雑巾臭、ドブ臭…職場に戻ると「ニオイ」が待っている!? スメハラ対策の難しさとは


GWは終わりましたが、政府は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する緊急事態宣言の延長を発表。現時点では5月末までの延長となっていますが、早期解除になる可能性もありますし、逆に、再延長の可能性もゼロではありません。

そんな中、緊急事態宣言の発出前から在宅勤務を行っていたケースでは、出社しない期間がかつてない長期に及んでいるという人もいるでしょう。“もうテレワークは飽きた、会社に行きたい”という人がいると思われる一方、“もうこのまま会社に行きたくない、在宅勤務のままでいい”という人も少なくないのではないでしょうか。

■在宅勤務で職場の「スメハラ」から逃げられる

そう考える理由の一つが、社内にはびこる様々なハラスメント(嫌がらせ)からの逃避かもしれません。ご存知の通り、現代社会には数多くのハラスメントが溢れており、ハラスメントの時代とも言われています。

代表的なものが、セクハラ(セクシャル・ハラスメント)とパワハラ(パワー・ハラスメント)です。ただ、セクハラやパワハラに関しては、近年になって社会的制裁を課す流れが加速しています。多くの企業内でも撲滅対策が強化され、その被害は減少傾向にあると言っていいでしょう。

残念ながら未だ100%撲滅には至っていませんが、ハラスメントを受けた側が泣き寝入りすることなく、堂々と被害の声を上げるようにもなりました。

一方で、なかなか声を上げることができない類のハラスメントもあります。その一つが、不快なニオイに悩まされる「スメル・ハラスメント(スメハラ)」、とりわけ職場におけるスメハラではないでしょうか。

では、スメハラとは具体的にはどういうニオイのことなのでしょうか?

スメハラでは、「口臭」「体臭(主に加齢臭)」「香水」の3つが代表的なニオイとされますが、最近では洗濯洗剤や柔軟剤の香りも加わっています。こうしたスメハラを経験した人は、決して少なくないはずです。いや、経験どころか、現に毎日“被害”に遭っている人もいるのではないでしょうか。

実際、今回のコロナ騒動でテレワークが進む中、上司や同僚によるスメハラから解放されてホッとしている人も少なくないと思われます。しかし、テレワークが終われば、再びスメハラに悩む日が始まるのですから、“会社に行きたくない”という人が一定数いても何ら不思議ではありません。

また、これは職場に限ったことではなく、電車やタクシーの中、そして、家庭でもスメハラの被害は起きていると考えられます。

■スメハラは被害を訴えにくい

しかし、当事者に対して堂々と苦情を訴えることができる人はどれだけいるでしょうか? 特に、口臭と体臭に関しては、“あなたのドブ臭い口臭、何とかなりませんか?”とか“あなたの体臭、雑巾みたいで気分が悪くなるんです”といった類の苦情を当事者に直接伝えるのは簡単ではありません。

その相手が、上司や友人の場合はなおさらですし、家族にでもなかなか言い出せないのではないでしょうか。ただ黙って我慢するしかないのが実情かと察します。

では、こうしたスメハラを減らすことはできるのでしょうか。スメハラをセクハラやパワハラと比較すると、いくつか大きな違いがあることがわかります。それを見てみましょう。

●スメハラの定義は抽象的になりやすい

まず、スメハラの定義を定めることが困難です。どのようなニオイがハラスメントに該当するのか、明確な基準がないため、セクハラやパワハラのようにガイドラインを設けるのが難しいと言えます。

強いて言えば、強い香水を控えることくらいですが、これも明確な定義がないのが実情です。また、香水に関して言えば、同じ香水でも“いい香りだ”と感じる人がいる一方で、“嫌な香りだ”と感じる人もいます。

スメハラと感じる人と感じない人との温度差が大きいのも特徴です。

●自分では分からない自分自身の口臭や体臭

次に、スメハラを与える人(ニオイを発する人)の多くが無意識だということがあります。これは、セクハラやパワハラにも該当することですが、それ以上に意識が希薄と言えそうです。その最大の理由は、自分のニオイ(口臭、体臭)は自分では分からないという点にあります。

例えば、“〇〇さんの口臭は耐えられない”と苦痛に感じている△△さんが、別の人から“△△さんは口臭がひどいね”と思われているかもしれません。また、香水も、着けて一定時間が経過すると自分ではニオイが分からなくなるようです。

●スメハラを訴えた人がハラスメント加害者になるリスクも

さらに、スメハラを訴えた人が、逆にハラスメントを与える人になってしまうケースがあり得ます。一般に、口臭や体臭を非難することは、当事者の人格そのものを否定することになり兼ねないからです。ある日、突然に自らの口臭や体臭を非難されたら、その人は大きなショックを受けるはずです。

そして、もし、その人が精神的に落ち込んだりした場合、“あなたの口が臭い”と言い放った人は、ハラスメントを与えてしまったと非難される可能性もあります。

■最後は一人一人の心がけに頼らざるを得ない

徐々に認識され始めてきたスメハラを大きな問題にならないようにするためには、企業側でも何らかの対応が求められます。たとえば、洗面所にさり気なくマウスウオッシュ液を置くとか、オフィスに無臭の脱臭剤を置くなど、やり方は様々あるはずです。

でも、最後はやっぱり、一人一人の心がけ・エチケットに頼らざるを得ません。自分自身が発するニオイについて一度考えてみることが大切です。もしかしたら、スメハラに無頓着な人こそ、スメハラの加害者になっているかもしれません。

コロナ騒動で在宅リモートワークが進み、出社する機会が激減した今、自らがスメハラの加害者になっていないかどうか改めて見直すことも必要でしょう。

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