「オンライン帰省」で考えた、別居の親が元気なうちに確認したい4つのこと


「ステイホーム」。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のため、“我慢(Gaman)ウイーク(Week)”などとも呼ばれた今回の大型連休。

筆者の周囲では、帰省を控えて電話やビデオ通話で近況報告をしあった、という声をちらほら聞きます。そして印象に残ったのは、ほぼ全員が「親の“もしも”のときを考える契機になった」と言っていたこと。

今回は「離れて暮らす親が元気なうちに確認しておきたいこと」をテーマに、筆者の経験を交えながらご紹介していきます。

■ほぼ過半数が「高齢者だけの世帯」

少子高齢化・核家族化が進むこのご時世、内閣府の調査(※1)によると65歳以上の高齢者がいる世帯のうち、一人暮らし、もしくは夫婦のみで暮らしているという世帯は、全体の過半数を超えています。過去の推移をみるとこんな感じです。
1980年 26.9%
1990年 36.3%
2000年 46.8%
2010年 54.1%
2017年 58.9%

さらに、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計(※2)によると、日本の全世帯に占める65歳以上の一人暮らしの人の割合は、2020年から2040年の間に、以下のように増えていくと考えられています。
男性 15.5%→20.8%
女性 22.4%→24.5%

元気に活躍するシルバー世代が増えました。とはいえ、今後はより一層核家族化が進み、高齢者だけの世帯が増えていくことは確実です。

年老いた親が、急な病気や事故・災害などに見舞われても、すぐに駆けつけられる距離にいるとは限りませんよね。

そこで、「離れて暮らす親御さんが、元気なうちに確認しておくと安心」だと思われるポイントをまとめていきたいと思います。

■「聞いておきたいこと」

●1「何が、どこにあるのか」

離れて暮らしている場合、どこに・何がしまわれているのか、正確に把握できていないケースがほとんどではないでしょうか。昔一緒に住んでいた実家だったとしても、年月が経つとモノの置き場所も微妙に変わっていたりしますよね。

最近は、「設備の点検」などと称し、高齢者の自宅に上がり込んで金品を盗む、という犯罪も見受けられます。

まず、通帳、印鑑、キャッシュカードなどのお金に関わる貴重品の置き場所は教えてもらっておくことをおすすめします。そして、安全な状態で保管されているかどうかを確認しましょう。

急な病気やケガの際に必要となる、健康保険証、生命保険や医療保険の証書などの保管場所も共有しておくとさらに安心です。

●2「通院・服薬はしているか」

健康保険証については先述のとおりですが、「お薬手帳」の記載内容も重要です。メールやLINEなどで画像を送ってもらえると安心です。

既往症・アレルギーの有無・飲んでいる薬・かかりつけ医と通院の頻度などについては、日頃の近況報告のときに話題にしておくとよいでしょう。

受診歴のない病院に救急搬送された場合などは、既往症や服薬内容などを詳しく聞かれます。本人が受け答えできない状態になったときのために、親子間で情報共有しておくことをおすすめします。

筆者の場合、「健康状態や緊急連絡先をまとめたノート」を老親宅のリビングのテレビ横に置いています。自宅から救急搬送される場合に備え、救急隊員の目にとまりやすいところに置くのがポイントです。

●3「連絡をとってほしい人は誰か」

“もしものとき”に知らせたい人については、ぜひリストアップをお願いしましょう。

現役で仕事をしていたり、地域のコミュニティで役割を持っていたりする場合などは、短期間の入院であっても知らせておくべき相手がいます。

例えば、自営業なら取引先や税理士さん、地域活動であればご近所さんや自治会メンバー、といった事務的な接点がある相手ですね。

逆に、人によっては「知らせてほしくない相手」が存在する場合もあるようです。
「短い入院程度ならば、きょうだいには黙っていたい」
「親しい友人には入院した時点で知らせてほしい」
「万が一の場合でも、確執があったきょうだいには絶対に知らせないでくれ」
など、思いは人それぞれです。

経験上、兄・姉・親など、自分より年上の相手には心配をかけたくない、と感じる高齢者は多いようです。ここは親の側の気持ちやプライドを大切にしながら、丁寧に対応していきたいですね。

●4「普段はどんな生活をしているのか」

日常生活でどのようなサービスを使っているのかを聞いておくとよいでしょう。

まず、介護サービスや訪問診療などを利用している場合は、ケアマネージャー、医療機関などへの連絡が必要です。

新聞販売店、日用品や食事などの宅配、ホームセキュリティなど、日常生活で契約・利用しているサービスがあれば、その連絡先リストも作っておくと便利です。いずれも、急な入院などで家を長期間留守にするときは、サービスの一時停止手続きをしなければなりません。

各サービス料金の支払い方法についても確認しておきましょう。銀行引き落としであれば口座残高の確認、振込を使っているようであれば振込用紙が届いていないか郵便受けの確認を忘れずに。

■子「聞きづらい」、親「教えたくない」

以上、「離れて暮らす親が元気なうちに確認しておきたい4つのこと」を挙げてきました。

ここからは「元気なうちは聞きにくいこと」について触れていきたいと思います。

それは「お金」の話。

「年金をいくらもらっているのか」「月の生活費はいくらくらいか」、そして「資産はどれくらいか」「何を誰に相続させたいのか」

こうした生々しいお金の話は、親が元気なうちは聞きづらいもの。また、親の側も健康状態に自信があるうちは子どもに教えたがらない、というケースが多いようです。筆者の親もそうでした。

とはいえ、子の側はいずれ知ること。まして親に入院や介護が必要になった場合に避けては通れない話題です。

筆者は若い頃、ほぼ同時に、両親を別々の病院に入院させていた時期がありました。

入院の際、高額な保証金の預け入れを求められたときのこと。会話もままならない状態の父から現金や保険証の保管場所を聞き出すことは、思っていた以上に大変でした。

この入院騒動をきっかけに、筆者の親は貴重品の置き場所・健康状態・資産状況などを、娘に渋々ながら共有するようになりました。

親の側が心身ともに元気なうちに、日頃から話し合える関係を築いておけるとよかったのかもしれません。

■まとめにかえて

COVID-19が猛威をふるう今、老若男女問わず健康・衛生に対する意識改革が求められています。また、高齢者が体調を崩した場合は、さらに丁寧なケアが必要となってきます。

こんなご時世、「3密」状態は避けつつ、親子の連絡は「密」にしていきたいものですね。

離れた親御さんを“リモート”で見守るみなさんが、日頃のコミュニケーションについて考えるヒントになれば、と思います。

【参考URL】
※1「家族と世帯」令和元年(2019年)版高齢社会白書(全体版)( https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2019/html/zenbun/s1_1_3.html )内閣府
※2「( http://www.ipss.go.jp/pp-ajsetai/j/HPRJ2018/hprj2018_gaiyo_20180117.pdf) )日本の世帯数の将来推計−2018(平成 30)年推計−( http://www.ipss.go.jp/pp-ajsetai/j/HPRJ2018/hprj2018_gaiyo_20180117.pdf )」( http://www.ipss.go.jp/pp-ajsetai/j/HPRJ2018/hprj2018_gaiyo_20180117.pdf) )(p.10)国立社会保障・人口問題研究所

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