9月の給与明細「手取り額が変わった?」あるある!標準報酬月額が原因か

- 10月からは雇用保険料も改定へ -


健康保険料・厚生年金保険料の金額は、毎年1回、7月の「定時決定(算定基礎届)」で見直しをします。

そこで確定した保険料は、その後の9月1日から翌年8月末までが適用期間となります。

そのため、給料が20日締め、末日払いなどの当月払いの会社で勤務されている人は、9月の給与明細で手取り額を見たとき「いつもと違う、減った!(増えた!)」となることがあるかもしれません。

今回は、給与から控除される健康保険・厚生年金の決まり方とあわせ、2022年10月から料率が変更となる雇用保険について説明します。

■毎年9月1日から、健康保険・厚生年金保険などが改定となる

健康保険、厚生年金保険、介護保険(40歳以上の方のみが対象)は、毎年9月1日に改定されます。実際の見直しは、その前の7月にある「定時決定(算定基礎届)」で行われます。

定時決定とは、直近の4月・5月・6月の給与や各種手当をもとに「標準報酬月額」を計算し、「算定基礎届」を年金事務所または健康保険組合へ提出することです。

定時決定で、その後9月1日から翌年8月末までの保険料が決まります。9月分の給与が当月払いの人は、9月中に給与明細で変更後の保険料を確認することができます。

また、9月分の給与が9月締め翌月払いとなる人は、10月の給与明細で確認することになるでしょう。

■9月分の給与明細「手取り額が減った!(増えた!)」の理由は4~6月分の給与にあり

9月分の給与明細を見て、手取り額が「減った、どうして…」となるか「増えた!」となるかは、4~6月分の給与が鍵になります。

たとえば、4~6月が繁忙期で給与に残業代が多く含まれている場合、給与額は増えます。そうなれば、標準報酬月額の等級が上がり、控除される保険料が多くなります。

一方、4~6月は閑散期で、残業が従来よりも少なかったのであれば、標準報酬月額の等級が下がり、控除される保険料は少なくなります。

9月分の給与明細を見て、手取り額が減ったり、増えたりする原因は、7月にある定時決定が大きくかかわっているのです。

なお、標準報酬月額に含める報酬には、残業代以外に通勤手当、住宅手当、家族手当、役職手当、資格手当など、現物で支給される食事、社宅などが含まれます。

■4~6月の給与を平均した額が標準報酬月額

標準報酬月額とは、原則として4~6月の3か月間の給与の平均となる金額です。ただし、いずれの月も17日以上勤務していることが前提となります。

その計算をする際、もとになる毎月の給与は「報酬月額」といいます。そこに含まれているものは、労働の対価として支払われる基本給や役職手当、家族手当など様々なものがあります。

また、もし賞与が4月1日から翌年の3月31日までの期間で4回以上支給されたのであれば、その分も経常的に支払われる報酬とみなされ、賞与総額を12か月で割った額を報酬月額にプラスすることになります。

報酬月額が決まれば、その金額を「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」の等級に当てはめ、標準報酬月額が決まります。

出典:協会けんぽ「被保険者の方の健康保険料額(令和4年3月~)(東京都)」

標準報酬月額の等級は、健康保険・介護保険の標準報酬月額の場合、第1級の5万8000円~第50級の139万円までとなり、厚生年金の場合は、第1級の8万8000円~第32等級の65万円までとなります。

これら標準報酬月額をまとめた区分表は、あらかじめ都道府県ごとに作成されており、その表を確認すれば、等級ごとに個人が負担する健康保険、介護保険、厚生年金保険料が一目でわかります。

■給与明細で控除される社会保険には他にどんなものがあるのか

9月分の給与明細では、健康保険、介護保険(40歳以上の方のみ対象)、厚生年金保険の控除額が変更になります。

社会保険には、それら以外に「雇用保険」もあります。雇用保険は、労働者の生活及び雇用の安定と就職の促進を図るための制度です。

雇用保険には、会社員が失業したときに受取る失業等給付や、指定の教育を受けたときの教育訓練給付金、育児や介護で仕事を休業するときの育児休業給付や介護休業給付など、様々な給付金があります。

雇用保険料は、事業主と労働者それぞれが負担することになります。負担する金額は、事業主と労働者がともに負担しますが、負担料率は事業主の方が高く設定されています。

雇用保険料の見直しは、毎年4月から行われますが、雇用調整助成金の大規模支出などにより、令和4年(2022年)10月からの雇用保険料率が変更されることになりました。どのくらい変更になるのかみてみましょう。

出典:厚生労働省「令和4年度雇用保険料率のご案内」

■《「一般の事業」の雇用保険料率を計算》

■毎月の給与が25万円だった場合

  • 令和4年4月1日~令和4年9月30日
  • 労働者負担:1000分の3 25万円×0.003=750円
  • 事業主負担:1000分の6.5 25万円×0.0065=1625円
  • 令和4年10月1日~令和5年3月31日
  • 労働者負担:1000分の5 25万円×0.005=1250円
  • 事業主負担:1000分の8.5 25万円×0.0085=2125円

これより、令和4年(2022年)10月分の給与明細からは、雇用保険が1250円となります。

■まとめ

普段は給与の手取り額しか見ていないという人も、9月分の給与明細はきちんと確認しましょう。

給与明細には、様々な社会保障についての情報が詰まっています。きちんと理解しておけば、これからのキャリア、老後の年金など、これからの人生を計画的に考えるときに役立ちます。

■参考資料

  • 日本年金機構「定時決定(算定基礎届)」( https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/20121017.html )
  • 全国健康保険協会「標準報酬月額・標準賞与額とは?」( https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3160/sbb3165/1962-231/ )
  • 全国健康保険協会「令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」( https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/r4/ippan/r40213tokyo.pdf )
  • ハローワーク「 雇用保険制度の概要」( https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_summary.html )
  • 厚生労働省「令和4年度雇用保険料率のご案内」

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