若者でも広まるつみたてNISAで「後悔しない」ための4原則。初心者に必須の視点とは
2022年09月16日 16時50分LIMO
- 【最新版】つみたてNISAの対象商品は215本に増加 -

最近はネットで「資産運用」について検索すると、つみたてNISAの紹介がよくヒットします。
SNSでみんながやっているからと飛びついてしまう方も多いようです。
実際、若者の投資への入り口が「つみたてNISA」や「SNS」、「Youtube」というケースは多い傾向にあるそうです。
野村アセットマネジメントの調査では、「投資信託への投資を始めたきっかけは何ですか」という質問に対して、20代の56%が「つみたてNISA」と答えています。
また、同調査では「SNSやYoutubeなどを見て」と答えた方も14%と非常に高い結果です。
しかし、つみたてNISAはあくまで投資信託等を活用した制度ですので元本保証はありません。
今回はこれからつみたてNISAをはじめる人に向けて、必須の視点をご紹介します。
■つみたてNISAの商品は全部で215本の中から選ぶ
つみたてNISAでは金融庁が厳選した金融商品の中から自分で選び、毎月一定額を買い付けていきます。
金融庁によると、つみたてNISAの商品は215本あり、以下のように種類が分かれています。
- 指定インデックス投資信託:185本
- 指定インデックス投資信託以外の投資信託(アクティブ運用投資信託等):23本
- 上場株式投資信託(ETF):7本
出所:金融庁「つみたてNISAの対象商品」(2022年8月18日時点)
一番本数が多い「インデックス投資信託」は株価指数などのベンチマーク(指標)に連動する運用成績を目指す投資信託です。
例えば、日本株式ならTOPIXや日経平均、米国株式ならNYダウ、世界株式ならMSCI指数といった指標があります。
「アクティブ運用投資信託」とはベンチマークを上回る運用成績を目指すもので、一般的に手数料も高めに設定されています。
では、つみたてNISAで運用中の方はどちらのタイプを選んでいるのでしょうか。
金融庁の「NISA 口座の利用状況調査(2022年3月末時点)」によると、つみたてNISAで実際に買付された商品別の割合は下記の通りです。
- インデックス投資信託…84%
- アクティブ投資信託…10.5%
- ETF…0.02%
この割合からみても、初心者の方が始めやすいのは、手数料も安く、投資対象の8割以上を占めるインデックス投信であるといえますね。
次では、インデックス投信を選ぶうえで大切な視点4つをお伝えします。
■必須の視点1. SNSやYoutubeなどでお勧めされていただけで何となく検討してないか
今はSNSやYoutubeを見ればつみたてNISAに関する情報が数多く載っており、具体的にどのインデックス投信がおすすめかも紹介されています。
金融商品の数が多いので、参考にするのは構いません。
しかし「このサイトやこの人が勧めているから多分大丈夫」と鵜呑みにして、ろくに調べもせず始めるのはやめましょう。
実際にどのような先に投資しているのか、信託報酬はいくらかなど、内容については自身で必ず確認しましょう。
つみたてNISAは長期間運用することで、利息に利息がつく複利の効果を期待するものです。
お金が必要になれば売却して引き出すことはできますが、基本的には10年以上運用を続ける方が多いでしょう。
つまり、長期間運用し続けても自分で大丈夫だと思えるものを選ぶ必要があります。投資は自己責任なので、利益を得るのも、損をするのも責任はすべて自分にあります。
ネットやSNSの記事を書いている人も当然責任は取ってくれません。
だからこそ「おすすめだから」という受け身の姿勢ではなく、自分で調べて自分の頭で考えて運用を始めてください。
■必須の視点2. 信託報酬が高くないか
投資信託を選ぶ際の基準の1つが、運用や管理にかかるコスト「信託報酬」です。

出所:金融庁「第6回 投資信託って、どういうものなの?」
金融庁がつみたてNISAのために選定した指定インデックス投信の報酬には下記の決まりがあります。
- 国内資産を対象とするもの:信託報酬0.5%以下(税抜き)
- 海外資産を対象とするもの:信託報酬0.75%以下(税抜き)
