70歳代「ひとり暮らし」の窮状。70歳代前半の3人に1人が就業という現実

70歳代「ひとり暮らし」の窮状。70歳代前半の3人に1人が就業という現実

70歳代1人暮らし 貯蓄ゼロも


厚生労働省の「2021(令和3)年 国民生活基礎調査の概況」によれば、65歳以上の方がいる世帯の世帯構造のうち、「単独世帯」は28.8%。

出典:厚生労働省「2021(令和3)年 国民生活基礎調査の概況」

1986年の13.1%の倍以上となっており、「夫婦のみの世帯(32.0%)」に次ぐ多さとなっています。

考えたくないものですが、老後は病気や介護、また配偶者との死別などにより、世帯構造が変わりやすいもの。そのことを踏まえた上でマネープランを立てる必要があるでしょう。

特に70歳代は年金生活が本格的にスタートする一方で、世帯構造が変わる人が多いもの。以下のような確認をしておくことが重要でしょう。

  1. 70歳代で平均貯蓄額1786万円を目指す
  2. ねんきん定期便などで自分の年金額を確認する
  3. 長く働くキャリアプランを考える

今回は70歳代に視点をあて、その貯蓄や年金、また70歳代の就業状況も確認します。

■70歳代「ひとり暮らし」平均貯蓄額はいくらか。貯蓄ゼロも

今年は値上げに苦しむ1年となり、特に年金生活では家計への圧迫が大きく、貯蓄を切り崩された方もいるでしょう。

値上げは来年も続く模様で、サッポロビールは2023年4月1日から、ワインや焼酎などの価格を最大で37%引き上げると公表しました(2022年12月2日公表)。

キリンビールやアサヒビールも来年の値上げを公表しており、来年も家計や貯蓄への影響は免れそうにありません。

今の70歳代ひとり世帯はどれくらい貯蓄を保有しているのでしょうか。金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和3年)」より、70歳代ひとり世帯の貯蓄分布をグラフで確認します。

出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和3年)」をもとにLIMO編集部作成

■70歳代の平均貯蓄額(平均・中央値)

  • 平均:1786万円
  • 中央値:800万円

平均は1000万円を超えていますが、より実態に近い中央値との差が約1000万円もあります。これは70歳代の貯蓄格差の大きさをあらわしていると言えるでしょう。

円グラフで貯蓄分布を見ると、約3割は貯蓄2000万円を保有しています。一方で、「貯蓄ゼロ世帯」も25.1%となっており、4人に1人は貯蓄がない状況です。

今年のような物価高への対応や、病気や介護の必要性が出た場合、貯蓄がないと心もとないでしょう。

高度経済成長期を過ごした70歳代でも、4人に1人は貯蓄ゼロという現実に驚かれ方もいるのではないでしょうか。

■厚生年金は「月1万円未満~30万円以上」と個人差が大きい

貯蓄が少なくても、年金で生活できていればという考えもあるかもしれません。

しかし、年金は加入している年金や加入月数などにより、個人のバラツキが大きいものです。

特に収入に応じた保険料を納める厚生年金は、月1万円未満という方から30万円以上という方までいます。

厚生労働省年金局「令和2年度 厚生年金・国民年金事業の概況」より、グラフで男女別に「月1万円未満~30万円以上」の受給権者数を見てみましょう。

出所:厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

ボリュームゾーンは男性で15~20万円、女性で7~12万円と、男女でもこれだけの差があります。

詳しく見ると男性は月25万円台のが約12万人な一方で、月6万円台の人が約16万人というように、個人差の大きさが改めてわかります。

国民年金の場合は平均受給額で5万円台となっており、国民年金のみでは生活できないでしょう。

また、配偶者がなくなった場合には遺族年金を受け取れますが、加入している年金などによっては受け取れない場合もあります。

老後の年金についてはねんきん定期便などで早めの確認が必須でしょう。

■70歳代前半で約3人に1人が就業。高齢者の就業率は年々増加へ

最近では60歳代以降も働かれる方がいます。働くことが生きがいや楽しみである、生活にメリハリがついていいといった理由で働かれる方も多いでしょう。

一方で、老後資金に不安を感じて働く方もいます。年金や貯蓄が心もとないと、仕事を長く続けようという方もいるででしょう。

厚生労働省「令和4年版高齢社会白書」によると、「70~74歳」で働く方は32.6%となっており、およそ3人に1人は仕事をしています。

出典:厚生労働省「令和4年版高齢社会白書」

70歳代前半の就業率は年々上がっており、2011年は約2割でしたが、10年で約10ポイントも上昇しています。

75歳以上も10.5%は働いており、60歳代以上全ての年代で就業率は緩やかに右肩上がりです。

今後もこの傾向は続くと考えたほうが良いでしょう。

■70歳代以降の生活を想定した資産設計を

70歳代のお金や仕事事情をみてきましたが、一方で健康寿命は男性で72歳、女性で75歳という現実があります。

世の中で長く働き続ける流れは続きますが、健康寿命も考えた資産設計が必要でしょう。

まずはねんきん定期便などで公的年金を確認する、不足部分は私的年金を始める、貯蓄の一部で運用するなどがあります。

最近はつみたてNISAやiDeCoといった国の税制優遇制度もありますよね。運用はリスクもありますから、まずは情報収集から初めてみてくださいね。

■参考資料

  • 厚生労働省「2021(令和3)年 国民生活基礎調査の概況」( https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa21/dl/12.pdf )
  • 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和3年)」各種分類別データ( https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/tanshin/2021/21bunruit001.html )
  • 内閣府「令和4年版高齢社会白書」( https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/zenbun/pdf/1s2s_01.pdf )
  • サッポロビール「ワイン・焼酎 一部商品の価格改定について」( https://www.sapporobeer.jp/news_release/0000015462/ )
  • 厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」( https://www.mhlw.go.jp/content/000925808.pdf )

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  • 5

    4番さんに同意しますね。ちょっとずれる話になるかもしれませんが、「公務員は楽して高い給料もらっている」と批判する人たちが居ますが、じゃあ、どうして公務員試験を受けないの?という質問に何と答えるのでしょうか?努力しない人まで、国が面倒見る必要はありません。社会が悪い・・と言う前に、自分が努力したかどうかを考えて見るべきでしょう。

  • 4

    「アリとキリギリス」

  • 3

    それが嫌ならいつまでもこの世にしがみつくなよ。余裕のある老後にならなかったのは自業自得なんだから。

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