【住民税非課税】条件や優遇措置の内容とは。世帯分離にはデメリットがあった


一定の所得を下回る方は住民税が非課税となり、さまざまな救済措置を受けられます。

今回は住民税が非課税になる条件や優遇措置の内容と、非課税を狙った世帯分離をするデメリットについてご紹介します。

■個人住民税が非課税になる条件

次のいずれかに該当する方は、住民税の「所得割」「均等割」ともに非課税となります。ただし、自治体によって内容は異なります。

  • 生活保護法による生活扶助を受けている方
  • 障害者・未成年者・寡婦又はひとり親で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4千円未満)の方
  • 前年中の合計所得金額が区市町村の条例で定める額以下の方(下記参照)

■〈東京23区内の場合〉

同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合

  • 35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下

同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合

  • 45万円以下

※東京都主税局「6 個人住民税の非課税」より引用

■住民税非課税世帯の優遇措置とは

住民税非課税世帯とは、世帯全員の住民税が非課税である世帯を指します。

こうした世帯の方は、低所得者を救済するさまざまな制度を受けられます。

  • 国民健康保険料の減免
  • 予防接種・検診費用が無料
  • 介護保険料の軽減
  • 高額療養費の軽減
  • 2歳未満の保育無償化
  • 高等学校等奨学給付金の支給
  • 大学の入学金・授業料の減免、給付型奨学金の支給
  • NHK受信料の免除

詳しい内容は次の項目から解説します。

■国民健康保険料が軽減

世帯の国保加入者数および加入者の所得により、均等割額と平等割額の合計額が7割・5割・2割に軽減されます。

これは国保税額の計算時に、基準に該当する世帯へ自動的に適用されます。

ただし世帯の中に所得未申告の方がいる場合は、所得申告が別途必要です。

■介護保険料の軽減

40歳以上のすべての人が加入する介護保険は、住民税の課税状況によって保険料率が段階的に変化します。

出雲市を例に上げると、次の条件に該当する方の保険料年額は2万2536円(保険料率 基準額×0.3)です。(2021年度)

  • 生活保護を受けている人
  • 世帯全員が住民税非課税で、老齢福祉年金(注1)を受けている人
  • 世帯全員が住民税非課税で、本人の前年の課税年金収入額とその他の合計所得金額(注2)の合計が80万円以下の人

注1「老齢福祉年金」とは、大正5年4月1日以前に生まれた人で、他の年金を受給できないなど一定の要件を満たす人に支給される年金です。

注2「その他の合計所得金額」とは、「合計所得金額」から年金収入にかかる所得を差し引いた金額のことです。

※出雲市「介護保険料について」より引用

保険料率はお住まいの地域によって異なります。詳しくは市区町村HPをご覧ください。

■高額療養費の上限が低くなる

医療機関や薬局の窓口で支払った額がひと月で上限を超えた場合、その差額を支給する制度が高額療養費制度です。

この上限額は年齢や所得で異なります。

※厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」を参考に筆者作成

さらに69歳以下の住民税非課税者が、過去12ヵ月以内に3回以上ひと月の上限額を超えた場合、4回目から「多数回該当」となり上限額が2万4600円に下がります。

■2歳未満の保育無償化

2019年10月より、住民税非課税世帯の0歳〜2歳児までの子どもが幼稚園・保育所・認定こども園などに通う際の利用料が無料になっています。(地域型保育も対象)

また、認可外保育施設・一時預かり事業・病児保育事業・ファミリーサポートセンター事業を利用する場合、月額4万2000円までの利用料が無償化されます。

■大学の入学金・授業料の減免、給付型奨学金の支給

2020年4月より、住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯の学生は、入学金と授業料の減免、および返済不要の給付型奨学金の支給を受けられます。

※文部科学省「高等教育の修学支援新制度」を参考に筆者作成

実際にどの程度の支援が受けられるかは各家庭で異なります。

給付奨学金を受けられる年収の目安を知りたい方は、日本学生支援機構の「進学資金シミュレーター」等をご活用ください。

■NHK受信料の免除

住民税非課税世帯で、かつ次の条件に当てはまる方は、NHK受信料の全額が免除される可能性があります。

  • 市町村民税非課税の身体障害者
  • 市町村民税非課税の知的障害者
  • 市町村民税非課税の精神障害者
  • 奨学金受給対象等の別住居の学生

※NHK「放送受信料の免除について」より引用

詳細な適用条件はNHK「放送受信料の免除について」をご覧ください。

■「世帯分離」を行う際の注意点

人為的に住民税非課税世帯を作る手段として、世帯分離を選択する方もいます。

世帯分離とは1つの世帯を2つ以上に分け、住民税が課される家族を外す手続きです。

しかし、むやみに世帯分離をすると、国民健康保険料の増加・扶養控除や配偶者控除要件に満たなくなるなどのデメリットがあります。

仮に住民税非課税世帯になっても、他の税額が増加してしまう危険があると覚えておきましょう。

■「住民税非課税世帯 = お得」ではない

今回お伝えした優遇措置は、本来やむを得ない事情を抱える方を支援するための支援策です。

しかし、「優遇」の言葉が独り歩きし、巷では「ズルい」「お得」といった認識が広まっているのも事実。

こうした認識の齟齬を埋めるのも、今後の大きな課題なのかもしれません。

■参考資料

  • 能美市「国民健康保険 税の7割・5割・2割軽減」( https://www.city.nomi.ishikawa.jp/www/contents/1001000000755/index.html )
  • 出雲市「介護保険料について」( https://www.city.izumo.shimane.jp/www/contents/1143511683412/index_k.html )
  • 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」( https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf )
  • 内閣府「幼児教育・保育の無償化」( https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/musyouka/index.html )
  • 文部科学省「高等教育の修学支援新制度」( https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/hutankeigen/index.htm )
  • 日本学生支援機構「進学資金シミュレーター」( https://www.jasso.go.jp/shogakukin/oyakudachi/document/shogakukin-simulator.html )
  • NHK「放送受信料の免除について」( https://www.nhk-cs.jp/jushinryo/exemption_list.html )
  • 横浜市「世帯変更届(世帯主の変更、世帯の分離、合併等)」( https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/todokede/koseki-juminhyo/touroku/setai-bunri.html )

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