【確定拠出年金】年末調整や確定申告し忘れた!具体的な対処法を解説


個人型確定拠出年金ことiDeCo(イデコ)は、毎年所得控除の手続きをする必要があります。一方、企業型確定拠出年金は企業側が掛金額を把握しているので、年末調整の手続きは不要です。

主に確定申告の義務がない人は年末調整、それ以外の方は確定申告が必要になります。転職のタイミングなどによっては会社員でも確定申告の手続きが必要です。

しかしこれらの手続きを忘れてしまった場合、所得控除を受けるにはどうしたらよいのでしょうか。本記事で詳しく解説します。

■年末調整でiDeCoの申告を忘れた時は

年末調整までに小規模企業共済等掛金払込証明書が届かなかったり、年末調整資料への記入を忘れたりした場合は、翌年の確定申告や還付手続きで控除を受けられます。

小規模企業共済等掛金払込証明書を紛失した場合は、金融機関に問い合わせることで再発行できます。もし年末調整前に引っ越しをしていると、住所変更漏れで届かない可能性もあるのでチェックしておきましょう。

通常スケジュールだと毎年10月下旬に小規模企業共済等掛金払込証明書が送付されますが、発送は順次なので手元に届くまでに時間がかかるケースもあります。

■個人事業主などは確定申告漏れに要注意

個人事業主やフリーランスは年末調整がないため、確定拠出年金の掛金は確定申告で控除を受ける必要があります。もし掛金の申告を忘れると、その年の所得控除が受けられないため要注意です。

申告漏れによるペナルティはありませんが、所得税を必要以上に納めることになります。確定申告を忘れた時は還付手続きをしましょう。

還付申告の期間は確定拠出年金の掛金を支払った翌年の1月1日から5年間となり、使用する書類は確定申告と同じです。書類の書き方は次の項目で解説します。

■iDeCoの掛金を確定申告書に記入する方法

確定拠出年金の申告に使用する書類ですが、会社員の場合は「確定申告書A」( https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/01/shinkokusho/pdf/r02/01.pdf )、個人事業主の場合は「確定申告書B」( https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/01/shinkokusho/pdf/r02/02.pdf )が必要です。

AとBは様式がほとんど同じなので、今回はAを使って説明します。

まずは「確定申告書A」の第一表にある「小規模企業共済等掛金控除I」の欄に、証明書に記載された年間の払込金額合計を記入します。

確定申告書Bでは「小規模企業共済等掛金控除M」の部分です。

出所:国税庁「確定申告書A」「確定申告書B」をもとに編集部作成

第二表では「I小規模企業共済等掛金控除」の欄に記入します。

「保険料等の種類」には「個人型確定拠出年金」と記入し、「支払保険料等の計」には小規模企業共済等掛金払込証明書に記載された年間の掛金合計額を記入します。

他に控除する金額がなければ、同じ金額を「合計」に記載すれば完了です。

確定申告書Bでは「M小規模企業共済等掛金控除」の部分です。

出所:国税庁「確定申告書A」「確定申告書B」をもとに編集部作成

確定申告は毎年2月16日〜3月15日の期間に実施されています。忘れずに手続きをしましょう。

なかには他にも申告する内容が多く、うっかりiDeCoの記入を忘れることがあるかもしれません。その時は税務署に修正依頼を出します。

確定申告の期限内であれば「訂正申告」、期限外かつ税金を納めすぎていたときは「更正の請求」をすることで還付が受けられます。

■訂正申告・更正の請求のやり方と注意点

訂正申告の手続きは確定申告とほぼ同じです。訂正した確定申告書・本人確認書類・新たに必要となった書類の3点を税務署に提出するだけで手続きは完了です。

訂正申告の際は以下の3点に注意して下さい。

  1. 当初申告した添付書類(領収書など)のコピーが必要
  2. 表題の余白に赤字で「訂正申告」と明記する
  3. 提出した確定申告書が還付申告にあたるもので、税務署も還付の手続きを済ませていた場合は訂正申告ではなく「更正の請求」が必要になる

更正の請求には4つの条件があります。

  1. 確定申告の期限外の修正である
  2. 税金を多く申告している
  3. 還付される税金を少なく申告した
  4. 法定申告期限の5年以内であること

これらの条件に当てはまったら、「所得税及び復興特別所得税の更正の請求書」を作成します。記入が終わったら修正の事実を証明する書類と本人確認書類を添付して税務署に提出します。

更正の請求は全ての申請が認められる訳ではありません。もし更正の請求内容が認められない場合はその理由が通達されます。

■【いくら戻る?】iDeCoの節税シミュレーション

iDeCoの掛金を年末調整や確定申告で所得控除すると、節税効果はどの程度になるのでしょうか。年収500万円の30歳会社員と個人事業主を例にシミュレーションしてみましょう。

■【年収500万円 30歳会社員】

条件:掛金1万円/月 受取開始60歳

? iDeCoなし年額 iDeCoあり年額 差額
所得税 13万8550円 12万6550円 1万2000円
住民税 24万1050円 22万9050円 1万2000円
合計 37万9600円 35万5600円 2万4000円

?毎月1万円の掛金だと年間2万4000円、受取開始60歳まで積み立てると合計で72万円の節税効果が得られます。

個人事業主などの第1号被保険者は掛金上限額が大きく、より大きな節税効果が期待できます。今回は掛金6万円でシミュレーションしてみましょう。

■【年収500万円 30歳個人事業主】

条件:掛金6万円/月 受取開始60歳

? iDeCoなし年額 iDeCoあり年額 差額
所得税 13万8550円 8万2025円 5万6525円
住民税 24万1050円 16万9050円 7万2000円
合計 37万9600円 25万1075円 12万8525円

掛金に応じて節税効果も高くなっているのが分かります。受取開始60歳まで積み立てると合計で385万5750円も節税できる計算です。

今回使用したツールはiDeCo公式サイトの「かんたん税制優遇シミュレーション」です。またシミュレーション結果はあくまで概算であり、実際は扶養家族の人数・各種控除によって結果が変わる点にご注意下さい。

■確定拠出年金の申告漏れに要注意

年末調整や確定申告の不備、小規模企業共済等掛金払込証明書の紛失は多くの手間につながります。申告時期が近づいた時は、一度の申告で済ませられるよう準備しておきましょう。

■参考資料

  • 国税庁「確定申告書A」( https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/01/shinkokusho/pdf/r02/01.pdf )
  • 国税庁「確定申告書B」( https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/01/shinkokusho/pdf/r02/02.pdf )
  • 国税庁「No.2030?還付申告」( https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2030.htm )
  • 国税庁「【申告が間違っていた場合】」( https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/qa/07.htm )
  • iDeCo「かんたん税制優遇シミュレーション」( https://www.ideco-koushiki.jp/simulation/ )

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