育児休業を取ると年金が減ると聞きました。本当ですか?【知らないと損する年金講座】

- 育休でもらえるお金・免除される保険料とは -


産前産後休業・育児休業は、育児をしながら働く人が、生活と仕事を両立できるよう支える大切な制度です。

この制度では、毎月の健康保険料や厚生年金保険料などが免除されるといったメリットがあります。

しかし、「厚生年金を負担しないのは助かるけど、その分将来の年金額が減ってしまうの?」と不安になる人もいらっしゃいます。この記事ではその疑問にお答えし、産休・育休中の社会保険料免除について詳しく解説します。

■産前産後休業と育児休業の制度

産前産後休業とは、出産前後の母体を保護するためのお休みです。

産前とは、出産予定日の6週間(双子などの多胎妊娠の場合は14週間)以内をいい、産後は出産日の翌日から8週間をいいます。会社に請求すれば休みを取得することができます。

育児休業とは、子どもの養育を目的としたお休みです。女性が取得する場合は、「産後休暇の終了の翌日からその後1年」が対象期間です。男性の場合は、「子どもが誕生した日から1年間」が対象になります。

ただし、保育所の入所を希望したにも関わらず、入所できないなど特別な事情があれば、子どもが1歳6カ月(再延長で2歳)に達するまで延長できます。

この育児休業は育児・介護休業法で定められた制度であり、一定の要件を満たせば雇用保険から休業中の給付金が支給されます。

原則、労働者であれば男女問わず事業主に申し出ることで取得できます。しかし、日雇い労働者や雇用が継続して1年以上ないなど、継続して1年以上の雇用契約が見込まれないなどの場合、適用外となることがあります。

■育児休業は夫婦で取得することもできる

両親ともに育児休業をする場合「パパ・ママ育休プラス」という制度があります。

出所:厚生労働省「両親で育児休業を取得しましょう!」

育児休業は通常子どもが1歳になるまでに取得しますが、特別な理由がなくても1歳2カ月まで延長できます。

またパパ休暇という制度もあります。パパ休暇の取得は原則1回となっています。しかし、父親が子の出生後、8週間以内に育児休業を取得した場合であれば、特別な事情がなくても、再度育児休業が取得できます。

■育児休業給付金の支給額はいくらか

育児休業期間中に受け取れる育児休業給付金の日額は、

  • 育児休業開始前6カ月間の賃金の支給総額÷180

で算出します。

育児休業の開始(出産後56日を超えてから)から6カ月間は「休業前の賃金月額の67%」、7カ月目以降は「休業前の賃金月額の50%」が支給されます。

たとえば、休業開始前の賃金が月額26万円だった場合、それぞれ以下の金額を受け取ることができます。

■出産後56日~6カ月までの1カ月あたりの支給額

(26万円×6カ月)÷180×30日=約17万4000円

■7カ月目以降の1カ月あたりの支給額

(26万円×6カ月)÷180×30日=約12万9000円

ただし、会社から賃金が支払われている場合、支給額に応じて減額されます。もし賃金が80%以上となれば、支給は0円となります。

■産前産後休業・育児休業期間中は社会保険料が免除される

育児休業期間中は、実際に働いていたときよりも収入が少なくなります。そのため、社会保険料の納付免除という制度が設けられています。

免除される社会保険料は、健康保険・介護保険・厚生年金保険です。また免除される期間は、育児休業を開始した月~終了した日の翌日の前月までです。

ただし、子どもが3歳に達すると終了となります。

社会保険料が免除されている期間は、保険料を支払ったものとして扱われます。そのため、健康保険・介護保険などの給付が必要であれば、受けることができます。

厚生年金についても、「将来に受取る年金がその分減るのでは?」と心配しなくても大丈夫です。

また産前産後休業においても、育児休業期間と同じく、健康保険・介護保険・厚生年金保険が免除されます。

■養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置

育児休業が終了し、仕事に復帰した場合のことを考えてみましょう。その際、育休前の就業と同じではなく、時短勤務となり賃金が減ることがあります。

賃金が減れば、それに伴い標準報酬月額が下がり、控除される厚生年金保険料も減ります。そうなると、将来受け取る年金が減ってしまい、子育てをする人にとっては不利益になってしまいます。

そのようなことにならないよう、子どもが3歳になるまでの間は、時短で負担する厚生年金保険料が減ったとしても、育休前の標準報酬月額を負担したものとみなして、年金額に反映されるよう決められています。

■まとめ

子どもを妊娠した後、仕事の継続をサポートする制度として「産前産後休業」や「育児休業」があります。その際、厚生年金保険料が免除されても、将来の年金は減りません。

制度の活用は会社を通して行うことになります。夫婦で確認しておくと安心です。

■参考資料

  • 厚生労働省「育児・介護休業法について」( https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html )
  • 厚生労働省「「育児休業」の延長を予定されている労働者・事業主の皆さまへ 」( https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04514.html )
  • 厚生労働省「両親で育児休業を取得しましょう!」( https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000169713.pdf )
  • 厚生労働省「Q&A~育児休業給付~」( https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158500.html )
  • 日本年金機構「厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)」( https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/menjo/20140122-01.html )
  • 日本年金機構「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」( https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/menjo/20150120.html )

関連記事(外部サイト)

  • 記事にコメントを書いてみませんか?