【つみたてNISA】金融庁による「過去20年の運用の推移」と月3万円・20年間運用した結果をシミュレーションで見る

- つみたてNISAを年率3%と5%で試算 -


金融庁が2021年8月31日に公表した「令和5(2023)年度 税制改正要望について」では、NISA制度の恒久化や非課税保有期間の無期限化、年間投資枠の拡大などが求められています。

若い世代ではじめる人が増えているつみたてNISAですが、今後もその流れが続きそうですね。

投資信託などを毎月一定額を積み立てていく「積立投資」で、運用益が非課税になるつみたてNISA。

しかし実際の運用についてあまりイメージできていない人も多いでしょう。

今回は金融庁の資料から2001~2019年の運用結果を確認した後、「月3万円・20年間」で運用した結果をみていきます。

■金融庁による2001~2019年の日本株・全世界株の投資結果の試算は?

つみたてNISAは「年40万円まで、最長20年間」、通常、運用益に約2割かかる税金が非課税になる制度です。

運用できるのは投資信託やETFで、日本株なら日経平均、米国株ならNYダウ、世界株式ならMSCI指数といった株価指数などのベンチマークに連動する運用成績を目指す「インデックス投資信託」が多くなっています。

運用には元本割れのリスクがあり、損をするか利益が出るかは誰にもわかりません。初心者では投資対象を決めるのが難しく、また運用のイメージもつきにくいですよね。

参考までに、金融庁が紹介する「20年間毎月1万円投資した場合」の2001~2019年の推移をグラフで見てみましょう。

出所:金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」

20年後の投資総額は240万円ですが、「日本株式(日経平均)」であれば503万円、「全世界株式(MSCI ACWIグロス)」では624万円になりました。

推移をみるとリーマンショックが起こった2008~2013年頃までは元本を割っていますが、20年後には両者とも2倍以上の利益が出ています。

ただしこれは過去の実績をもとにした算出結果であり、今後必ずしも利益が出るわけではありません。参考の一つとしてみておきましょう。

■つみたてNISAを「月3万円・年率3%と5%」で運用できたらいくらになるのか

金融庁では、「資産・地域を分散して積立投資を行った場合の運用成果の実績【保有期間5年、20年】」として運用成果(年率)を紹介しています。

出所:金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」

上記によると保有期間5年では利益にバラつきがあり、元本割れもあるものの、20年になると「2~4%」が約30%、「4~6%」が約6割というグラフになっています。

上記を参考に年率「3%」と「5%」と考え、月3万円を20年間運用した場合の金額をみてみましょう。

■「月3万円・3%・20年間」運用できた場合

出所:金融庁「資産運用シミュレーション」

  • 元本720万円+利益約264万円=総額約984万円

まず年率3%との場合、総額で約1000万円になりました。利益にかかる約52万円の税金が非課税になりますから、つみたてNISA制度の影響は大きいですね。

では、5%ではどうでしょうか。

■「月5万円・3%・20年間」運用できた場合

出所:金融庁「資産運用シミュレーション」

  • 元本720万円+利益約513万円=総額約1233万円

利益が約2倍になり、総額で1000万円を超えました。つみたてNISA制度を利用していなければ、支払う利益は約102万円になります。

長期間の積立投資により、預貯金で運用するよりも効率的に資産を増やすことができるとわかりますね。

実際にはどれくらいの年率で運用できるかは後にならなければわからず、損をする場合もあるのが運用の難しいところです。

ただ積立投資により、リスクを減らすことは可能でしょう。

■まとめにかえて

投資は最終的にはご自身で「長期間運用しても良い」と納得できるものを選ぶことが重要です。

さまざまな角度から考え、実際に試算もして投資対象を検討されてはいかがでしょうか。

■参考資料

  • 金融庁「令和5(2023)年度 税制改正要望について」(2021年8月31日公表)( https://www.fsa.go.jp/news/r4/sonota/20220831/01.pdf )
  • 金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」( https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/guide/index.html )
  • 金融庁「資産運用シミュレーション」( https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/moneyplan_sim/index.html )

関連記事(外部サイト)

  • 記事にコメントを書いてみませんか?