住民税非課税になる年収はいくらか?「103万円・106万円・130万円」3つの壁で計算

− 住民税の計算方法をシミュレーションで学ぶ −


家計から出る税金や社会保険料は、なるべく少なくしたいもの。所得税や扶養の範囲を考えて、パートの時間を調節している人も多いのではないでしょうか。

所得税や社会保険料と比べて見落としやすいのが、住民税です。住民税について詳しく知っておけば、税金を抑えられる場合がありますし、突然の支払いに驚くこともなくなります。

今回は、住民税について知っておきたい情報をまとめます。パートで良く言われる収入の壁で、住民税のシミュレーションもしますので、参考にしてください。

■1. 住民税と所得税では計算が違う? その理由は所得控除

所得税は0円だったのに、住民税がかかってしまうというケースがあります。実は、住民税と所得税は同じではありません。住民税がかかる場合も考えられます。

せっかく税金を意識してパートを調節したのに、住民税がかかってしまうのは悔しいですよね。同じ収入なのに、住民税と所得税が違うのはなぜでしょうか。

住民税と所得税の計算では、最初に、サラリーマンの経費にあたる「給与所得控除」を収入から差し引いて、「所得金額」を計算します。その後、実際に税金かかけられる「課税所得」を計算するために、所得金額から「所得控除」を差し引きます。

住民税と所得税が違うのは、この所得控除に違いがあるためです。東京都練馬区の「住民税と所得税の違い」で、所得控除に違いがある項目と金額を発表していますので、見てみましょう。

出典:東京都練馬区「住民税と所得税の違い」( https://www.city.nerima.tokyo.jp/kurashi/zei/jyuminzei/jumin_shotoku.html )

所得控除には、ほかにも雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除があり、それらは住民税と所得税で金額は同じです。

しかし、表からわかるように、多くの項目で、所得税のほうが住民税より高くなっています。所得から差し引く控除の金額が高くなるほど、納税額は安くなりますので、住民税だけがかかるという状況も起こり得るのですね。

■2. 住民税非課税になる収入ラインは100万円

住民税と所得税では、前述したように金額が変わってきます。住民税も0円にしたい場合は、その収入ラインも意識しなければなりません。

住民税では、最初に収入から給与所得控除を差し引き、所得金額を出す必要があると説明しました。この所得金額が「45万円以下」であれば、住民税は非課税と決められています。つまり、給与所得控除を差し引いたときの所得金額が45万円以下になる収入であれば、住民税は0円です。

そこで重要なのが、給与所得控除の金額です。給与所得控除は収入によって変わりますが、収入が162万5000円以下の場合だと、55万円となっています。

出典:国税庁「給与所得控除」( https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm )

給与所得控除の55万円を差し引いたときに、所得金額が非課税の45万円以下になる収入は、「100万円」です。わかりやすく、式で見てみましょう。

100万円(収入)−55万円(給与所得控除)=45万円

このように、収入が100万円であれば、住民税は非課税となり、0円で済むのです。

■3. 住民税の計算方法は? 3つの壁でシミュレーションしてみよう

収入が100万円なら、住民税は0円になることがわかりました。しかし、住民税を気にして100万円以下で働くとしても、超えてしまう場合があるでしょうし、はじめから100万円以上を考えて働く人もいるでしょう。

0円にならない場合に、住民税がいくらになるか、知りたいところですよね。

住民税の計算方法と、実際にシミュレーションした住民税の金額を紹介します。

■3.1 住民税の計算方法

住民税は、所得に応じて課税される「所得割」と、定額で課税される「均等割」の合計で求めます。

■3.2 住民税の計算方法【所得割】

収入から給与所得控除と所得控除を差し引いた課税所得に、「税率10%」をかけます。10%というのは、市町村民税6%、道府県民税4%の合計です。最後に調整控除を差し引けば、所得割がでます。

収入−給与所得控除−所得控除=課税所得
課税所得×税率10%−調整控除=所得割

■3.3 住民税の計算方法【均等割】

定額で課税される均等割は、地域によって多少違いがあります。多くの自治体では、市町村民税1500円と、道府県民税3500円を合わせた5000円です。

■4. 住民税を計算! 103万円、106万円、130万円の壁ではどうなるか

パートでは、103万円の壁など、「壁」が注目されています。今回は、以下の3つの壁で、住民税を計算してみます。

  • 103万円(所得税が必要な収入)
  • 106万円(条件を満たすと、社会保険加入義務が発生する収入)
  • 130万円(すべての人に社会保険加入義務が発生する収入)

なお、所得控除は基礎控除のみ、調整控除は2500円で計算します。

こちらはあくまでシミュレーションとなり、具体的にはおすまいの市区町村のサイト等で調べることをお勧めします。

■4.1 住民税のシミュレーション1:103万円

1. 課税所得を計算する

103万円−55万円(給与所得控除)−43万円(基礎控除)=5万円(課税所得)

2. 課税所得の5万円に税率をかけ、調整控除を差し引く

5万円×10%(税率)−2500円(調整控除)=2500円(所得割)

3. 均等割の5000円を足す

2500円+5000円(均等割)=7500円(住民税)

■4.2 住民税のシミュレーション2:106万円

1. 課税所得を計算する

106万円−55万円(給与所得控除)―43万円(基礎控除)=8万円(課税所得)

2. 課税所得の8万円に税率をかけ、調整控除を差し引く

8万円×10%(税率)―2500円(調整控除)=5500円

3. 均等割の5000円を足す

5500円+5000円(均等割)=1万500円(住民税)

■4.3 住民税のシミュレーション3:130万円

1. 課税所得を計算する

130万円―55万円(給与所得控除)―43万円(基礎控除)=32万円(課税所得)

2. 課税所得の32万円に税率をかけ、調整控除を差し引く

32万円×10%(税率)―2500円(調整控除)=2万9500円

3. 均等割の5000円を足す

2万9500円+5000円(均等割)=3万4500円(住民税)

■5. 住民税の計算方法を理解する

今回は、住民税について説明しました。パートで働く場合には、所得税や社会保険料だけでなく、住民税の「100万円の壁」も意識するようにしましょう。

また計算方法など、住民税について正しく知って、支払いであわてないことも重要です。

本記事を参考に、一度ご自身の住民税と向き合ってみてください。

■参考資料

  • 国税庁「住民税」( https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/point2017/09.htm )
  • 東京都練馬区「住民税と所得税の違い」( https://www.city.nerima.tokyo.jp/kurashi/zei/jyuminzei/jumin_shotoku.html )
  • 国税庁「給与所得控除」( https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm )

関連記事(外部サイト)