30代・40代は損な世代? 貯蓄の格差と働き方の変化がツラい


第4波が警戒されているコロナ禍。その中で日銀が3月17日に発表した資金循環統計によると、2020年末時点の個人(家計部門)の金融資産残高は1,948兆円で、2年連続で過去最高を更新。昨年、1人10万円の特別定額給付金が支給された分以上に個人の金融資産は増えているようです。

では、個人レベルでの貯蓄額やお金・仕事への意識は、コロナ前からどう変化したのでしょうか。SMBCコンシューマーファイナンス株式会社は、30歳〜49歳の男女1,000人を対象に「30代・40代の金銭感覚についての意識調査2021」を今年2月に実施しています。その結果を見てみましょう。

■貯蓄額100万円以下が5割以上

まず、現時点でどのくらいの貯蓄ができているかを聞いたところ、図表1のような結果となりました。

図表1:現在貯蓄できているお金はいくらあるか?

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出所:SMBCコンシューマーファイナンス株式会社調べ


【金額が少ない層の回答割合トップ3】(カッコ内は前回調査の結果、以下同)

  1. 「50万円以下」23.8%(26.9%)
  2. 「0円」16.7%(21.6%)
  3. 「50万円超〜100万円以下」12.3%(12.1%)

【金額が多い層の回答割合トップ3】

  1. 「500万円超〜1千万円以下」12.2%(6.7%)
  2. 「1千万円超」12.1%(10.7%)
  3. 「400万円超〜500万円以下」7.7%(6.2%)

このように、100万円以下が52.8%と過半数を占める一方で、500万円以上も24.5%と、貯蓄額に二極化の傾向が見られます。

全体の調整平均額(注)は283万円でしたが、前回の調査結果との比較では、前回調査192万円→今回調査 283万円と91万円増加。

調整平均額を年代別でみると、30代では前回調査183万円→今回調査230万円で47万円増加。40代では前回調査202万円→今回調査364万円で162万円の大幅増加になっています。

コロナ禍の外出自粛によって外食や飲み代、旅行等のレジャーにかかるお金が減少した反面、10万円の特別定額給付金の支給があったり、先行きの景気に対する不安からできる限り貯蓄に回したいとする行動が重なって結果的に貯蓄が増えたことが考えられます。

注:ここでは、上位数%のデータにみられた極端な値(貯蓄額が数億円など)の影響を除外するため、10%調整平均(上位と下位からそれぞれ10%のデータを除外して算出した相加平均)を利用。

■「管理職になってもいい年収」で男女差がくっきり

また、有職者(805人)に、管理職になってもいいと思える年収を聞いたところ、「1,000 万円」(21.4%)に最も多くの回答が集まり、平均は1,033万円でした(図表2参照)。

図表2:管理職になってもいいと思える年収は?

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出所:SMBCコンシューマーファイナンス株式会社調べ

前回との比較を性・年齢別にみると、男性では30代・40代ともに減少している一方、女性では逆に増加しています(図表3参照)。

図表3:管理職になってもいいと思える年収の平均の変化

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出所:SMBCコンシューマーファイナンス株式会社調べ


【男性】

  • 30代:156万円減少(前回調査 1,277万円→今回調査1,121万円)
  • 40代:81万円減少(前回調査1,123万円→今回調査1,042万円)

【女性】

  • 30代: 83万円増加(前回調査 863 万円→今回調査 946 万円)
  • 40代: 247万円増加(前回調査751万円→今回調査998万円)

●女性が管理職を目指すのは厳しい環境

共働き世帯における夫婦の家事や育児の分担は、どうしても女性に偏りがちです。今でも家事育児と仕事の両立で忙しい女性が管理職になれば、さらに忙しくなるうえに重責も担うことになります。

そうした環境で管理職になるのであれば、女性が今以上の報酬をもらわないと割に合わないと考えるのは不思議ではないでしょう。

●共働きでも家計を支えているのは男性

一方、コロナ禍の雇用環境は、企業業績の悪化によるボーナスや残業代のカット、希望退職の募集など、正社員であっても決して安泰だといえる状況ではありません。そして、働き方が多様化する中で、年齢に関係なく成果を問われるようにもなっています。

今や共働き世帯が多数派であるとはいえ、家計の大部分を担っているのは男性だという家庭がほとんどではないでしょうか。管理職になってもいい年収が低下している調査結果には、家族の生活を守るため簡単に仕事を辞められない男性の責任感も垣間見える結果だといえそうです。

■脱サラや転職に対して慎重になる人が増加

また、パート・アルバイトを除いた有職者(660人)に、フリーランスや転職についての考え方を聞いたところ、「いつかはフリーランスとして働きたい」と考えている人の割合は28.3%(「非常にそう思う」と「ややそう思う」の合計、以下同)、「いつかは転職したい」と考えている人の割合は43.8%でした。

いつかはフリーランスとして働きたいと考えている人の割合は、男性が前回調査より7.1ポイント減少(36.6%→29.5%)、女性では前回調査より1.7ポイント減少(27.9%→26.2%)しています。

また、いつかは転職したいと考えている人の割合においては、男性が前回調査より2.3ポイント減少(43.0%→40.7%)、女性では前回調査より8.1ポイント減少(57.5%→49.4%)となりました。

フリーランスなどの個人事業主は今回の新型コロナウイルスの影響を大きく受けていることから、企業の後ろ盾があるサラリーマンからフリーランスに転向するマイナス面を、改めて考えさせられた人が多かったのかもしれません。

同時にコロナ禍で採用が減少し、即戦力となる専門性の高い人材が求められています。コロナ前より転職のハードルが高くなったことが転職を慎重に考える人が増えた一因になっているといえるでしょう。

■まとめ:時代の変化に翻弄される世代?

30代・40代の貯蓄額は昨年より増加していますが、100万円以下しか貯蓄がない人が5割を超えているという現実は、この世代の将来に暗い影を投げかけています。

政府が「男女共同参画社会」を唱える反面、保育園などの育児環境が十分とはいえない現状では、男性も女性も働いて収入を得ることに少なからず重圧を感じているのではないでしょうか。格差が広がる一方で、働き方や価値観が大きく変わりつつあるある中、最もその変化に揺さぶられているのがこの世代なのかもしれません。

●参考資料

  • 30代・40代の金銭感覚についての意識調査2021( https://www.smbc-cf.com/news/datas/chousa_210317.pdf )(SMBCコンシューマーファイナンス株式会社)

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