松屋フーズHD、大赤字▲24億円も休業補償で収支均衡。でも入金は…


牛丼チェーン店「松屋」やカツ丼チェーン店「松乃家」を運営する松屋フーズホールディングス(以下、松屋FHD)は、2021年3月期に▲24億円の最終赤字を計上。

営業利益の赤字に加え、店舗の減損(▲30億円)で最終赤字が膨らみました。ただし、減損を行わなければ休業補償により経常利益は収支均衡の状態です。

2020年3月期には1,000億円を達成した売上高も、コロナ禍での苦戦で3期前のレベルにまで落ち込んでいます。以下、5月10日に発表された通期決算の中身を見ていきましょう。

■店舗の減損により▲24億円の最終赤字を計上した松屋FHD

新型コロナの影響で多くの外食チェーン店が苦戦する中、松屋FHD(9887)も2021年3月期は▲24億円の最終赤字。

300円台で牛丼が食べられ、デフレ経済の勝ち組と言われた牛丼チェーン大手の一角を占める松屋FHDですが、1年が経過しても収束が進まない新型コロナウイルスの影響から大きな赤字を計上することになりました。

  • 2021年3月期 売上高944億円、営業利益▲17億円、経常利益0億円、当期純利益▲24億円
  • 2020年3月期 売上高1065億円、営業利益51億円、経常利益54億円、当期純利益26億円
  • 2019年3月期 売上高982億円、営業利益39億円、経常利益42億円、当期純利益22億円
  • 2018年3月期 売上高930億円、営業利益41億円、経常利益44億円、当期純利益24億円

また2020年3月期に初めて売上高1000億円を超えたものの、減収(対前年同期比▲11%)により売上高1000億円超えは1期で終了。

2021年3月期の売上高944億円は2018年3月期の売上高930億円と同等であり、売上高は3期前に後退した形です。

■助成金等収入14億円だが、入金の大半は2022年3月期以降に

同社の2021年3月期は営業利益▲17億円の一方で、経常利益は0億円(33百万円)と収支均衡です。これは政府の助成金等収入14億円を計上したためで、休業補償の助成金により経常利益は収支均衡を維持しました。

ただし、営業活動によるキャッシュ・フローで計上された助成金等の受取額は2.0億であり、助成金の約8割は2022年3月期の入金ということになります。

外食店の営業自粛要請に伴う休業補償に、どの程度の効果があるか多くの議論がありますが、同社にとっては営業利益のマイナス分を補える金額であり、一定の政策効果は出ている状態です。

しかし、休業補償の入金が遅く外食店の資金繰りは厳しい、と報じられることがあります。

同社も2021年3月期に14億円の助成金等収入を計上したものの、上記のように入金は2.0億円に留まっており、休業補償の入金が遅いことは同社決算からも垣間見ることができます。

同社の場合、2021年3月期末時点で自己資本比率は54%と、外食企業としては手厚い自己資本比率で財務内容に余裕がある状態です。しかし財務的な余裕のない中小の外食店では、休業補償の入金が遅いことで資金繰りが厳しくなるところが多いと推測されます。

■30億円の減損計上により経営的には身軽な状態に

同社の2021年3月期決算を簡潔にまとめると、以下のようになります。

  • 「松屋」などの店舗全体の損益(=営業利益)は赤字
  • 休業補償により全体的(=経常利益)には収支均衡
  • 不採算店の資産などの損失処理(=減損)により最終的な決算(=当期純利益)は大幅な赤字

休業補償で収支均衡は維持しており、また不採算店の資産などの減損により経営的には身軽となったため、コロナ禍後に反転攻勢が可能な状態と言えます。

ワクチン接種が広く行き渡り、コロナ禍が一応の収束を見た後、再び売上高1000億円を回復して成長の道筋に戻ることができるのか、今後の業績の行方が注目されます。

●参考資料

以下、松屋FHDの発表による。

  • 令和3年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)( https://www.matsuyafoods-holdings.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2021/05/210510_consoli_summary.pdf )
  • 平成31年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)( https://www.matsuyafoods-holdings.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2019/05/190508_consoli_summary.pdf )

関連記事(外部サイト)