50歳代の老後資金対策〜退職金は「社内預金の満期」と考える


50歳代は住宅ローン返済より投信の積立投資に注力すべきだ、と筆者(塚崎公義)は考えています。

本稿は、50歳代の老後資金対策を考えるものですが、自営業者については一般化が難しいため、主にサラリーマン(サラリーウーマンや公務員等を含む、以下同様)を念頭に記していきます。とは言え、自営業者の方にもお読みいただければ幸いです。参考になる部分があると思いますので。

■子育てが一段落した妻は思い切り働く

サラリーマンの専業主婦は、子育てが一段落した50代ともなると、時間の余裕があるでしょう。高度成長期の専業主婦は、電気洗濯機も電子レンジもコンビニ弁当もなかったわけですから、それと比べたら時間はいくらでもあるはずです。それなら、働きましょう。

「老後資金を充実させるために運用で稼ごう」などと考えると、リスクをとる必要が出てきます。「虎穴に入らずんば虎子を得ず」ですから。しかし、老後資金を充実させるために働いて稼ぐのにはリスクが伴いません。それなら、働くことを優先しましょう。

その際に気をつけるべきなのは、厚生年金に加入できるような働き方をすることです。厚生年金保険料が給与から天引きされますが、老後に厚生年金が受け取れるので老後の生活が安定するからです。女性は平均寿命が長いので、これは重要なポイントだと思います。

■生活を見直す

生活の見直しも重要です。ビールを発泡酒で我慢する、といった節約の前に、大きな支出項目について本当に必要なのかを考えてみましょう。生命保険は本当に必要ですか?

50歳代ともなれば、万が一の場合に死亡退職金が受け取れるかもしれません。あるいは子供が大きくなっていたら、父親に万一のことがあっても何とかなるでしょう。子供も母親も働いて自分の生活費くらいは稼げるでしょうから。

自動車は必要ですか? 都市部に住んでいるなら、自動車を手放して公共交通機関を使いませんか? 自動車は維持費や買い替え費用などが高いので、これを手放すことができるなら、少しくらい贅沢にタクシーを使うことにしても問題ないでしょう。毎日駅まで歩けば健康にも良いはずです。

■退職金は社内預金だと考える

50代のサラリーマンは、退職金のことも考える時期かもしれません。その際に重要なことは、退職金は「永年勤続のご褒美」ではなく「社内預金の満期」だと考えることです。

「自分の給料はもっと高いのだが、会社が強制的に天引きして社内預金をさせている。それが満期になるのが退職日なのだ」と考えることで、良いことが少なくても二つあります。

一つは、「自分は多額の預金を持っているのだから、それ以外の金融資産は株式投信など、インフレに強い資産で持とう」と考えることができることです。預金はインフレで目減りする「リスク資産」なので、預金ばかり持っているのは危険なのです。

退職直前の金融資産(除く社内預金)は全額が株式投資信託(以下、株式投信)※でも良いくらいです。それでも退職日になれば退職金が銀行に振り込まれて「金融資産のほとんどが銀行預金なので、インフレが来たら大変だ」と思うかもしれませんよ。

もう一つは、退職日に大金を手にして気分が舞い上がってしまうリスクが減ることです。退職前から「自分は多額の社内預金を持っている。満期になったらどうしようか」と考えておくことができれば、きっと冷静な判断ができるでしょう。

※投資対象に株式を組み入れることができる証券投資信託のこと

■住宅ローンの返済は急がない

以前は「余裕資金があれば、住宅ローンの繰上げ返済をしましょう。最高の資産運用は借金を返済して金利負担を減らすことです」と記していたのですが、ここまで金利が下がると、急いで住宅ローンを繰上げ返済する必要はないでしょう。退職金で一気に残高を返済すれば良いからです。

余裕資金で住宅ローンの返済を急いだために、退職前日には金融資産がほとんど無く、退職日に受け取った退職金が唯一の金融資産となった場合をイメージしてみましょう。

全額が銀行預金ではインフレが心配なので、一部を株式投信に振り向ける必要性を感じて一気に多額の投資信託を買ってしまうかもしれませんよ。たまたまその日が株価の安い日であればラッキーですが、その日が株価の高い日であった場合には多額の損失を被ることになりかねません。

■老後に向けた貯蓄は株式投信の積立で

そうしたリスクを避けるためには、現役時代から時間をかけて少しずつ株式投信を購入していけば良いのです。住宅ローンの繰上げ返済をする余裕資金があるのなら、老後のために毎月少しずつ投資をしましょう。

長期間にわたって少しずつ投資信託を買っていけば、高い時も安い時も買うことになるので、大儲けは狙えないでしょうが大損のリスクも小さくなります。「退職日に一気に多額の投資信託を買うことによって、運悪く多額の損失を被ってしまう」というリスクを避けることができるわけです。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

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