「平均と同じ年収400万円台だから周りと同じくらい年金が貰える」は間違い?「厚生年金のモデル額」には届かない理由2つ
2022年09月16日 14時50分LIMO
- 2022年度の厚生年金のモデル夫婦の金額とは -

金融庁の「令和5(2023)年度 税制改正要望について 」では、NISA制度の恒久化や非課税保有期間の無期限化、年間投資枠の拡大などを求めることが公表されています。
進む「貯蓄から投資へ」の流れ。
一方で、国税庁「令和2年分 民間給与実態調査統計」によれば、日本の平均年収は433万円といわれています。
「年収400万円はあるから将来年金は周りと同じくらいは貰えるはず」と考える方もいるでしょう。
しかし、日本の平均年収400万円台であれば、将来の厚生年金が周囲と同じだけ貰えるというわけではありません。その理由をみていきましょう。
■日本の平均年収は400万円台。その割合を一覧表で見る
まずは国税庁「令和2年分 民間給与実態調査統計」より、100万円以下~2500万円超までの給与所得者の人数と割合を全体と男女別にみていきましょう。

出所:国税庁「令和2年分 民間給与実態調査統計」
上記を見ると、日本の平均年収は400万円台なものの、全体で最も多い年収帯は「300万円超 400万円」で17.4%です。
日本の給与所得者5245万人の平均年収は433万円ですが、これは男女、また正規・非正規も含まれた全体の平均となります。
たとえば男性の平均年収は532万円、女性は293万円となっており、男女差でも200万円以上あることがわかります。年収400万円台といっても男性か女性かでその印象は変わるでしょう。
■年収400万円でも厚生年金のモデル額に届かない理由2つ
では、みなさん将来年金額はどれくらい受け取れそうかご存知でしょうか。
「ねんきん定期便もちゃんと見たことがない」「将来どれくらい受け取れるか予想がつかない」という方もいるでしょう。
日本年金機構の「令和4年4月分からの年金額等について」によると、2022年度の厚生年金の月額(夫婦2人分の老齢基礎年金(国民年金)を含む)は「月額21万9593円」です。

出所:日本年金機構「令和4年4月分からの年金額等について」
日本の年金は2階建てとなっており、国民年金は原則20歳以上60歳未満の全員が、厚生年金は会社員や公務員などが国民年金に上乗せして加入します。
厚生年金の令和4年度のモデル額である月21万9593円は、「会社員の夫と専業主婦の妻」の夫婦で想定されています。
国民年金の満額は6万4816円なので、男性の年金額(国民年金+厚生年金)を計算すると「15万4777円」になります。
ちなみに、「厚生年金部分」は「平均的な収入(平均標準報酬賞与含む月額換算)43万9000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢高齢年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準」で計算されています。
つまり年収にすると「526万8000円で40年間就業した場合」に、厚生年金のモデル額である15万4777円がもらえる計算となります。
日本の平均年収400万円といっても、先程見たように男女別では200万円以上の差があり、男性の平均は532万円になります。
また、モデル額を受給するには年収約530万円で40年間就業することが想定されています。
実際には年収は年齢によっても変化するため、「年収400万円台だから年金額も周りと同じ」とは言い切れないでしょう。
■まとめにかえて
年金の受給額は個人差が大きいもの。老後資金の備えとして、まずはご自身の「ねんきん定期便」をじっくりみることをおすすめします。
また、2022年度の年金受給額は、昨年度より0.4%下がってます。少子高齢化の今、年金制度は持続するもののその水準については不安を抱える方が多いでしょう。
NISA制度は通常、利益に約2割かかる税金が非課税になる制度です。「投資のリスクが怖い」という方も、貯蓄の一部を国の制度であるNISA制度を利用して、将来に備えていくことは検討されるといいでしょう。
特につみたてNISAは毎月一定額を積み立て、長期間運用することでリスクを軽減し、利益を期待するものです。
初心者でもはじめやすいのが積立投資ですので、まずは情報収集してみてはいかがでしょうか。
■参考資料
- 金融庁「令和5(2023)年度 税制改正要望について 」( https://www.fsa.go.jp/news/r4/sonota/20220831/01.pdf )
- 国税庁「令和2年分 民間給与実態調査統計」( https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/pdf/000.pdf )
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