WHOは中国の言うがまま!? 国際機関で影響力を増す中国のしたたかな外交

− ポストコロナは中国批判が高まるか −


中国で清明節を迎えた4月4日、大都市や各地にある主要観光施設は多くの市民で賑わった。

北京や上海にある繁華街や広場、商業施設やレストランなどには多くの利用客が集まり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大以降、最大の賑わいとなった。

だが、症状が出なければ感染者にカウントされていないことから、その実態は不透明であり、再び感染が拡大する可能性もある。落ち着いたように見えるからといって、日系企業が中国で操業を再開できる状況ではない。

■WHO・テドロス事務局長の姿勢に各国から避難

現在、中国は新型コロナウイルスが終息したかのように、感染源国から支援国へと舵を切った外交を展開している。既に、イタリアやスペインなどをはじめ、支援体制が脆弱な国々やEU、AU、ASEANなどに積極的な支援を行っている。

そうした中、ある問題が物議を醸している。それはWHOと中国との癒着だ。新型コロナの問題が大きくなってから、WHOのテドロス事務局長の中国寄りともいえる姿勢に各国から非難の声が上がっている。

テドロス氏は、2005年から2012年にかけてエチオピアの保健大臣、その後2016年まで外務大臣を務めた大物政治家でもある。そのため、近年中国から多額の支援を受けるエチオピアと北京との癒着は想像には難くない。

中国は先月、日本円にして21億円をWHOに寄付すると発表した。新型コロナウイルスをめぐる国際協力のためとしているが、現在のWHOを中国の“傀儡(かいらい)機関”だと揶揄する人も少なくない。

■他の国際機関でも存在感を増す中国

また、現在、15ある国連の専門機関のうち、国連食糧農業機関(FAO)、国連工業開発機関(UNIDO)、国際電気通信連合(ITU)、国際民間航空機関(ICAO)の4つの機関で中国人がトップを務めている。

北京に国連を乗っ取ろうとする意思はないだろうが、影響力を高めようとする思惑はあるはずだ。

国連総会が典型例だが、国連は一国一票制が原則である。中国としては一帯一路の参加国を中心に、各専門機関の事務局長選挙の際、チャイナマネーを駆使してできるだけ多くの票を集め、国連での影響力をさらに高めていきたい狙いがある。

■国際法を遵守しない中国の影響力が増すのは問題

国際機関には高い中立性と責任が求められ、法の支配や客観的考えに基づいて各国の利害を調整し、国際社会の公益を追求しなければならない。

南シナ海の九段線について、ハーグ仲裁裁判所は、それは無効だとする判決を下したが、中国は全くそれを守っていない。また、尖閣諸島の領有権についても、国際司法裁判所で決着をつけることにも全く動かない。

国際法を遵守しようとしない国が国連で影響力を高めることは大きな問題だろう。

中国のこういったしたたかな姿勢に対して、感染拡大で深刻な被害を被っている欧米諸国は何もできる状況ではない。だが、終息が見え始めれば、中国への非難がいっそう高まる可能性がある。ポストコロナの国際政治はどう展開されていくのだろうか。

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