日本人50歳代で貯蓄「2000万円達成」の割合とは。円グラフで高めるマネーリテラシー
2022年07月05日 05時50分LIMO

日経平均株価がレンジ内で上下する中、貯蓄・資産運用の点でもやもやしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
貯蓄は皆さん共通の関心ごとかと思いますが、貯蓄に関する統計データなどを目にしたことのない方もいらっしゃるかと思います。
そこで今回は過去LIMOで配信した「日本人・50歳代の「残酷」な貯蓄事情を円グラフで図解。平均額はいくらか、「1000万円」あれば老後は安心か( https://limo.media/articles/-/30502 )」を引用しながら日本の50代の貯蓄のデータを紹介し、最後におすすめの貯蓄術も解説します。
■1. 日本の50代世帯の貯蓄の「実態」とは
ではまず、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和3年調査結果」をもとに、50代世帯の貯蓄の平均を見ていきましょう。

出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和3年調査結果」をもとにLIMO編集部作成
■1.1 50歳代・二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産を保有しない世帯を含む)の平均値・中央値
50歳代・二人以上世帯の、金融資産を保有しない世帯を含めた金融資産保有額の平均値・中央値は以下のようになります。
- 平均1386万円
- 中央値400万円
これを見て、皆さんは何を感じられるでしょうか。
平均値と中央値、一見すると似たような意味の言葉に感じますが、数字では大きな開きが生じています。
まず、中央値とは、データを数字の大小順に並べた時、ちょうど真ん中に来る数値です。
平均値の方が大きいということは、それだけ上位の富裕層の額が大きく、平均が吊り上げられている状況です。
■1.2 50歳代・二人以上世帯の金融資産保有額分布(金融資産を保有しない世帯を含む)の金額別の各割合
平均値と中央値はわかりました。
では、金額別ではどのような分布となっているのでしょうか。
以下、データです。
- 金融資産非保有:23.2%
- 100万円未満:8.9%
- 100~200万円未満:6.5%
- 200~300万円未満:4.5%
- 300~400万円未満:4.0%
- 400~500万円未満:3.4%
- 500~700万円未満:6.4%
- 700~1000万円未満:6.3%
- 1000~1500万円未満:8.0%
- 1500~2000万円未満:5.7%
- 2000~3000万円未満:6.6%
- 3000万円以上:12.9%
- 未回答:3.5%
いかがでしょうか。
200万円未満の世帯の割合は38.6%。
そして、2000万円以上保有する世帯は19.5%となりました。
■2. 老後に必要な貯蓄額はいくらか
皆さんは以前話題となった「老後2000万円問題」を覚えているでしょうか。
この問題をベースに、老後の生活費が実際いくら必要なのか、考えてみます。

出所:金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第21回)厚生労働省提出資料「iDeCoを始めとした私的年金の現状と課題」をもとにLIMO編集部作成
■2.1 【高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)】の収入と支出
金融審議会「市場ワーキンググループ」(第21回)厚生労働省提出資料より、日本の高齢夫婦無職世帯の収入と支出は以下のようになります。
- 実収入(主に年金):20万9198円
- 実支出(主に食費):26万3718円
- 月々の赤字額=約5万5000円
老後必要額=5万5000円×12ヵ月×30年(老後30年と仮定)=1980万円 ※約2000万円
上記こそ、政府が「老後は2000万円必要」と想定した根拠となります。
しかし、これはあくまで大数から導き出した数字をベースとしたシミュレーションに過ぎません。
そのため、このシミュレーションでは、以下の要素が漏れています。
- 介護費用が考慮されていない
- 住居費は一律固定で計算されている
- 収入と支出は当然、個々人によってバラつきがある
この高齢化社会、生活費には介護費用も加味した方がいいかもしれません。
また、賃貸の生活を想定している人は、当然家賃も加える必要があります。
加えて重要なのは、上記のシミュレーションは「必要最低限の老後生活費」を計算するためのものです。
より余裕のある生活を希望する場合、2000万円以上必要となる可能性は大いにあります。
■3. 老後に向けた効果的な貯蓄のコツ
「貯蓄は60代になってから取り組めばいいや」と先延ばしにしていると、収入面の変化や臨時の出費、さらには健康状態の変化などにより、思うように貯蓄できない可能性もあります。
金銭的な不安を抱えたまま老後を迎えることになりかねません。
そのため、今あるお金、今後もらうお金について、工夫をこらすことが重要となってきます。
老後に向けて大きな資産をつくる際の3つのポイントをお伝えします。
■3.1 ポイント①「世界株式」に目を向ける
まず、大きな資産を作っていく際には、成長する資産に着目することが大切です。
経済成長が見込める先に投資している金融商品(=成長資産)を選びましょう。
その好例である、世界株式のような「伸びしろがある」資産で、仮に年率6%で運用ができた場合、12年間で資産は倍に増えます。
今後も成長することが見込める世界経済に、長期的な視点に目を向けていかれるとよいでしょう。
■3.2 ポイント②「長期積立」でコツコツ運用を
次に大切にしたいのが、「長期・積立・分散」のキーワード。
金融商品は日々値動きがありますので、一括で大きな金額を買うと、値下がりした場合に大きく損が出る可能性もあります。
一方、定期的に積立投資を行う場合は「価格が高いときには少なく、価格が低いときには多く」買い付けます。
買いつけのタイミングを分散させることで、購入単価が平均化(ならされること)に繋がり、値動きの影響を受けにくくなるのです。
リスクを抑えながら、運用益の安定を目指していけると理想的ですね。
■3.3 ポイント③「投資と保障のバランス」を意識する
最後に、積立投資を長期戦で進める場合、定期収入があることが前提となるでしょう。
積立に回す資金が枯渇した場合、資産運用そのものの継続が難しくなる可能性も。
ケガや病気、自然災害といった不可抗力は、いつ私たちの暮らしを襲うか分かりません。
収入激減や病気などのリスクに備え、最低限の保障を、保険商品で備えておければ理想的です。
■4. 「富裕層」を見据える
ちなみに、日本では富裕層はどのくらいいるのでしょうか。
まず、野村総合研究所のデータを見てみましょう。

出所:野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層は133万世帯、純金融資産総額は333兆円と推計」
上記によると、「富裕層」は1億円以上5億円未満の純金融資産保有額がある世帯です。
5000万円以上1億未満を「準富裕層」、5億円以上を「超富裕層」と呼びます。
全体から見ると約2%の世帯が富裕層になります。
貯蓄は将来のためとはいえ、毎日の積み重ねです。意識してみてはいかがでしょうか。
■参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」( https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari2021-/2021/21bunruif001.html )
- 厚生労働省「iDeCoを始めとした私的年金の現状と課題(2019年4月12日)( https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20190412/02.pdf )
- 日本人・50歳代の「残酷」な貯蓄事情を円グラフで図解。平均額はいくらか、「1000万円」あれば老後は安心か( https://limo.media/articles/-/30502 )
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