インデックス投信ではベンチマークと同じ値動きを目指す運用方針のため、同じベンチマークの投信の成績はほとんど変わりません。
そこで差が出てくるのが、信託報酬などの運用のコストになります。同じベンチマークの投資信託であれば、信託報酬が安いものを選ぶといいでしょう。
「1%以下の手数料ならそこまで大差ないのでは」と思いがちですが、信託報酬は保有している間ずっとかかるものです。
リターンにも影響するため、できるだけコストが低い商品に投資をするのは基本です。ほとんど同じ投資対象で運用している場合は、信託報酬が低い方を選ぶと良いでしょう。
■必須の視点3. 低リスクで保守的な運用のものになっていないか
投資初心者の方から、「この商品はリスクを抑えて安定した運用ができるので、初心者でも安心して始められますよ」という言葉で、商品の案内をされたという話をよく聞きます。
実はこれもオススメできません。
「リスクを抑えて安定した運用」というものは、言い換えると「あまり成長が期待できない資産」ということになります。
これから資産を増やしたいと考えるあなたが、成長しない資産に投資をしていたら矛盾してしまいますよね。
それが悪いものだとは言いませんが、このような安定した運用のものは、既にまとまった資産がある場合にオススメの運用商品です。
さらに、つみたてNISAは長期で運用が可能で、運用益が非課税となる制度です。つみたてNISAのメリットを最大限活かして資産を増やしていきたい方は、まずは長期で成長する資産に投資すると良いでしょう。
■必須の視点4. 投資対象の地域が一国集中のもの
SNSやYoutubeを見てみると、「S&P500」や「日経平均株価」など特定の地域にしか投資をしないものが「初心者にはおすすめ!」とよく目にします。
しかし、一国に集中投資をするということは、投資のリスクをその国に依存していることになります。
日本やアメリカも、経済的に非常に大きな先進国ですが、過去のバブル崩壊やリーマンショックでは大きな打撃を受けています。
経済が安定している国でも、いつどうなるかはわかりません。特に日本が良い例で、バブル崩壊後の日本の株価は、1989年につけた3万8914円という値段を超えられていません。
バブル崩壊まではずっと綺麗な上昇相場だった日本ですが、一度大きな経済打撃を受けてしまい、その後30年間復活しない悲惨なケースとなっています。
これから長い期間、運用を続けられるためにも、一つの国に頼って運用をするのではなく世界各国にリスク分散して投資ができる世界株式などで、ある程度リスクを抑えて運用をしてみると良いでしょう。
■まとめにかえて
つみたてNISAは、若者を中心に非常に人気です。
その理由は「みんながしているから」「ネットに書いてあったから」という理由が大きいのではないでしょうか。
金融リテラシーも大切ですが、ネットの情報を正しく判断するネットリテラシーも大切です。
今回はつみたてNISAのインデックス投資について必須の視点4つをお伝えしましたが、世の中には多くの運用方法があります。
本当に自分にあった方法なのか、一度足を止めて、自分の頭で考えるクセを付けましょう。
■参考資料
- 野村アセットマネジメント「投資信託に関する意識調査」( http://www.nomura-am.co.jp/corporate/surveys/pdf/20220816_C42D753F.pdf )
- 金融庁「つみたてNISA対象商品届出一覧」( https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20170614-2/26.pdf )
- 金融庁「NISA・ジュニアNISA口座の利用状況に関する調査結果の公表について」( https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20220808-2.html )
- 日本証券業協会「信託報酬」( https://www.jsda.or.jp/jikan/word/072.html )
- 金融庁「つみたてNISAについて(平成29年7月)」
- 金融庁「第6回 投資信託って、どういうものなの?」
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