儀が行われる日時にパソコンやスマートフォンなどでそのURLにアクセスすると、画面に会場の様子が映し出されるという。

「当社では、5月1日から『お葬式ライブ』というサービスを始めました」

 とは、(株)つばさ公益社(本社・長野県佐久市)の篠原憲文代表取締役。

「緊急事態宣言の発令で、全国的に葬儀の参列者が急激に減少しました。以前は1回の葬儀で大体100人だった参列者が、20人前後と5分の1に減ってしまいました。この方たち以外でも、葬儀に顔を出して故人に声をかけたい人がいます。たとえば長野で葬儀を行う時、東京の学校に通っている孫も呼びたいが、今は東京からわざわざ葬儀には行けないというケースがあるでしょう。そういう人でも葬儀に参加できるように、オンラインによる葬儀を始めました」

 つばさ公益社が行うオンライン葬儀の特徴は、双方向コミュニケーションができることだという。

「オンライン葬儀では、カメラを固定して配信するケースが多いのですが、当社ではチャットツールを使い、オンライン参加者もアクションを起こすことが可能です。配信画面の横にチャット画面があり、そこでやりとりをします。『もう少し、顔の近くに寄って』とか、『遺族にメッセージを伝えて』などの要望に応えることができます。固定配信に比べて、“手触り感”のあるライブ配信を可能にしました」(同)


■色物扱い


 料金は、通夜、葬儀、納棺の儀のライブ配信がセットで2万9800円(税別)とお手頃である。

「ご遺族にQRコードを印刷したカードを配布、オンライン参加者にラインやメールなどで送ってもらっています。通夜と葬儀がそれぞれ1時間、納棺の儀は30分です。2日間に渡って配信されます」(同)

『お葬式ライブ』は限定URLで、YouTube Liveにて公開される。映像は、葬儀後7日間(初七日法要まで)視聴できるという。

 映像の配信だけでなく、香典や弔電、供花などもオンラインで送ることも可能だ。

「香典は、3000円、5000円、1万円の3種類で、手数料500円と消費税がかかります。香典袋に指定金額を入れ、筆文字にてお名前を記名し、ご遺族にお渡しします。弔電は1500円と3000円の2種類で、3000円はお線香がつきます。もちろん生花も手配できます。1万2000円と1万5000円、2万円の3種類です。すべてオンラインストアでクレジットやペイペイなどのキャッシュレス決済となります」(同)

 実は、コロナ禍以前から、葬儀のオンライン配信サービスを行っていたという。

「2017年にもオンライン配信サービスを行ったことがあります。ところが、当時は色物扱いされました。オンライン葬儀なんて不謹慎だということでしょう。故人に対して失礼だと考える方も少なくなかったと思います。それが、コロナで意識がガラっと変わったのではないでしょうか」(同)

「オンライン葬儀は、15年前から一部の業者が行っていました。遠隔地で参加できない人のために、インターネットで中継していたのです。これまではあまりうまくいっているという話は聞きませんでしたが、今年の3月以降需要が出てきました。そして4月の緊急事態宣言以降に急速に増えています」

 と解説するのは、葬送ジャーナリストの碑文谷創氏である。

「戦争中、日本では葬儀を行う人はほとんどいなかった。それが戦後、高度成長化して国民が裕福になるにつれ、派手に行われるようになりました。バブルの頃は葬儀の参列者の平均が280人でした。ところが、2008年のリーマンショック以降、葬儀がどんどん小型化してきたのです。コロナ以前は全国平均で40〜50人にまで減少しています。コロナ以後は、多くても20人くらいです。ハーバード大学は、新型コロナは第2、第3の波が来て、収束するのは2022年の上半期と予測。コロナのワクチンができるのは、早くて1年半後と言われています。それまでは、公衆衛生的な対処が必要となりますから、オンライン葬儀の需要は増えるでしょう。ただ、コロナ禍が収束した後どうなるかはわかりませんがね」

週刊新潮WEB取材班

2020年5月25日 掲載

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