親の介護は突然やってくる…離職や費用の問題に直面した3人の場合


介護を理由に離職する人が年間10万人近くいることをご存知ですか?

総務省統計局が公表している「平成29年就業構造基本調査」では、介護や看護を理由に離職した人が9万9千人※という結果となっています。介護による離職は社会的にも大きな問題となっていますが、いずれやってくる親の介護問題、早めに考えておきたいものです。

そこで今回は、親の介護に直面した3人に話を聞きました。

※介護・看護のために過去1年間に前職を離職した者

■ケース1:突然介護が必要になり夫と揉めた

40代のAさんは金融機関で派遣社員として働いていましたが、実父の介護のために仕事をやめました。転倒したときのケガが思ったより重く、介護が必要な状態になったと言います。Aさんはお母さんを早くに亡くしていたため、一人で暮らしていたお父さんを支えるために退職を決めましたが、離職するにあたっていくつかの問題があったそうです。

「夫に仕事をやめると言ったら、『お義父さんの面倒を見るのにはお金もかかるのに、なんでやめるんだ』って。たしかに、派遣社員とはいえ週5日フルタイムで働いていて、手取りベースの収入は月25万円前後。それが急になくなると家計に響くというのは理解できる。でも、一人で何もできない父親を放っておくことはできない」と悩んだAさん。

「それでかなり揉めて、一時期は口もきかなくなってしまった。高校生になる娘が私の気持ちを汲んでくれて『お母さんは、おばあちゃんを早くに亡くしていて親孝行できる人はもうおじいちゃんしかいないんだよ』と言ってくれて、夫も降参。それで仕事をやめることになった」とのこと。

しかし、Aさんは離職したことを後悔していると言います。

「親孝行したいという気持ちは強かった。その一方で、早まったかなとも思っている。たしかに父親は足が不自由になったけれど、家をリフォームして手すりをつけたり、段差をなくしたりして工夫をすれば、仕事をやめるまでしなくてよかったかもしれない。派遣社員とはいえ、この年でまた仕事を探すのは大変」と話していました。

高齢になってからケガをするとそのまま要介護の状態になってしまうことは少なくありません。しかし、Aさんの言う通り、住宅の設備を整えたり、出勤日数を減らしたり、旦那さんや娘さんと協力することで介護と仕事を並行できたかもしれません。

ただ、このように突然介護が必要な状態になると、冷静にはなれないもの。予想外のケガなどで要介護の状態になる可能性があることとも考慮して、早めに、できれば自分が30代で親がまだ元気なうちから介護が必要になったときの方針を考えておいたほうがいいでしょう。

■ケース2:介護のことが何もわからなくて困った

続いて、娘と息子を持つ50代のBさんのケースを見てみましょう。Bさんは、お父さんが病気で要介護状態になってしまったと言います。

「妻に仕事をやめてもらい、介護をお願いした。妻は献身的に介護をしてくれたけれど、身体的にも精神的にもつらかったと思う。最初は何もわからず、毎晩2人で介護のことを調べまくった。手続きは結局妻に任せてしまったけれど、知識ゼロの状態から2人で手探りしながら調べるのは本当に大変だった」とのこと。

「妻の負担はもっと大きかったと思う。介護をしながら手続きをしたり調べたり、いろんな施設に話を聞きに行ったりしてくれて、それと並行して子育ても。次第に父も認知症っぽくなってきて、妻はかなりツラそうにしていた。施設に入れる準備をもっと早くしておけばよかったのかもしれない」と話します。

介護に関する情報は、普通に暮らしているとなかなか得ることができません。介護施設にいくらかかるのか、介護は実際どうやってするのかなど、知る機会がほとんどないのが実情です。

しかし、事前に知っておかないと、介護保険でどのくらい保障されるのか、介護保険で必要な手続きはどうすればいいのかなど、調べなくてはならないことが多すぎて時間も手間もかかり、精神的負担も大きくなります。また、お金も必要になるので、早めに準備を始めておくと安心です。

■ケース3:介護に必要なお金が予想以上だった

最後は、義母が病気で要介護になった50代のCさんのケースです。

「介護にここまでお金がかかるとは思っていなかった。子どもたちも無事社会人になってようやく手が離れ、夫と老後資金を貯めなきゃねと話をしていたところにお義母さんの介護が急に降りかかってきた。私自身もなんとか管理職になって仕事が面白いと感じているし、家計のことを考えても働き続けるべきだと思っていた」のだそう。

「夫と相談し、有料老人ホームのような施設に入ってもらおうかという話になった。でも、施設の費用が思ったよりも高くて、入居時に数千万、そのほかに月額費用がかかる。お義母さんは数年前に亡くなったお義父さんの入院費や手術費でほとんど貯金はなかったし、ちょっと大変すぎて…。介護の費用なんて調べたこともなかったからびっくりしてしまった」と言います。

このように、介護の費用は必要となったときにようやく調べて衝撃を受けるというケースも少なくありません。Cさんのように有料老人ホームを検討する人も多いかもしれませんが、地域によっては空きも少ないですし、初期費用や月額費用に相応の金額がかかるので準備をしておかないと希望通りの選択肢が選べなくなってしまいます。

子どもがいると、40代、50代まで手が離れないという人がほとんどで、なかなか介護まで頭が回らないかもしれません。しかし、介護は突然やってくるもの。しかも大金が必要になります。親本人に貯金があまり残っていないというケースも考えられますので、親世代も巻き込んで、老後のことや介護のことを話し合っておく必要がありそうです。

■おわりに

繰り返しになりますが、介護は突然やってくることがあります。教育資金や自身の老後資金で手が回らない人も多いと思いますが、放っておけない問題でもあります。何事も早めから準備をしておくことが大事。40代、できれば30代のうちから親や家族と相談をしておくのがいいでしょう。

【参考資料】「平成29年就業構造基本調査結果 要約( https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2017/pdf/kyouyaku.pdf )」(総務省統計局)

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