持ち家と賃貸のメリット・デメリットを分かりやすく解説!どっちが得かだけで選ぶと危険な理由とは

− 持ち家か賃貸かは老後も含めて考える −


持ち家はお金がかかるイメージがあり「賃貸に住み続けた方が出費を少なくできるのでは?」と考える人もいるでしょう。

確かに建物や土地の価格によっては、賃貸の方が出費を安くできるケースもたくさんあります。

しかし持ち家と賃貸を、損得やメリット・デメリットだけで選ぶのは少し危険です。

この記事では持ち家と賃貸の損得やメリット・デメリットに加えて、将来に潜むリスクについてもお伝えします。

■持ち家と賃貸でかかる総費用

まずは50年間でかかる、持ち家と賃貸の総費用を見てみましょう。あくまで目安の金額ですが、持ち家は賃貸より総費用が高くなることが十分に考えられそうです。

出典:国土交通省「令和3年度住宅市場動向調査報告書」(2022年3月)をもとに筆者作成

出典:国土交通省「令和3年度住宅市場動向調査報告書」(2022年3月)

出典:国土交通省「令和3年度住宅市場動向調査報告書」(2022年3月)をもとに筆者作成

※それぞれの費用は概算であり、建物や土地、住む人の条件などで大きく変わります。

■持ち家の3つのメリット

では次に持ち家と賃貸の、費用以外のメリット・デメリットを見ていきましょう。まず持ち家にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

■持ち家のメリット1. 資産になる

持ち家では建物の寿命が続く限り、土地は半永久的に資産になります。子や孫などへ相続も可能で、さらにローンが終わっていれば担保にしてお金を借りることもできます。

また住宅ローンを借りるときに団体信用生命保険に加入していれば、申し込み人が亡くなると残りのローンが完済されます。つまり残された家族には、ローンの無い住まいが資産として残されるのです。

■持ち家のメリット2. リフォームや建て替えが自由にできる

持ち家で一戸建てなら、リフォームや建て替えが自由にできます。

分譲マンションも内装など、規約で定められた範囲内でリフォームが可能です。

ただし分譲マンションの建て替えは、住民の一定数の同意が必要です。もちろん賃貸は、勝手にリフォームや建替えはできません。

■持ち家のメリット3. 賃貸より建物グレードが高い

持ち家は建物のグレードが、賃貸に比べ高いことが一般的です。これは設備や内装などに、住んでいる間は修繕やリフォームが少なくて済むよう耐久性の高いものを使うためです。

しかし賃貸はできるだけ建築費用を抑えたいことなどから、価格を抑えた設備や内装材が選ばれています。

■持ち家の2つのデメリット

一方で持ち家には、次のようなデメリットがあります。

■持ち家のデメリット1. 住み替えしにくい

持ち家は賃貸ほど気軽に住み替えはできません。住宅ローンを組んでいると、家を自由に売ることができないためです。

またローンが無かったとしても、家が売れるまで新たな住まいに移ることは難しいでしょう。

もちろん現在の家を所有したまま住み替えはできますが、今の家のローンや税金は払い続けることになります。

いずれにしても住み替えの「しやすさ」では、賃貸の方に軍配が上がるでしょう。

■持ち家のデメリット2. 建物の修繕が必要

持ち家は傷んできたら修繕しなければなりません。一戸建てなら自分でタイミングを見計らい、外壁塗装や防水修繕、内装の張替えなどを行います。

分譲マンションでは管理組合が毎月修繕費を積み立て、建物外部や共用部の修繕を行います。また部屋の内装や設備は自分で直さなければなりません。

■賃貸の3つのメリット

続いて賃貸には、費用が抑えられる以外にも次のようなメリットがあります。

■賃貸のメリット1. 建物の修繕は不要

賃貸は持ち家のような建物の修繕は不要です。建物の外部や共用部はもちろん、部屋の内装や設備も自然な劣化なら修繕は所有者が行います。

ただし直すかどうかは所有者次第なので、傷んでいてもそのままにされる可能性もあります。

■賃貸のメリット2. 住み替えしやすい

賃貸は事前に家主へ退去を伝え、新たな部屋を契約すればかんたんに住み替えできます。

転職や転勤などやむを得ない事情以外にも、隣人と合わないことや気分転換など気持ちの面が理由でも気軽に引っ越せます。これは大金をかけて購入した持ち家には、なかなか真似できないことでしょう。

■賃貸のメリット3. 税金がかからない

賃貸では土地と建物の固定資産税や都市計画税は、所有者が支払います。

賃貸に住んでいる限り、持ち家のように税金を払うことはありません。

■賃貸の3つのデメリット

一方で賃貸にもいくつかデメリットがあり、中には特に注意すべきものがあります。

■賃貸のデメリット1. 間取りなどを自分の好みにできない

賃貸では間取りはもちろん、設備や内装も入居者が自由に変えることはできません。

もし勝手に内装を変えてしまうと、退去時に元に戻すよう要求されます。

■賃貸のデメリット2. 老後も家賃がかかる

賃貸に住むには、老後も当然家賃がかかります。

持ち家は住宅ローンを老後までに払い終えれば、固定資産税と定期的な修繕費だけで出費が済みます。

固定資産税は場所によりますが月に1〜2万円 ほど、修繕費も同じく月に1〜2万円ほどで考えておけば、一般的な持ち家ならそれほど困らないはずです。

しかし夫婦で暮らす広さの賃貸を、都心で借りるとなると月に10万円前後は必要でしょう。老後までに十分な蓄えをしておかないと、家賃が大きな負担となる可能性があります。

■賃貸のデメリット3. 老後の住み替えは難しい

「年金暮らしになったら家賃の安いところへ引っ越せばいい」という声を耳にすることがあります。

しかし新たに賃貸を借りるには、安定した収入を持つことが条件の場合もあります。年金暮らしで十分な収入が無いと、家賃滞納の恐れがあるとして入居を断られるケースもあるのです。

また多くの家主が、年老いた入居者を受け入れ万一建物内で亡くなられてしまうと、新たな借り手が見つけにくくなることを心配します。

つまり年金暮らしになってから家賃の安いところへ住み替えるのは、思っている以上に難しいかもしれないのです。

■持ち家か賃貸かは損得だけでなく老後も考えよう

出費の総合計で比べると、確かに賃貸の方が安く済むケースは多いかもしれません。

削減できた費用を子供のために使ったり、娯楽に回したりするのも一つのライフスタイルでしょう。

しかし老後の家賃負担と転居のしにくさも十分想定したうえで、持ち家か賃貸かを選んだ方が良さそうです。

もし生涯を通じて賃貸を選ぶなら、安定収入を得ているうちに老後の家賃を蓄えておきましょう。

そして定年が近づいたら老後も住み続けられる賃貸を探し、現役のうちに移り住んでおくと良いかもしれません。

■参考資料

  • 国土交通省「令和3年度住宅市場動向調査報告書」(2022年3月)( https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001477550.pdf )

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