Google Scholar・CiNiiでカノコスズメの論文を調べてわかったこと


2022年も6月に入り、夏のレポートの季節が迫ってきています。

レポートを書くときには論文を上手に探してくる必要があるのですが、論文検索サイトの特徴は実際に使ってみないとわからないものです。

今回は例として「カノコスズメ(Owl Finch)」を検索キーワードとして、Google Scholar・CiNiiそれぞれの論文検索サイトの特徴を比較してみます。

■1. Google ScholarとCiNiiでの、「カノコスズメ」「Owl Finch」での検索結果の違い

haseg77/shutterstock.com

■1.1 カノコスズメ

  • Google Scholar:0件
  • CiNii:0件

Google検索:約 42万800 件

■1.2 Owl Finch

  • Google Scholar:約 863 件
  • CiNii:0件

Google検索:約 604万 件

2022年6月7日現在、カノコスズメの英訳である「Owl Finch」の方がヒット件数も多くなっています。

■2. Google Scholarで英語の論文の方が多くヒットする理由は

Pete Evans/shutterstock.com

スペインのポンペウ・ファブラ大学の研究チームが2021年1月に公表した” Language Bias in the Google Scholar Ranking Algorithm(Google Scholarのランキングアルゴリズムにおける言語的バイアス)”という論文でも指摘されている傾向です。

この論文では、論文も認知・引用の機会を増やすためにASEO(アカデミックな検索エンジン最適化)を実現するためにGoogle Scolarの検索アルゴリズムをリバースエンジニアリング(ある製品の挙動を見ることで、仕様・ロジックを調査すること)した結果の一つを示しています。

ただ、この傾向はGoogle Scholarを使って調べているかどうかに限らず、学術論文ではよく見られる傾向です。日本語で書かれた論文や書籍は英語で書かれたものに比べると、調査範囲も分量も限られています。

そのため、Google Scholarなどの論文検索サイトを使う時は、日本語のキーワードだけではなく、英語のキーワードも併せて検索すると、より深く調べることができます。

■3. 「大学のプレスリリース」も調査の役に立つ

Sherjaca/shutterstock.com

論文検索サイトを使うほかに、Google検索で少し工夫する方法もあります。例えば、各大学のプレスリリースに着目して検索するという方法です。

カノコスズメで同様のことを行うと、” Transcriptional regulatory divergence underpinning species-specific learned vocalization in songbirds(鳴禽類ソングバードにおける種特異的な歌に関わる遺伝子発現制御の相違)”という論文が公開された、という北海道大学の2019年のプレスリリースがヒットしました。

これは、近縁種であるカノコスズメとキンカチョウからハイブリッド個体を作り、その個体を対象にして「歌を歌うための遺伝子」の特定に成功したという内容の論文です。

この論文タイトルには”owl finch”という語が含まれないので、owl finchでは検索できません。ただ、プレスリリースには論文の説明のために「カノコスズメ」というキーワードが含まれているので、検索で見つけることができるのです。

このように、レポートに使う論文を見つけるためには、「論文に関連するページを検索する」というアプローチも有効です。

なお、上記のプレスリリース内には、カノコスズメとキンカチョウの間にその「ハイブリッド個体」が並んでいる参考図があり、その写真が何とも言えない可愛らしさにあふれているので、フィンチ類を飼っている筆者としてはお気に入りの写真の一つです。

■4. Google Scholarは「論文をまず検索する」のには役に立つ

結論として、Google Scholarは「論文をまず検索する」のには役に立ちますが、使いこなすには癖を把握しておく必要があります。また、論文を使ってレポートを書く場合は、そのレポートで活用できるかどうかを判断するために「論文を読む」ことをしないといけないため、検索すれば終わりではありません。

経験上、レポートや卒業論文で活用できる論文は、検索結果で「良さそう」と思って残したものの中から半分くらい残れば良い方でした。今回の「カノコスズメ」のように比較的珍しいキーワードの場合、日本語論文だけでは情報が足りないので、英語論文も読んでいく必要があります。

このように考えると、レポート執筆・調査の手間を大幅に効率化するのは難しいと言えるかもしれません。

■参考資料

  • Google Scholar「カノコスズメ」( https://scholar.google.co.jp/scholar?hl=ja&as_sdt=0%2C5&as_rr=1&q=%E3%82%AB%E3%83%8E%E3%82%B3%E3%82%B9%E3%82%BA%E3%83%A1&btnG= )
  • CiNii「カノコスズメ」( https://cir.nii.ac.jp/all?q=%E3%82%AB%E3%83%8E%E3%82%B3%E3%82%B9%E3%82%BA%E3%83%A1&count=20&sortorder=0 )
  • Google検索「カノコスズメ」( https://www.google.com/search?q=%E3%82%AB%E3%83%8E%E3%82%B3%E3%82%B9%E3%82%BA%E3%83%A1&rlz=1C1KDEC_jaJP928JP928&sxsrf=ALiCzsa_iXFpE6cLQRVFg7RwZbgUxCBkSg:1654609621077&source=lnms&sa=X&ved=2ahUKEwiR69KVvZv4AhUXc3AKHQ2lD_YQ_AUoAHoECAEQAg&biw=1520&bih=864&dpr=1 )
  • Google Scholar「owl finch」( https://scholar.google.co.jp/scholar?hl=ja&as_sdt=0%2C5&as_rr=1&q=owl+finch&btnG= )
  • CiNii「owl finch」( https://cir.nii.ac.jp/all?q=owl+finch&count=20&sortorder=0 )
  • Google検索「owl finch」( https://www.google.com/search?q=Owl+finch&rlz=1C1KDEC_jaJP928JP928&biw=1520&bih=864&sxsrf=ALiCzsZ7o-VBvPlbNbquncX4VlAZgzXxrA%3A1654610556724&ei=fFqfYubgK4GC2roPs-Ot0A0&ved=0ahUKEwjmjubTwJv4AhUBgVYBHbNxC9oQ4dUDCA4&uact=5&oq=Owl+finch&gs_lcp=Cgdnd3Mtd2l6EAMyBggAEB4QBzIGCAAQHhAHMgUIABCABDIECAAQHjIECAAQHjIECAAQHjIECAAQHjIECAAQHjoHCAAQRxCwA0oECEEYAEoECEYYAFDcCljcCmDODmgBcAF4AIABWYgBWZIBATGYAQCgAQHIAQrAAQE&sclient=gws-wiz )
  • MDPI” Language Bias in the Google Scholar Ranking Algorithm”( https://www.mdpi.com/1999-5903/13/2/31 )
  • 北海道大学「小鳥の種によって歌が異なる原因に関わる遺伝子群を同定 ~どのようにして小鳥は種によって違った歌を歌うようになったのか?~」( https://www.hokudai.ac.jp/news/191114_pr.pdf )

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