60歳代で「住宅ローン残高500万円以上」という家庭も【2022年8月】人気の住宅ローンランキングを紹介
2022年08月27日 09時50分LIMO
- 住宅ローンや金利の選び方のポイントや注意点も解説 -

家を購入する時に必ず検討するのに住宅ローンがありますね。住宅を購入し、住宅ローンを組む年齢は30~40歳代が最も多く、平均年齢は40歳前後です。
35年ローンだと、60歳でまだ住宅ローンの残高があるという方も。とはいえ、借入金はできることなら早くに返済したいものですよね。
今回は2022年8月に人気の住宅ローンを見ながら、60歳代で住宅ローン残高が残っている家庭の金額がどれくらいなのかをみていきます。あわせて、住宅ローンや金利を選ぶポイントと注意点も解説します。
■2022年8月人気の「住宅ローン」ランキング
住宅ローン比較サービス「モゲチェック」を運営する株式会社MFSは、モゲチェックを利用して金融機関の住宅ローン事前審査を申し込んだユーザー2864名を対象に、どの銀行への申込みが多かったのかを調査しました(2022年8月3日公表)。
その結果をもとに、まずは新規・借り換え別の住宅ローンランキングをみていきましょう。まずは新規からです。

出典:モゲチェック調べ(2022年8月3日公表)
- 1位:みずほ銀行(24%)
- 2位:auじぶん銀行(13%)
- 3位:イオン銀行(12%)
- 4位:三井住友銀行(11%)
- 5位:PayPay銀行(11%)
最も多いのはみずほ銀行でした。2位以下は僅差ですが、メガバンクである三井住友銀行もランクインする一方で、ネット銀行系の人気がわかります。
次に借り換えも見ていきましょう。

出典:モゲチェック調べ(2022年8月3日公表)
- 1位:auじぶん銀行(32%)
- 2位:新生銀行(15%)
- 3位:PayPay銀行(11%)
- 4位:住信SBIネット銀行(9%)
- 5位:みずほ銀行(8%)
先ほど2位だったauじぶん銀行が1位で32%でした。auじぶん銀行は金利引き下げキャンペーンを行っており、少しでも安い金利を求める人が多いのでしょう。
2位以下はネット銀行などが多く、こちらも金利引き下げキャンペーンを行っている会社に注目が集まっているとわかります。
住宅ローンは返済期間もよく考えておきたいところ。実際に60歳代でどれくらいの人が残っているのか確認しましょう。
■60歳代でローンがある人はどれくらいいるのか。借入金額はいくら?
独立行政法人労働政策研究・研修機構「調査シリーズNo.199『60代の雇用・生活調査』(2020年3月公表)」を参考に、60歳代で住宅ローンがある人をみていきます(調査対象者は60~69歳5000人)。
まずは、世帯の借入金の有無を確認します。

出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「調査シリーズNo.199『60代の雇用・生活調査』(2020年3月公表)」
■60歳代の借入金
- ある:22.5%
- ない:73.9%
- 無回答:3.6%
およそ5世帯のうち1世帯は何かしらのローンがあることになります。具体的な借入金額に対する割合は以下の通りです。
■60歳代の借入金額
- 30万円以下:2.6%
- 31万円以上50万円以下:4.2%
- 51万円以上100万円以下:10.1%
- 101万円以上300万円以下:18.4%
- 501万円以上1000万円以下:15.9%
- 1001万円以上2000万円以下:11.0%
- 無回答:22.0%
続いて、借入金が有ると回答した中で、住宅ローン残高がある人について見ていきます。
■【60歳代】住宅ローン残高が500万円以上ある人はおよそ半数
借入金がある人のうち、住宅ローン返済が「ある」人は52.3%。先程の資料より住宅ローンの金額を確認します。

出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「調査シリーズNo.199『60代の雇用・生活調査』(2020年3月公表)」
- 30万円以下:7.7%
- 31万円以上50万円以下:0.2%
- 51万円以上100万円以下:4.6%
- 101万円以上300万円以下:14.9%
- 301万円以上500万円以下:11.3%
- 501万円以上1,000万円以下:24.5%
- 1,001万円以上2,000万円以下:17.0%
- 2,001万円以上:7.4%
- 無回答:12.4%
住宅ローンの残高が500万円以上ある人は合計48.9%と、約半数という結果でした。
60歳代というと定年退職を迎え、一般的に収入が下がることも多いと言われますが、ローン残高があるのは気になるところですね。
実際に定年後の賃金の変化を資料で確認しましょう。
■定年直後などの賃金変化は?
55歳当時雇用者で、定年年齢または60歳以降も仕事をした人(勤務形態の限定はない(フルタイム勤務の人とは限らない))に、定年あるいは早期退職直後(60歳時点とは限らない)の賃金の変化があったか、同資料により確認します。

