不動産投資は不労所得ではない?!「家賃回収や確定申告」オーナーがすべき10のこと

− 不動産投資を不労所得に近づけるには −


不動産投資は「不労所得」の1つといわれることもありますが、実際のところ、オーナーがすべきことは少なくありません。

不動産投資に限ったことではありませんが、投資の利益は売却益である「キャピタルゲイン」と運用益である「インカムゲイン」に大別されます。

不動産投資におけるインカムゲインは、賃貸収入。賃貸業務とは、第三者に不動産を貸し出す「経営」ですので「労力」が伴うのです。

■1. 不動産投資でオーナーがすべきこと

収益物件を取得さえすれば、不動産投資ができるわけではありません。物件取得後のオーナーの業務は次の通りです。

■1.1 不動産投資ですべきこと1.入居者募集

不動産投資における収入源の1つは「家賃」です。

家賃を得るには、入居者に賃貸してもらわなければなりません。ただ待っているだけでは入居者は入りませんので「募集」する必要があります。

■1.2 不動産投資ですべきこと2.契約

入居してもらえる人が決まったら、続いて賃貸借契約を締結します。契約自体は数時間もあれば終わりますが、契約書の作成等の準備が必要です。

入居者募集や契約の仲介は不動産会社に任せることもできますが、広告料や仲介手数料がかかる場合があります。

■1.3 不動産投資ですべきこと3.家賃回収

さて、ここからは入居者が入ってからの業務です。ただ住まわせるわけではありませんので、月に1回、家賃回収業務があります。

家賃を口座振り込みや引き落としにすれば、継続的にかかる労力は大きくありません。しかし、入居者が変わる度に手続きが必要です。

■1.4 不動産投資ですべきこと4.トラブル対応

  • 家賃滞納
  • 入居者の隣人トラブル
  • 鍵の紛失

賃貸経営をするにあたって、このようなトラブルが起きないとも限りません。ときには、支払いの督促をしたり、トラブルの対応業務が生じたりすることもあります。

■1.5 不動産投資ですべきこと5.設備のメンテナンス・修繕

住まいには、様々な設備が備わっています。キッチンやお風呂などの水回り、空調、給排水管などは定期的な点検やメンテナンスが必要です。

そして、メンテナンスをしっかり行っていても設備が突然、故障することもあります。居住者にとって、すべての設備はオーナーから借りているものです。基本的に、居住者自らが直してくれることはありません。

故障した設備によっては、入居者のために即日、修繕等の対応をする必要があります。

■1.6 不動産投資ですべきこと6.更新手続き

定期借家契約ではない賃貸借契約の場合は、2年おきに更新手続きが必要になることが一般的です。

入居者への事前告知、更新料の請求、更新契約書の作成と取り交わし等の業務が発生します。

■1.7 不動産投資ですべきこと7.退去手続き

賃貸住宅は、入居と退去の繰り返しです。契約内容にもよりますが、入居者から退去したい旨の連絡が入ったら、退去日に合わせた家賃の日割り清算等の準備をします。

退去後は、お部屋の状況によってクリーニング費の請求や敷金の返却などをします。

■1.8 不動産投資ですべきこと8.原状回復

入居者が退去した後、次の入居者を迎えるにあたって室内の原状回復をします。

状況次第ではありますが、ハウスクリーニングをかけたり壁紙や設備の交換をしたりする必要も。そのための業者の手配や清算も業務に含まれます。

■1.9 不動産投資ですべきこと9.共用部があれば清掃

アパートやマンション1棟など共用部分がある物件であれば、清掃業務もオーナーの仕事です。

エントランスや廊下、階段などの清掃状況は物件の入居率にも関わりますので、常に綺麗な状態を維持しておかなければなりません。

■1.10 不動産投資ですべきこと10.確定申告

不動産投資は経営であり事業ですので、収入や支出を税務署に申告します。

確定申告のための帳簿付けや仕分け、計算等は、オーナーの業務のなかでも特に煩雑です。

■2. 不動産投資を「不労所得」に近づけるには?

出典:国土交通省「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律について」

ここまでお伝えした業務は、必ずしも全てオーナー自身がこなさなければならないわけではありません。

オーナー自身が賃貸住宅の管理をすることを「自主管理」といいます。それに対し、管理業務を管理会社に「委託」することも可能です。

管理業務を管理会社に委託するオーナーの割合は平成4年度「25.0%」でしたが、令和元年度には「81.5%」にまで増加しています。

■3. 不動産投資を不労所得に!なぜ管理委託が増えているのか

出典:国土交通省「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律について」

賃貸住宅の管理委託が増えている背景には、賃貸住宅市場の変化があります。賃貸住宅は近年、大幅に増えており、それに伴ってオーナーの属性や状況にも変化が見られます。

令和元年時点で、会社員・公務員と兼業するオーナーは4割以上で、全体の約半数が賃貸経営の経験が10年未満です。さらに、オーナーの年齢層で最も多いのは60歳以上。つまり、自主管理が難しいオーナーが増えているということです。

■4. 不動産投資を不労所得に近づけるには費用がかかる

管理業務を委託する範囲が広ければ広いほど、不動産投資は「不労所得」に近づきます。しかし、管理を委託するには費用がかかります。

賃貸管理費は、家賃の5%前後が一般的です。基本的には委託する範囲が広いほど管理費は増えますが、そうともいえない部分があります。

同じ管理費であったとしても、管理会社によって管理の範囲も質も異なりますので、費用だけで管理会社を決めないことが大切です。

個人的には、投資歴が長かったり不動産関連業に従事していたりしない場合を除き、自主管理はおすすめしません。しかし、なんでもかんでも委託すればいいというわけではなく、手残りや委託できる範囲、管理の質などを相対的に判断して管理会社を決めるようにしましょう。

■5. 一括借り上げによるサブリースという方法も

出典:消費者庁「賃貸住宅経営(サブリース方式)に関する契約を締結する前に」

賃貸管理会社はオーナーの代理人ではないため、管理業務を委託するにも限界があります。委託するとしても「経営」にはどうしても関わらなければなりません。

一方で、サブリース業者がオーナーから賃貸物件を一括借り上げし、入居者に転貸する「サブリース」であれば、不労所得に近い形で不動産投資できると考えられます。建物一棟を一括して借り上げてもらえますので、入居状況にかかわらず一定の収入を得ることもできます。

しかし、サブリース契約に伴うトラブルは少なくないというのが事実。具体的なトラブル事例は「保証される収入が年々下がっていく」「解約できない・一方的に解約された」「強い勧誘を受けた」などです。

サブリース契約は、手数料も賃料の10〜20%と管理費と比較して高いため「不労所得」になったとしても収益を出すのが難しくなります。また「今」だけでなく「将来」を見据えて業者や契約内容を見極めなければなりませんので、管理業務を一任できるとはいえ一概に初心者向けとはいえません。

■6. 「不労所得」でも本末転倒な事態にならないように

不動産投資には経営が伴うため、基本的には「不労」とはいきません。

とはいえ、管理委託や一括借り上げ・サブリースによって「不労所得」に近づけることは可能ではあります。しかし、投資の目的は「不労」以上に「所得」にあるはず。不労所得に近い形で不動産投資をする場合においても、所得がでなければ本末転倒です。

判断が迫られる局面ではしっかりオーナーが舵を取り、委託範囲を含めて経営者として適切な判断をしてこそ不動産投資は成功します。

■参考資料

  • 国土交通省「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律について」( https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001358229.pdf )
  • 金融庁「賃貸住宅経営に関する契約を締結する前に」( https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/caution_011/assets/consumer_policy_cms102_201127_02.pdf )

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