双子育児にかかる「まさか」のお金。経験者に聞いてわかった意外な3つの出費とは

− あなどれない「教育費」「管理入院費」「一時預かり費用」 −


街で双子ベビーカーとすれ違うと、思わず見てしまう方もいるでしょう。

「大変そう」「お金がかかりそう」というイメージのある双子育児ですが、経験者に話を聞くと意外な出費が続々と出てきました。

「双子」と一括りにしなくても、家庭環境や居住地で個々に異なるのが育児費用。しかし「もし双子じゃなかったらかからなかったのに…」という出費はいろいろあるみたいです。

早速見ていきましょう。

■双子は出産前から痛い出費が

都内に住むAさんは、初めての妊娠が双子でした。晩婚だったので友達に先輩ママが多かったものの、次第に「教えてもらう話と違う!」と気づくように。

例えば「妊娠5ヵ月を過ぎればつわりも楽になるし、安定期になれば旅行もできるよ」と言われていたのに、一向に安定期が来ません。

双子妊娠はリスクが高いので、そもそも「安定期」という概念がないのです。しかも何も問題がなくても、出産予定日の1〜2ヵ月前から「管理入院」をさせる病院が多いもの。

Aさんも出産2ヵ月前から管理入院になったため、医療費がかなりかかりました。

妊娠自体は経過も良く恵まれていましたが、「もし双子じゃなければ管理入院の必要はなかったのに」と思ってしまったそうです。

ちなみに医療費には公的医療保険のおかげで上限があります。Aさんの場合は「8万100円+(総医療費−26万7000円)×1%」で計算された金額が上限になるものの、保険適用外の雑費や食事代などがもろもろかかりました。

出所:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」

結局2ヵ月超の入院で、出産費用以外に約20万円の医療費がかかったそうです。

■新生児期〜乳児期にかかるミルク費がとてつもない金額に

退院してすぐは、赤ちゃんのお世話に翻弄される日々が続きます。文字通り24時間体制の育児に、多胎児だけでなくすべての親は奮闘しますよね。

地方都市で双子を産んだBさんは、退院した日から激動の毎日でほとんど記憶がないそうです。

「3時間ごと」と聞いていた授乳ですが、2人ともよく飲む子どもで1時間半ごとに授乳するリズムになりました。

でもまだ飲む力が弱く、一人の授乳に30分〜50分かかります。1人の子どもに授乳をすると、また次の子の授乳が…。

母乳で育てられるもののとても追いつかず、ミルクにお世話になることにしました。しかし今度は消毒が追いつかず、多めに哺乳瓶を用意してなんとか回す日々になりました。

この時期にかかったミルク代や哺乳瓶代はとてつもない金額になったそうです。

■双子あるある「一時預かり費用が莫大に」

同じくBさんは、病院を受診するときにも痛い出費を経験しました。

最寄りの小児科は土足厳禁です。しかし首や腰のすわらない赤ちゃんを2人連れて行こうとすると、ベビーカーが必須となります。

頼る人がいないBさんは双子を連れて病院に行くことができなかったため、どうしても受診する必要があるときは地域の一時預かり施設に1人を預け、1人を連れて受診していたそうです。

利用料がかかるので痛い出費ですが、「当時はそれ以外の方法がなかった」と教えてくれました。

しかし2人とも熱があるときには一時預かりも利用できないので、1歳前後くらいからは抱っこ&おんぶで受診していたそうです。

またCさんは地方都市で双子育児をしていますが、都内と違い子育てサービスがまだまだ充実しているとは言いにくい地域でした。ベビーカーで入れる施設も限られ、駅にエレベーターはありません。

早産として産んだ双子は、1ヵ月ごとにフォローアップ検診が必須でした。しかし自宅からは離れた大きい病院で出産したため、車の免許がないCさんは電車で通わないといけなかったのです。

最寄りの駅にエレベーターはありません。赤ちゃん一人なら抱っこ紐で階段を登れますが、首のすわらない2人を抱っこするわけにもいかず、電車に乗れなかったのです。

そこで地域の一時預かり施設を利用し、1人が受診している間に1人を預かってもらい、また電車で帰ってきて交代し、もう1人を連れて受診へ…という体制を取りました。

一人当たり1000円以上の利用料が取られますが、仕方のない出費だったそうです。

■「双子は何でも2倍」は本当?

双子育児はよくお金がかかると言われますが、それは「なんでも2つ必要だから」というイメージが大きいからかもしれません。

確かに単純に2倍の量が必要なので、お下がりができない分痛い出費になります。

おむつや服などに加え、チャイルドシートやベビーベッドなどの大物も必要なので、目に見えて預金残高が減る時期もあるようです。

ただし双子でも服やおもちゃなどは共有できますし、年子で同じ状況の方もいるので、「双子だからこそ」とは言い切れないかもしれませんね。

■最大の関門は教育費!特に大学費用に注意

双子を育てる上で、同時にのしかかる「教育費」は覚悟する必要がありそうです。

ランドセルも2つ、制服も2つ。その他細々とした勉強道具も一度に2つ購入するので、痛い出費に感じることが多いです。

そして最大の関門は大学費用と言えるでしょう。

たとえば子どもが2人とも私立文系の大学に入学するとします。日本政策金融公庫「2021年度 教育費負担の実態調査結果」によると、私立大学文系の入学費用は81.8万円。そして1年間の在学費用は152万円です。

1年間で233.8万円、2人分を合わせると467.6万円にものぼります。

手取り年収を上回る世帯もあるでしょう。子どもの人数だけ同じ教育費がかかるとは言え、同時期にこれだけの出費となることを考えると、計画的に教育費を準備する必要性が高まります。

■「双子だから」かかるお金のまとめ

妊娠中から何かとお金のかかる双子の育児費用。「なんでも2倍」と言われる王道の費用から、意外にかさばる費用まで見ていきました。

個々の状態によっても左右されるため、必ずかかる費用ではありません。しかし意外な出費がかさばると、今後の育児費用に不安を抱えてしまいますよね。

お金面での最大の困難は、「同時に支出する」ことにあるのかもしれません。

きょうだい児と双子ではトータルの教育費が同じ金額でも、「お金がかかる時期」が重なることにより、資産がマイナスに転じる年もありうるということです。

こうした時期を見据えるためには、「キャッシュフロー表」の作成が役に立ちます。入学年度や受験年度に加え、「車の買い替え年」「昇給年」「妻の時短勤務が終了する年」などをできるだけ細かく年表にすることで、長い目で見た収支状況をつかむのです。

もちろん人生は「まさか」の連続なので、その通りにいかないことも多いでしょう。しかし一度キャッシュフロー表を作ってしまえば、その都度修正することができます。

大学の入学年度に慌てることがないよう、「貯蓄ができる年」「貯蓄ができない年」を事前に把握し、いつまでにいくら貯めるのかしっかり計画しておきましょう。

また双子の場合、出産育児一時金は2倍もらえます。差額を忘れずに請求することで、今後の支出にも備えておきたいですね。

■参考資料

  • 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」( https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html )
  • 日本政策金融公庫「2021年度 教育費負担の実態調査結果」( https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kyouikuhi_chousa_k_r03.pdf )

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