夫に先立たれた妻【遺族年金】を受け取れないことも。厳しい受給要件を再確認

- 遺族厚生年金と遺族基礎年金が受給できる人や要件とは -


新型コロナウイルスの感染拡大により、飲食店などを経営する個人事業主の方々の資金繰りが厳しく、毎月納めるはずの国民年金保険料をうっかり忘れてしまうこともあるかもしれません。

公的年金には、老齢年金の他に、障害年金や遺族年金があります。今回は、一家の大黒柱に万が一のことがあったとき、家族が受け取る遺族年金についてのお話です。

遺族年金を受け取るには、どんな要件を満たす必要があるのか、または、どの程度受け取れるのかなど、案外知らない人は多いのではないでしょうか。今回は、特に大事な遺族年金の要件を詳しく説明します。

■遺族年金には2種類ある

遺族年金は、亡くなった方の年金の加入状況などによって、遺族基礎年金と遺族厚生年金のいずれか、または両方の年金を受け取ることができます。

それぞれ、どのくらいの年金が支給されるか確認してみましょう。

■遺族基礎年金が支払われる人と年金額

遺族基礎年金は、国民年金に加入していた人(個人事業主など)が亡くなったとき、その人によって生計を維持されていた「子どもを持つ配偶者」または「子ども」に対して支払われる年金です。

なお、子どもには、18歳になった年度の3月31日までであること、障害等級1級または2級の子の場合、20歳未満であることなどの条件があります。

なお、子どもは結婚していていない場合に限ります。

年金額は一律となり、以下のとおりです。

遺族基礎年金 年額77万7800円(2022年度)+子の加算額

※子の人数に応じた加算額

  • 1人目・2人目の子の加算額 各22万3800円
  • 3人目以降の子の加算額   各 7万4600円

■遺族厚生年金が支払われる人と年金額

遺族厚生年金とは、会社員や公務員のように厚生年金に加入していた方が亡くなったとき、その人によって生計を維持されていた人で、もっとも優先順位の高い人が受け取ります。

遺族基礎年金に比べ、支払われる対象が広くなります。

  • 第一順位:配偶者と子 
  • 第二順位:父母
  • 第三順位:孫
  • 第四順位:祖父母

配偶者は、遺族基礎年金と違い、子の有無に関係なく受け取れます。ただし、配偶者のうち夫は、55歳以上という条件があります。

また、30歳未満の子のない妻の場合、5年間の有期給付になります。

子ども・孫の条件は、18歳になった年度の3月31日までであること、障害等級1級または2級の子の場合、20歳未満であることなど、遺族基礎年金と同じ条件があります。

父母・祖父母は55歳以上という条件があり、支給されるのは60歳になってからとなります。

遺族厚生年金の金額は、老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。亡くなった方の厚生年金の加入期間や給与・賞与といった報酬の金額をもとに計算されます。

遺族年金を受け取ることができる遺族と年金の種類

出典:日本年金機構「遺族年金ガイド(令和4年度版)」

亡くなった方の死亡時、条件を満たす子がいる配偶者は、遺族厚生年金と遺族基礎年金の両方が受給できます。

■遺族年金が支払われるための要件

実際に遺族年金が支払われるには、亡くなった方との関係性、保険料の納付などの要件がとても重要です。それぞれについて、細かくみていきましょう。

■保険料の納付に関して必要な要件

遺族基礎年金や遺族厚生年金が支払われるには、死亡日の前日において、その2カ月前までの被保険者期間に、国民年金の保険料納付済期間または免除期間、厚生年金保険の被保険者期間などの合計が3分の2以上必要です。

ただし、2026年(令和8年)3月31日までは、保険料の納付要件の特例があります。

この場合、亡くなった方が65歳未満であれば、亡くなった日の2カ月前までの直近1年間に保険料の未納がなければ大丈夫です。

たとえば、2022年8月に亡くなった場合、2021年7月から2022年6月まで、保険料の未納期間がなければ納付要件を満たしていることになります。

もし、収入の減少や失業等により国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合は、未納のままにせず「国民年金保険料免除・納付猶予制度」の手続きをしましょう。

そうすれば、国民年金保険料を納めてなくても「未納」ではなく「免除」となり、納付要件を満たしていると判定されます。

問い合わせ先は、お住まいの市(区)役所または町村役場の国民年金担当窓口、または住所を管轄する年金事務所です。

■亡くなった方に生計を維持されていたと認定される要件

遺族基礎年金を受けることができる遺族は、国民年金の被保険者または被保険者だった人が亡くなった際、その方によって生計を維持されていた子を持つ配偶者、または子のどちらかです。

また、遺族厚生年金を受けることができる遺族は、厚生年金の被保険者または被保険者だった人が亡くなった際、その方によって生計を維持されていた配偶者、子、父母、孫、祖父母のいずれかです。

遺族年金を受給するには「生計を維持されていた」と認められる必要があり、「生計同一要件」と「収入要件」を満たす必要があります。

■【生計同一要件】

遺族は、原則として亡くなった方と同居している、もしくは、別居していても仕送りを受けていたり、健康保険の扶養家族になっていたりという関係性が必要です。

■【収入要件】

遺族の前年の収入が850万円未満であること、または、所得が655万5000円未満であることのいずれか片方を満たす必要があります。

なお、事実婚関係の場合については、戸籍簿などの把握ができないため、まずは「事実婚の認定」を行います。

  1. 当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係を成立させようとする合意があること
  2. 当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係が存在すること

上述の2つの要件を満たした後に、生計を維持されていたことの認定が行われます。

■遺族年金のまとめ

遺族年金は、家族の万が一を支えるためのものです。

うっかり国民年金保険料を未納のまま放置していると、困ったことになりかねません。払えない場合は、忘れず「国民年金保険料免除・納付猶予制度」の手続きをしておきましょう。

■参考資料

  • 日本年金機構「遺族年金ガイド(令和4年度版)」( https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/kyufu.files/LK03-3.pdf )
  • 日本年金機構「国民年金保険料の納付が困難な方へ」( https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/seido-shikumi.files/LN07.pdf )
  • 厚生労働省「基礎編講義 生計維持 生計維持関係の認定基準及び認定の取扱い」( https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12500000-Nenkinkyoku/0000088038.pdf )

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