出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「調査シリーズNo.199『60代の雇用・生活調査』(2020年3月公表)」
- 賃金額は減少した:71.5%
- 賃金額は余り変化していない:21.0%
- 賃金額は増加した:2.6%
- 無回答:4.9%
約7割の多くの方が賃金は減少したと回答しています。「60歳代でも働くから」「退職金があるから」とはいえ、60歳代以降の資金を返済計画に組み込むには注意が必要です。
家を購入することはリタイア後、年金収入のみになったときの住宅費の節約につながり安心できるでしょう。
それ自体はとても良いことですが、返済計画のイメージができず、家を買ったことによって老後資金が底をついてしまったら、むしろ老後資金が不足してしまい本末転倒です。
人生100年といわれる時代。60~100歳までの40年間を過ごす生活資金も必要となります。
住宅ローンを借り入れる場合にはご自身の年齢と、収入があって返済できる期間を見据えた上で、無理のない返済金額でローンを組むようにしましょう。
■住宅ローンの選び方のポイントと注意点
住宅ローンを取り扱っている銀行・金融機関は全国にあり、銀行、地方銀行、信用金庫、労働金庫だけでなく、ネット銀行と選択肢はたくさんあります。
比較してみると分かりますが、住宅ローンには「変動金利、5年固定金利、10年固定金利、35年固定金利(全期間固定、フラット35を含む)」などの金利タイプがあり、期間によってそれぞれ金利が異なります。
そして、金利が低くても各種条件をクリアしないと安くならないという場合や、融資の手数料が高く、思っていたより費用がかかったということも。提示されている金利だけで判断することのないように気をつけましょう。
銀行によって得意な「金利タイプ」や「手数料」も異なる点を理解しておきましょう。
変動金利は低いけど、35年固定金利は他社と比べて高いということがあります。どの金利タイプも全てにおいて安いという銀行はないと言えるでしょう。
まずは自身の返済プランを把握して変動か固定かの金利タイプを検討し、その中で得意とする銀行を選びましょう。
■【変動or固定】金利タイプはどうやって選べば良い?
金利の引き下げ競争もあり、変動金利が人気ですね。だだし、金利が低いという理由だけでローンを組むには注意が必要です。
何十年となるローン返済の間に、金利が上昇することもあるでしょう。金利の動向を予測したとしても、将来の金利がどうなるかは誰にも分からないのです。
はじめは金利が低く魅力的に見えても、借りている間に金利が上がり、後々になって返済額が膨れ上がるということも。
変動と固定を選ぶ際には、「金利が低いから」という理由ではなく、「返済額をコントロールできるかできないか」という視点からも考えておきましょう。
返済額をコントロールできる人は、毎月の返済と同時に貯蓄を並行して行い、金利が低い状況が続いているうちに、または住宅ローン控除の恩恵を受けられるうちに、将来の繰り上げ返済のための貯蓄を貯めることができる人です。
こういった方は「変動金利」で借り入れても、金利が上昇したときには貯蓄から繰り上げ返済に回すことが可能で、返済額をコントロールでき、将来の金利上昇リスクに備えることができます。
変動金利の場合は、金利の上昇リスクはコントロールできないため、返済額をコントロールし、残債を減らすことが重要になります。
反対に、返済額がコントロールできない人。つまり、返済と同時に貯蓄ができない人については、金利の上昇リスクをコントロールできる「固定金利」を選択肢として考えましょう。
固定金利は変動金利より高くなりますが、将来の金利上昇のリスクについては回避できますね。
世の中の金利が上昇しはじめようと、毎月決まった金額を計画的に返済していけば良いのです。「金利がいつ上昇するか分からない」という不安からは開放されます。
住宅ローンは借りることがゴールではありません。借りた後、何十年と続く返済が完了してこそゴールとなります。
住宅の購入価格だけで月々の支払いを計算するのではなく、金利や費用も含めた金額で、それでも返済できるプランを考えましょう。
■まとめにかえて
住宅の購入には物件の価格だけでなく、ローンの金利や手数料、団信の加入など、その他いろんな費用がかかります。
人生で一番大きい買い物とも言われる住宅。老後を安心して過ごすためにも、無理のない返済プランを考えましょう。
■参考資料
- PRTIMES「【22年8月版】ユーザーに人気の住宅ローンはこの銀行!モゲチェックユーザー約3,000名を調査」( https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000150.000014407.html )
- モゲチェック( https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000150.000014407.html )
- 独立行政法人労働政策研究・研修機構「【第Ⅰ部 調査概要】調査シリーズNo.199『60代の雇用・生活調査』」( https://www.jil.go.jp/institute/research/2020/documents/0199.pdf )
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