【出産一時金が増額】約3万円の増で本当に足りるのか。都道府県別に見る出産費用のリアル

- 都道府県格差は22万円超え -


5月下旬、自民党の議員連盟が出産一時金の増額を政府に求めたと公表されました。

具体的には、現行の42万円から40万円台半ばへの増額を要請したとのこと。しかし、約3万円の増額で十分といえるかは疑問が残ります。

今回の記事では、出産にかかる費用を都道府県別に紹介するほか、出産に活用できる制度について解説します。

■出産一時金42万円でまかなえた割合はたった7%

「子どもと家族のための緊急提言プロジェクト」が行った調査によると、現行の出産一時金42万円で出産費用をまかなえたと答えた割合は、わずか7%に留まりました。

さらに同調査では、61万円以上が47.3%、71万円以上が25.7%、81万円以上は首都圏を中心に14.6%、91万円以上は9.1%との結果が出ています。

現行の42万円支給があっても、高額な自己負担を強いられている現状が浮き彫りとなった形です。

仮に出産一時金を40万円台半ばまで増額できたとしても、自己負担割合に大幅な変化が生じるとは考えにくいでしょう。

次の項目では、都道府県別に見た出産費用の高い都道府県をランキング形式でご紹介します。

■出産費用が高い都道府県ランキング

公益社団法人 国民健康保険中央会が公表している「出産費用の都道府県別平均値、中央値」を参考に、出産費用が高額な都道府県を5つ紹介します。

■【出産費用が高額な都道府県トップ5】※平成28年度調査

  • 東京都:62万1814円
  • 神奈川県:56万4174円
  • 栃木県:54万3457円
  • 宮城県:53万5745円
  • 埼玉県:53万1609円

関東を中心に、宮城県もランクインする結果となりました。

出産費用が高騰する理由には、高級産院の増加や無痛分娩の普及、さらに「入院予約金」の支払いや希望していないエステ・マッサージ代が組み込まれているなど多岐に渡ります。

「子どもと家族のための緊急提言プロジェクト」の調査によると、医療機関への入院予約で「予約金」を求められた人の割合は54.4%にのぼるそうです。

また、予約金の金額は5万円以上が61.1%・10万円以上が26.8%・15万円以上が16.6%となっています。

出産費用にエステ代やマッサージ代、特別な食事の料金が組み込まれているケースもあることから、思わぬ形で高額な自己負担を強いられている方が多いと分かります。

先程のランキングは平成28年時点での数値なので、2022年時点での平均値・中央値は更に高くなっていることも考えられるでしょう。

■42万円でまかなえる!出産費用が安い都道府県ランキング

こちらも公益社団法人 国民健康保険中央会が公表している「出産費用の都道府県別平均値、中央値」を参考に、出産一時金42万円でまかなえる都道府県をご紹介します。

■【出産費用が安い都道府県トップ5】※平成28年度調査

  • 鳥取県:39万6331円
  • 熊本県:41万5923円
  • 沖縄県:41万8164円
  • 宮崎県:42万8157円
  • 大分県:43万141円

鳥取県を筆頭に、九州・沖縄がランクインしました。

厚生労働省の「令和3年度 出生に関する統計の概況 都道府県別にみた出生」によると、令和元年時点での出生率は、1位沖縄(1.82人)・2位宮崎(1.73)・3位島根(1.68)となっています。

出産費用の安さだけでない要因もあると思いますが、やはり費用が安い県での出生率は高い水準に収まっています。

※都道府県ごとのすべての金額を知りたい方は、【写真】をご覧ください

出所:公益社団法人 国民健康保険中央会「出産費用の都道府県別平均値、中央値」

ちなみに、出産費用が安い島根県と東京都の差はなんと22万5483円。その後の子育てにかかる費用も考えると、深刻な価格差に頭を抱えてしまいますね。

そこで、次の項目から出産時に活用したい制度を解説していきます。

■出産時に活用したい公的医療保険制度

公的医療保険制度には、出産や育児で活用できる補助金制度があります。(国民健康保険に加入する方は対象外です)

■出産手当金

出産前42日から出産日の翌日以降56日までの間に会社を休み、給与の支払が無かった場合に対象となります。

過去1年間の給与を基準とした3分の2の金額が受け取れますが、休職期間中に出産手当金以上の給与を受け取っている場合は対象外です。

■傷病手当金

切迫流産や妊娠悪阻の治療を受けた場合、1日当たり給与の3分の2程度が受け取れます。

連続する3日間を含み4日以上仕事に就けない場合が対象であるほか、妊娠悪阻の治療は診断書が必要となります。

■育児休業給付金

育休終了後に同じ職場への復帰を前提として、育児休業開始日より前の2年間に被保険者期間が12ヵ月ある場合に支給されます。

この制度は雇用保険に加入している方が対象です。

■出産祝い金が10万円以上もらえる自治体も!

お住まいの地域によっては、行政から10万円以上の出産祝い金をもらえます。

詳しい支給要件や申請方法は市区町村HPをご覧ください。

  • 東京都渋谷区:1人の出産につき限度額10万円。ただし出産一時金が支給される場合はその差額を支給。
  • 広島県庄原市:第1子10万円・第2子10万円・第3子以降25万円を支給。
  • 石川県羽咋市:第1子10万円・第2子20万円・第3子30万円・第4子40万円・第5子以降50万円を支給。内訳は2万円が子育て応援券・18万円までは地域商品券・残りは現金で支給。
  • 岐阜県高山市:1子につき10万円を支給。
  • 山口県岩国市:子ども1人につき10万円を支給。
  • 愛媛県宇和島市:新生児1人につき10万円、満1歳〜満2歳児は1人につき5万円(第3子以降は10万円)を支給。
  • 大分県豊後高田市:第1子と第2子は10万円・第3子は50万円・第4子は100万円・第5子は200万円支給(第3子以降は分割して支給)。

■出産一時金以外にも使える制度を活用しよう

出産一時金以外にも、出産や子育てに活用できる制度はたくさんあります。

お子様を迎える前にしっかり情報を集め、心配事を減らしておきましょう。

■参考資料

  • 子どもと家族のための緊急提言プロジェクト「出産費用調査・公表資料」( https://familypolicy5s.jp/ )
  • 公益社団法人 国民健康保険中央会「出産費用の都道府県別平均値、中央値」( https://www.kokuho.or.jp/statistics/birth/2017-0620.html )
  • 全国健康保険協会 出産手当金について( https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g6/cat620/r311/ )
  • 全国健康保険協会 病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)( https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3040/r139/ )
  • 厚生労働省Q&A~育児休業給付~
  • 厚生労働省「令和3年度 出生に関する統計の概況 都道府県別にみた出生」
  • 渋谷区「ハッピーマザー出産助成金」
  • 庄原市「出産祝金」
  • 羽咋市「結婚・出産・子育て・教育」
  • 高山市「子育て支援金」
  • 岩国市「いわくに子宝給付金・出産祝金の申請をお忘れなく!!」
  • 宇和島市「子育て応援給付金」
  • 豊後高田市「子育て応援誕生祝い金」

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